株式投資を始めてみたいけど、まとまったお金がないし、何だか難しそう。
そんなふうに感じているあなたに、ぜひ知ってほしいのが「ミニ株」と「ローソク足」です。
ミニ株なら、少ないお金で気軽に株式投資をスタートできます。
そして、ローソク足の見方がわかれば、株価の動きを読み解き、売買のタイミングを判断するヒントが得られます。
この記事では、株式投資が初めての中学生でも理解できるように、ミニ株とローソク足の基本から、実際の取引に役立つ知識まで、やさしく丁寧に解説します。
この記事を読めば、あなたも安心して株式投資の一歩を踏み出せるようになるでしょう。
1. ミニ株とローソク足チャートの基礎
この章では、株式投資の入口として注目される「ミニ株(単元未満株)」の仕組みとメリットを解説します。あわせて、株価分析の基本ツールである「ローソク足チャート」の役割と、ミニ株投資でローソク足チャートを活用する利点についても触れていきます。これらの基礎知識は、株式投資を始める上で非常にたいせつな土台となります。
1.1 ミニ株(単元未満株)とは?
ミニ株や単元未満株という言葉を聞いたことがありますか。
ここでは、その仕組みと、なぜ投資初心者のあなたにとって魅力的なのかを詳しく見ていきましょう。
普通の株取引とのちがい
日本の株式市場では、通常、株は100株を1つの単位として取引されます。
この1単位のことを「単元株(たんげんかぶ)」と呼びます。
例えば、1株1,000円の会社の株を買いたい場合、普通は1,000円×100株で10万円の資金が必要になります。
これは、投資を始めたばかりの人にとっては、少し大きな金額かもしれません。
ミニ株・単元未満株の登場
そこで登場するのが「ミニ株(みにかぶ)」や「単元未満株(たんげんみまんかぶ)」です。
これらは、100株に満たない少ない株数、例えば1株からでも株を買うことができる制度です。
この記事では、「ミニ株」と「単元未満株」を同じ意味で使い、1単元(通常100株)に満たない株数の取引を指すこととします。
以前は「株式ミニ投資」という、主に1単元の10分の1(つまり10株単位)で取引する制度もありましたが、現在では多くの証券会社で1株から購入できるサービスが主流になっています。
ミニ株のうれしいポイント
ミニ株には、特に投資初心者にとってうれしいポイントがたくさんあります。
- 少ないお金で投資を始められる これが最大の魅力でしょう。 先ほどの例で、1株1,000円の株なら、ミニ株なら1,000円から投資を始めることができます。 有名企業の株でも、数千円から数万円で株主になれる可能性があるのです。 これにより、投資を始めるためのハードルがぐっと下がります。
- 投資のリスクを抑えやすい 投資する金額が少ないため、もし株価が下がってしまった場合の損失も、単元株に比べて少なくてすみます。 初めての投資で大きな損をしてしまうと、続けるのがこわくなってしまうかもしれません。 ミニ株なら、少しずつ経験を積みながらリスクをコントロールできます。
- 分散投資がしやすい 例えば、5万円の資金があったとします。 単元株だと、株価によっては1つの会社の株しか買えないかもしれません。 しかし、ミニ株なら同じ5万円で、いくつかの異なる会社の株を少しずつ買うことができます。 これを「分散投資(ぶんさんとうし)」といい、1つの会社の株価が大きく下がっても、他の会社の株でカバーできる可能性があり、リスクを和らげる効果が期待できます。
- 配当金も受け取れる 会社が利益の一部を株主に分配することを「配当(はいとう)」といいます。 ミニ株でも、持っている株数に応じて配当金を受け取ることができます(もちろん、配当を出している会社の場合です)。 株の売買による利益だけでなく、配当金も投資の楽しみの一つです。
ミニ株で知っておきたいこと
ミニ株はメリットが多いですが、いくつか知っておきたい点もあります。
一般的に、ミニ株(単元未満株)では、株主総会での議決権(会社の経営方針などに意見を言う権利)はありません。
また、企業が株主に対して提供する「株主優待(かぶぬしゆうたい)」(自社製品やサービス券など)も、単元株主を対象としている場合が多く、ミニ株では受け取れないか、条件が異なることがあります。
しかし、一部の企業では単元未満株の保有でも株主優待の権利が得られる場合がありますので、調べてみると良いでしょう。
ミニ株は、投資の世界への扉を大きく開いてくれる素晴らしい制度です。
少ない資金で実際の株取引を経験することで、経済の動きや会社の成長を身近に感じることができます。
まるで、大切なお小遣いで少しずつ好きなものを集めるように、自分のペースで資産を育てていく感覚に近いかもしれません。
この「少しずつ」という感覚が、大きな失敗を防ぎ、長く投資と付き合っていくための第一歩となるでしょう。
また、高価で手が届かないと思っていた有名企業の株も、ミニ株なら少しずつ買い集めて、いつかは単元株にすることも夢ではありません。
このように、ミニ株は初心者の方が安心して株式投資を学び、体験するための最適な手段の一つと言えるでしょう。



1.2 ローソク足チャートの役割
株価の動きを分析するための強力なツール、「ローソク足チャート」について学んでいきましょう。
これが読めるようになると、株価の未来を予測するヒントが見えてくるかもしれません。
ローソク足チャートとは?
「ローソク足チャート(ろーそくあしちゃーと)」とは、株価の動きを時間ごとに「ローソク」のような形であらわしたグラフのことです。
実はこれ、江戸時代の日本で、お米の価格を分析するために本間宗久(ほんまむねひさ)という人が考え出したと言われています。
その分かりやすさと情報の豊富さから、今では世界中の投資家が株式投資だけでなく、為替(FX)や他の金融商品の分析にも使っています。
ローソク足チャートで何がわかるの?
一本のローソク足には、ある一定期間(例えば1日、1週間、1分など)の株価の重要な情報がぎゅっと詰まっています。
それは、以下の4つの価格です。
- 始値(はじめね):その期間の最初に取引された価格
- 高値(たかね):その期間で一番高かった価格
- 安値(やすね):その期間で一番安かった価格
- 終値(おわりね):その期間の最後に取引された価格
これらをまとめて「四本値(よんほんね)」と呼びます。
ローソク足チャートは、これらの情報をひと目で理解できるように工夫されています。
なぜローソク足チャートが使われるの?
ローソク足チャートが多くの投資家に愛用されているのには、理由があります。
- 視覚的にわかりやすい ただの線グラフよりも、価格が上がったのか下がったのか、どのくらいの範囲で動いたのかが、色の違いや形で直感的に理解できます。 まるで、株価の動きが物語のように見えてくるのです。
- 市場の心理を読む手がかりになる ローソク足の形や並び方から、そのとき市場に参加している人たち(買い手と売り手)が何を考えているのか、どちらの勢いが強いのか、あるいは迷っているのか、といった「市場心理」を読み解くヒントが得られます。 株価は、人々の期待や不安によって動くため、この心理を読むことは非常にたいせつです。
- トレンドの強さや転換点を示唆する ローソク足がいくつか集まってできる特定のパターンは、株価が上昇傾向(トレンド)にあるのか、下降傾向にあるのか、またその勢いは強いのか弱いのかを示してくれます。 さらに、トレンドが終わり、新しい方向に転換するかもしれない「サイン」を見つけるのにも役立ちます。
一本一本のローソクは、その期間の買い手と売り手の「戦いの記録」のようなものです。
どちらが優勢だったのか、どれほど激しい戦いだったのかが、ローソクの形に刻まれます。
この「戦いの記録」を読み解くことで、次に市場がどちらへ向かおうとしているのかを予測する手助けになるのです。
そして、多くの人がこのローソク足チャートという共通の「言語」を使っているため、特定の買いサインや売りサインが出ると、多くの人が同じように行動し、結果としてそのサイン通りの値動きが起こりやすくなる、という側面もあります。
これは魔法ではありませんが、市場参加者の集団心理がチャートに反映される面白い現象です。



1.3 ミニ株投資でローソク足を使うメリット
ミニ株で少しずつ投資を始めるあなたも、ローソク足チャートの見方を知っておくと、より賢い投資判断ができるようになります。
ここでは、ミニ株投資においてローソク足チャートを使う具体的なメリットを見ていきましょう。
売買タイミングの判断に役立つ
ローソク足チャートには、株価が上がりそうなサイン(買いサイン)や、下がりそうなサイン(売りサイン)を示す様々なパターンがあります。
これらのパターンを覚えることで、「いつ買ったらいいのかな?」「いつ売ったらいいのかな?」という売買のタイミングを見極めるヒントが得られます。
ミニ株で少額から投資する場合でも、できるだけ良いタイミングで取引したいですよね。
ローソク足は、そのための強力な味方になってくれます。
リスク管理の意識が高まる
ミニ株は投資金額が少ないためリスクは比較的低いですが、それでも大切なお金です。
ローソク足チャートで、例えば株価が下落しそうなサイン(売りサイン)を早めに察知できれば、損失が大きくなる前に売却を検討したり、追加の購入を見送ったりする判断ができます。
これは、自分の資産を守るための「リスク管理」の第一歩です。
投資の学習効果が格段に上がる
本で読んだり、人から聞いたりした知識もたいせつですが、実際に自分でローソク足チャートを見て、ミニ株で取引してみることで、その知識は生きた経験に変わります。
「このローソク足のパターンが出たから買ってみよう」「予想通り株価が上がった!」「今回は予想と違ったな、なぜだろう?」といった経験を繰り返すことで、ローソク足の読み方や市場の動きに対する理解が深まります。
少額のミニ株だからこそ、失敗をおそれずに実践的な学習ができるのです。
少額でも本格的な分析の練習ができる
将来、もっと大きな金額で株式投資をしたいと考えている人にとっても、ミニ株とローソク足の組み合わせは最適です。
少ない資金で、プロの投資家も使っているローソク足チャート分析の練習ができるからです。
これは、いわば「練習試合」のようなもの。
本番の大きな試合で活躍するために、ミニ株という安全な環境でじっくりとスキルを磨くことができます。
特に、ミニ株の注文は、楽天証券の「かぶミニ」のような一部のサービスを除き、リアルタイムではなく、注文した翌営業日の始値(よりつきね)や終値(おわりね)で約定(売買が成立すること)する場合が多いです。
そのため、日々の株価の動きを示す「日足(ひあし)」のローソク足パターンを見て、翌日の株価の方向性を予測する、といった使い方がミニ株投資ではより現実的です。
ローソク足チャート分析を学ぶことは、ミニ株投資家であるあなたに、闇雲に取引するのではなく、根拠を持って判断するための「羅針盤」を与えるようなものです。
たとえ小さな一歩でも、この知識があれば、あなたのミニ株投資はより確かなものになるでしょう。
この「ミニ株 ローソク足」の組み合わせは、初心者の方が投資の世界を探求するための、まさにうってつけのスタート地点と言えます。



2. ローソク足の読み方をマスターしよう
この章では、ローソク足一本一本が持つ情報の読み解き方を学びます。株価の4つの基本価格である「四本値」の確認方法から、ローソク足の色や形が示す「陽線・陰線」、そして「実体・ヒゲ」の意味までを丁寧に解説。さらに、分析する期間によって変わる「時間足」の種類と、自分の投資スタイルに合わせた選び方についても紹介します。ここを理解すれば、チャートを見るのがもっと楽しくなるはずです。
2.1 四本値(始値・高値・安値・終値)の確認
ローソク足一本には、たくさんの情報が詰まっています。
その基本となるのが「四本値(よんほんね)」です。
これらをしっかり確認することが、ローソク足を読む第一歩です。
四本値とは?
四本値とは、ある一定の期間(例えば1日や1時間など)の株価の動きを示す、次の4つの価格のことを指します。
- 始値(はじめね) その期間が始まったときに、最初に取引された株価です。 例えば、1日の株価を表す「日足(ひあし)」なら、朝一番(通常は午前9時)についた価格が始値になります。
- 高値(たかね) その期間中に、株価が最も高く上がったときの価格です。 一時的にでも、一番高い値段をつけたポイントを示します。
- 安値(やすね) 反対に、その期間中に株価が最も低く下がったときの価格です。 一番安い値段をつけたポイントを示します。
- 終値(おわりね) その期間が終わるときに、最後に取引された株価です。 日足なら、その日の取引終了時(通常は午後3時30分)の価格が終値となります。
これらの四本値は、ローソク足チャートだけでなく、多くのテクニカル分析で使われる基本的なデータです。
終値のたいせつさ
四本値の中でも、特に「終値」は多くの投資家が注目する価格です。
なぜなら、終値はその期間の取引を通じて、買い手と売り手の力がぶつかり合った結果、最終的に市場が「この値段が妥当だ」と判断した価格と考えられるからです。
ローソク足の色(陽線か陰線か)も終値と始値の関係で決まりますし、移動平均線など他の多くのテクニカル指標も終値を使って計算されます。
初心者のうちは、まずこの終値が前の期間と比べて上がったのか下がったのかを意識するところから始めると良いでしょう。
ローソク足を見るということは、この四本値が織りなす株価のドラマを読み解くことです。
どこで始まり、どこまで上がり、どこまで下がり、そしてどこで終わったのか。
このシンプルな4つの情報から、市場の熱気や冷静さ、迷いや決断を感じ取ることができるのです。



2.2 陽線・陰線と実体・ヒゲの意味
ローソク足の見た目は、色と形で特徴づけられます。
「陽線」と「陰線」、そして「実体」と「ヒゲ」。
これらが何を表しているのかを理解すれば、株価の勢いや市場心理が手に取るように分かってきます。
陽線(ようせん)と陰線(いんせん)
ローソク足は、まず色(または塗り方)で大きく2種類に分けられます。
- 陽線(ようせん) 一般的に、チャート上では白抜きで表示されたり、赤や緑といった明るい色で示されたりします(証券会社のツールによって色は異なります)。 陽線は、終値(おわりね)が始値(はじめね)よりも高かったことを意味します。 つまり、その期間中に株価が上昇したということです。 これは、買いの勢いが売りよりも強かったことを示唆しています。
- 陰線(いんせん) 一般的に、黒色で塗りつぶされたり、青や赤(陽線と区別される色)で示されたりします。 陰線は、終値が始値よりも低かったことを意味します。 つまり、その期間中に株価が下落したということです。 これは、売りの勢いが買いよりも強かったことを示唆しています。
実体(じったい)
ローソク足の太い四角い部分を「実体」と呼びます。
実体の上下の辺は、始値と終値を示しています。
陽線の場合、下の辺が始値で、上の辺が終値です。
陰線の場合、上の辺が始値で、下の辺が終値となります。
- 実体の長さの意味 実体が長い(縦に長い)ということは、始値と終値の差が大きいことを意味します。 長い陽線(大陽線 だいようせん)は、強い買いの勢いを示します。 長い陰線(大陰線 だいいんせん)は、強い売りの勢いを示します。 逆に、実体が短い(縦に短い)場合は、始値と終値の差が小さく、値動きがあまりなかったことを意味します。 これは、市場に方向感がなかったり、買いと売りの力が拮抗していたりすることを示唆します。
ヒゲ
実体から上下に伸びる細い線のことを「ヒゲ」または「影(かげ)」と呼びます。
- 上ヒゲ(うわひげ) 実体の上から伸びる線です。 上ヒゲの先端は、その期間中の高値(たかね)を示します。
- 下ヒゲ(したひげ) 実体の下から伸びる線です。 下ヒゲの先端は、その期間中の安値(やすね)を示します。
- ヒゲの長さの意味 ヒゲが長いということは、その方向に一時的に大きく価格が動いたものの、押し戻されたことを意味します。 長い上ヒゲは、一度は高値まで買い上げられたものの、売り圧力に押されて価格が下がったことを示します。 高値圏での抵抗が強い可能性があります。 長い下ヒゲは、一度は安値まで売り込まれたものの、買い支えられて価格が上がったことを示します。 安値圏でのサポートが強い可能性があります。
ヒゲは、価格がそこまで行こうとしたけれど、結局定着できなかった「失敗の足跡」のようなものです。
例えば、長い上ヒゲは「買い方が高値を維持できなかった」、長い下ヒゲは「売り方が安値を維持できなかった」という物語を語っています。
この「失敗」が、しばしば相場の転換点を示唆するのです。
また、実体とヒゲの長さのバランスもたいせつです。
実体が非常に短く、上下に長いヒゲがある場合(例えば「コマ」や「十字線」と呼ばれる形)は、買いと売りの力が激しくぶつかり合ったものの、決着がつかなかったことを意味し、市場の迷いを強く示しています。
逆に、実体が長く、ヒゲがほとんどない場合(例えば「丸坊主」と呼ばれる形)は、一方の勢力が圧倒的に強く、市場に迷いがなかったことを示しています。
このように、ローソク足の各部分が持つ意味を理解することで、単なる価格の上下だけでなく、その背景にある市場参加者の心理状態や力のバランスまで読み解くことができるようになります。



2.3 時間足の種類と選び方(分足〜月足)
ローソク足チャートは、一本のローソクが示す時間の長さによって、見える景色が大きく変わってきます。
この時間の区切りを「時間足(じかんあし)」と呼びます。
自分の投資スタイルに合った時間足を選ぶことが、効果的な分析の第一歩です。
いろいろな時間足
時間足には、短いものから長いものまで、様々な種類があります。
- 分足(ふんあし) 1分、5分、15分、30分など、1分単位で区切られたローソク足です。 非常に短い期間の値動きを細かく見ることができます。 デイトレードなど、1日のうちに何度も売買を繰り返すような短期売買でよく使われます。
- 時間足(じかんあし) 1時間足、4時間足など、1時間単位で区切られたローソク足です。 分足よりは少し長い視点で、数時間から1日程度の値動きの傾向を見るのに使われます。
- 日足(ひあし) 1本のローソク足が1日の値動きを表します。 株式投資では最も一般的に使われる時間足の一つで、数日から数週間のトレンドを見るのに適しています。 多くのニュースや分析も日足をもとに行われることが多いです。
- 週足(しゅうあし) 1本のローソク足が1週間の値動き(月曜日から金曜日まで)を表します。 数週間から数ヶ月といった、中期的なトレンドの把握に適しています。 日々の細かな動きに惑わされず、大きな流れを見たいときに使います。
- 月足(つきあし) 1本のローソク足が1ヶ月間の値動きを表します。 数ヶ月から数年といった、長期的なトレンドや大きな相場のサイクルを見るのに使われます。 長期投資家が重視する時間足です。
時間足の選び方
どの時間足を見るべきかは、あなたがどのような投資をしたいか(投資スタイルや保有期間)によって変わってきます。
- 短期的な売買(数分~1日)を目指すなら:主に分足や時間足を見ます。 ただし、ミニ株の場合、特に楽天証券の「かぶミニ」のリアルタイム取引などを除けば、注文から約定までに時間がかかることが多いため、超短期売買は難しいかもしれません。
- 中期的な売買(数日~数週間)を目指すなら:主に日足や4時間足、週足を見ます。 ミニ株投資でじっくり値上がりを待ちたい場合、このあたりが中心になるでしょう。
- 長期的な投資(数ヶ月~数年)を目指すなら:主に週足や月足を見ます。 日々の細かな値動きよりも、大きなトレンドに乗ることを重視します。
ミニ株初心者におすすめの時間足
ミニ株投資を始めたばかりの初心者の方には、まず「日足(ひあし)」から見ることをおすすめします。
多くのミニ株サービスでは、注文が翌営業日の始値や終値で成立することが一般的です。
そのため、日足で1日の値動きのパターンを確認し、翌日以降のトレンドを予測する方が、現実的な戦略に繋がりやすいからです。
日足に慣れてきたら、より大きな流れを把握するために「週足(しゅうあし)」も合わせて見ると、短期的な動きに惑わされにくくなります。
プロの投資家は、しばしば複数の時間足を組み合わせて分析します。
例えば、週足で大きなトレンド(森全体)を確認し、日足で具体的な売買のタイミング(木々)を探る、といった具合です。
これは「森を見て木も見る」という考え方で、より精度の高い判断に繋がります。
また、一般的に、時間足が短いほど、価格の細かな動き(ノイズと呼ばれることもあります)が多くなり、ダマシのシグナルも出やすくなる傾向があります。
逆に、時間足が長いほど、ノイズは少なくなり、より信頼性の高いトレンドやパターンが現れやすいと言われています。
ミニ株投資で、じっくりと資産形成を目指すなら、日足や週足といった長めの時間足を中心に分析する習慣をつけるのが良いでしょう。



3. ミニ株に役立つ基本ローソク足パターン10選
この章では、ミニ株投資の判断に役立つ、代表的な10個のローソク足パターンを厳選して紹介します。ローソク足1本で判断できる「単一ローソク足パターン」と、複数のローソク足の組み合わせで意味を持つ「複合ローソク足パターン」に分けて、それぞれの形、市場心理、そして特に「買いシグナル」となる可能性について分かりやすく解説します。これらのパターンを覚えれば、チャートから売買のヒントを見つけやすくなるでしょう。
3.1 単一ローソク足パターン
まずは、ローソク足1本だけで相場の状況や今後の動きのヒントを与えてくれる基本的なパターンを見ていきましょう。
シンプルながらも、重要なメッセージを伝えてくれることがあります。
(1) 大陽線・大陰線
ローソク足の「実体」の長さが特に注目されるパターンです。
大陽線(だいようせん)
- 見た目の特徴 実体が非常に長い陽線(白い、または明るい色のローソク足)で、上下のヒゲがほとんどないか、あっても非常に短い状態です。 まるで力強い柱が立ったように見えます。
- 市場心理のヒント 始値から終値まで、一貫して強い買いの勢いが続いたことを示します。 買い方が市場を完全に支配している状態で、投資家の強気な心理が表れています。
- シグナルの種類 強い買いシグナルです。 上昇トレンドが継続している場合や、下降トレンドの底値圏で出現した場合は、新たな上昇トレンドの始まりを示すことがあります。 また、重要な抵抗線を上に抜けるときに大陽線が出ると、そのブレイクが本物である可能性が高まります。
大陰線(だいいんせん)
- 見た目の特徴 実体が非常に長い陰線(黒い、または暗い色のローソク足)で、こちらも上下のヒゲがほとんどないか、非常に短い状態です。
- 市場心理のヒント 始値から終値まで、一貫して強い売りの勢いが続いたことを示します。 売り方が市場を完全に支配しており、投資家の弱気な心理が表れています。
- シグナルの種類 強い売りシグナルです。 下降トレンドの継続や、上昇トレンドの天井圏で出現した場合は、新たな下降トレンドの始まりを示すことがあります。
大陽線や大陰線がどこで出現するかがたいせつです。
例えば、長い間株価が下がり続けた後に大陽線が出現した場合、それは市場の雰囲気が大きく変わったサインかもしれません。
それまで売りが優勢だったのが、買いの勢いが圧倒したことを意味し、力強い反転上昇の期待が高まります。
逆に、上昇が続いた高値圏で大陰線が出れば、利益確定の売りや新規の売りが殺到し、下落への転換点となることがあります。



(2) トンボ・トウバ
実体がほとんどなく、長いヒゲが特徴的な「同時線(どうじせん)」の一種です。
市場の転換点を示唆することがあります。
トンボ
- 見た目の特徴 始値と終値と高値がほぼ同じ価格で、下に長いヒゲが伸びた形です。 アルファベットの「T」のような形に見えます。 実体はほとんどありません。
- 市場心理のヒント 取引時間中に一度は大きく売り込まれて安値をつけたものの、その後強い買い戻しが入り、結局は始値付近まで価格が戻ったことを示します。 つまり、安い価格帯では買いたいという力が強く働いた(下値での買い支えがあった)ことを意味します。 売り方が一度は優勢になったものの、買い方に押し返された形です。
- シグナルの種類 買いシグナルとなることがあります。 特に、株価が下落している状況(下降トレンド)の底値圏でトンボが出現すると、相場が上昇に転じる可能性を示唆します。
トウバ(塔婆)
- 見た目の特徴 トンボとは逆に、始値と終値と安値がほぼ同じ価格で、上に長いヒゲが伸びた形です。 逆さの「T」のような形や、お墓に立てる木の板(塔婆)に似ていることからこの名前がつきました。 実体はほとんどありません。
- 市場心理のヒント 取引時間中に一度は大きく買い上げられて高値をつけたものの、その後強い売り圧力に押されて、結局は始値付近まで価格が下がったことを示します。 つまり、高い価格帯では売りたいという力が強く働いた(上値での売り圧力があった)ことを意味します。 買い方が一度は優勢になったものの、売り方に押し返された形です。
- シグナルの種類 売りシグナルとなることがあります。 特に、株価が上昇している状況(上昇トレンド)の天井圏でトウバが出現すると、相場が下落に転じる可能性を示唆します。
トンボやトウバのような同時線は、それまでのトレンドの勢いが弱まり、市場に迷いが生じている状態を表します。
そのため、これらのローソク足が出現した次の足の動きが非常にたいせつになります。
例えば、トンボが出た後に陽線が続けば、上昇への転換の信頼性が高まります。
逆に、陰線が続けば、トンボの買いシグナルは否定されたと考えることができます。
このように、1本のローソク足だけでなく、その前後の流れや次の足の動きも合わせて判断することが、より正確な分析に繋がります。



(3) カラカサ・トンカチ
これらのパターンも、実体が小さくヒゲが長いのが特徴で、相場の転換点を示唆することがあります。
形が日本の昔ながらの道具に似ていることから名付けられました。
カラカサ(傘)
- 見た目の特徴 実体がローソク足の上の方に小さくあり、下に長いヒゲが伸びている形です。 上ヒゲはほとんどないか、あっても非常に短いです。 開いた傘(カラカサ)や、金槌(かなづち、英語ではハンマー)に似ています。 実体の色は陽線でも陰線でも構いませんが、陽線の方がより強い買いのサインとされることがあります。
- 市場心理のヒント トンボと似ていますが、カラカサは少し実体があります。 取引時間中に大きく売り込まれて安値をつけたものの、その後買い戻されて、始値に近い水準か、それよりも少し高い水準で引けたことを示します。 下値では強い買い支えがあったことを意味し、売り方が価格を押し下げようとしたものの、買い方の抵抗にあって失敗した様子を表しています。
- シグナルの種類 買いシグナルとなることがあります。 特に、下降トレンドの底値圏でカラカサ(陽線・陰線問わず)が出現すると、上昇への転換を示唆する重要なサインとされます。 「首吊り線(くびつりせん)」と呼ばれる、高値圏で出現する同じ形のローソク足は売りのサインとなるため、出現する場所が非常にたいせつです。 この記事では、底値圏での買いシグナルとしてのカラカサに注目します。
トンカチ(金槌)
- 見た目の特徴 カラカサとは逆に、実体がローソク足の下の方に小さくあり、上に長いヒゲが伸びている形です。 下ヒゲはほとんどないか、あっても非常に短いです。 こちらも金槌(トンカチ、英語ではシューティングスター)に似ています。 実体の色は陽線でも陰線でも構いませんが、陰線の方がより強い売りのサインとされることがあります。
- 市場心理のヒント トウバと似ていますが、トンカチも少し実体があります。 取引時間中に大きく買い上げられて高値をつけたものの、その後売り圧力に押されて、始値に近い水準か、それよりも少し低い水準で引けたことを示します。 上値では強い売り圧力があったことを意味し、買い方が価格を押し上げようとしたものの、売り方の抵抗にあって失敗した様子を表しています。
- シグナルの種類 売りシグナルとなることがあります。 特に、上昇トレンドの天井圏でトンカチが出現すると、下落への転換を示唆する重要なサインとされます。 「逆カラカサ(逆ハンマー)」と呼ばれる、安値圏で出現する同じ形のローソク足は買いのサインとなることがありますが、トンカチは天井圏での売りのサインとして知られています。
カラカサもトンカチも、ヒゲの長さが実体の2倍以上あることが望ましいとされています。
ヒゲが長いほど、その方向への価格の動きが強く否定されたことを意味し、反転の可能性が高まります。
カラカサが下降トレンドの底値圏で出現したら、それは「もうこれ以上は下がらないぞ」という市場からのメッセージかもしれません。
逆に、トンカチが上昇トレンドの天井圏で出現したら、「そろそろ上昇も終わりかな」というサインと捉えることができます。



(4) 丸坊主(まるぼうず)
ヒゲが全くないか、あっても極めて短いローソク足のことを「丸坊主」と呼びます。
市場の一方的な強い勢いを示します。
陽の丸坊主(ようのまるぼうず)
- 見た目の特徴 上下のヒゲが全くなく、長い実体だけからなる陽線です。 始値が安値、終値が高値と一致します。 まさに、頭を丸めたお坊さんのように、スッキリとした形です。
- 市場心理のヒント 取引開始から終了まで、一貫して買いの勢いが非常に強く、売り方が全く抵抗できなかった状態を示します。 市場参加者の極めて強気な心理状態を表しています。
- シグナルの種類 非常に強い買いシグナルです。 上昇トレンドの途中で出現すれば、トレンドのさらなる加速を示唆します。 下降トレンドの底値圏や保ち合い相場から上放れる時に出現すれば、力強い上昇トレンドの開始を告げるサインとなります。
陰の丸坊主(いんのまるぼうず)
- 見た目の特徴 上下のヒゲが全くなく、長い実体だけからなる陰線です。 始値が高値、終値が安値と一致します。
- 市場心理のヒント 取引開始から終了まで、一貫して売りの勢いが非常に強く、買い方が全く抵抗できなかった状態を示します。 市場参加者の極めて弱気な心理状態を表しています。
- シグナルの種類 非常に強い売りシグナルです。 下降トレンドの途中で出現すれば、トレンドのさらなる加速を示唆します。 上昇トレンドの天井圏や保ち合い相場から下放れる時に出現すれば、力強い下降トレンドの開始を告げるサインとなります。
完全な丸坊主は、実際のチャートではそれほど頻繁には現れません。
多くの場合、ほんの少しだけヒゲがついていることがあります。
それでも、実体がヒゲに比べて圧倒的に長ければ、丸坊主に近い強い勢いを示していると考えて良いでしょう。
例えば、始値近辺にだけ短いヒゲがある「陽の寄り付き坊主(ようのよりつきぼうず)」や、終値近辺にだけ短いヒゲがある「陽の大引け坊主(ようのおおびけぼうず)」など、いくつかのバリエーションがあります。
これらも、それぞれの形で買いの勢いの強さや持続性を示唆しています。
丸坊主は、その名の通り、市場の迷いがなく、一方向に突き進む強い意志を感じさせるローソク足です。



3.2 複合ローソク足パターン
次に、2本以上のローソク足を組み合わせて意味を読み解くパターンを見ていきましょう。
1本のローソク足よりも、より信頼性の高いシグナルを発することがあると言われています。
(1) 包み足(陽包み・陰包み)
「つつみあし」と読み、前のローソク足を後のローソク足が完全に包み込んでしまう形です。
トレンドの転換を示す代表的なパターンの一つです。
陽の包み(ようのつつみ)
- 見た目の特徴 2本のローソク足で構成されます。 1本目が陰線(通常は実体が短め)で、2本目が大きな陽線となり、この2本目の陽線の実体が1本目の陰線の実体を完全に包み込んでいる状態です。 1本目の陰線の高値と安値まで包み込むと、より強い形とされます。
- 市場心理のヒント 1本目の陰線で示された売りの流れを、2本目の大きな陽線が完全に打ち消し、買いの勢いが圧倒したことを示します。 市場のセンチメント(雰囲気)が弱気から強気へ一気に転換したことを意味します。
- シグナルの種類 強い買いシグナルです。 特に、下降トレンドの底値圏で陽の包みが出現すると、上昇への力強い転換を示唆します。
陰の包み(いんのつつみ)
- 見た目の特徴 こちらも2本のローソク足で構成されます。 1本目が陽線(通常は実体が短め)で、2本目が大きな陰線となり、この2本目の陰線の実体が1本目の陽線の実体を完全に包み込んでいる状態です。
- 市場心理のヒント 1本目の陽線で示された買いの流れを、2本目の大きな陰線が完全に打ち消し、売りの勢いが圧倒したことを示します。 市場のセンチメントが強気から弱気へ一気に転換したことを意味します。
- シグナルの種類 強い売りシグナルです。 特に、上昇トレンドの天井圏で陰の包みが出現すると、下落への力強い転換を示唆します。
包み足の信頼性は、2本目のローソク足の出来高(取引量)が多いほど高まると言われています。
出来高が多いということは、それだけ多くの市場参加者がその方向への動きに賛同し、実際に取引に参加したことを意味するからです。
つまり、その転換がより「本物」である可能性が高まるのです。
ミニ株の取引では個々の出来高情報が直接影響しにくいかもしれませんが、全体の出来高が増加している中での包み足の出現は、より注目に値するでしょう。



(2) はらみ足
「はらみあし」と読み、母体が子をはらんでいるように見えることから名付けられました。
包み足とは逆の形で、トレンドの勢いが弱まっていることを示唆します。
強気のはらみ(つよきのはらみ)
- 見た目の特徴 2本のローソク足で構成されます。 1本目が大きな陰線(母体)で、2本目が小さな陽線(子)となり、この2本目の陽線の実体が1本目の陰線の実体の範囲内に完全に収まっている状態です。 2本目のローソク足の高値と安値も1本目のローソク足の範囲内にあることが一般的です。
- 市場心理のヒント 1本目の大きな陰線で強い売り圧力があった後、2本目の小さな陽線では値動きが小さくなり、売り圧力が弱まったことを示します。 買いと売りの力が拮抗し始め、市場が小休止している状態、あるいはトレンド転換の準備をしている可能性を示唆します。
- シグナルの種類 買いシグナルの可能性を示します。 特に、下降トレンドの底値圏で強気のはらみが出現すると、下落の勢いが衰え、上昇に転じる可能性を示唆します。 ただし、包み足ほど強い転換シグナルではなく、トレンドの勢いが弱まった「一時停止」のサインと見ることもできます。 そのため、この後にもう1本陽線が続くなど、上昇の確認を待つのがより安全な場合があります。
弱気のはらみ(よわきのはらみ)
- 見た目の特徴 こちらも2本のローソク足で構成されます。 1本目が大きな陽線(母体)で、2本目が小さな陰線(子)となり、この2本目の陰線の実体が1本目の陽線の実体の範囲内に完全に収まっている状態です。
- 市場心理のヒント 1本目の大きな陽線で強い買い圧力があった後、2本目の小さな陰線では値動きが小さくなり、買い圧力が弱まったことを示します。 市場が上昇の勢いを失い、小休止しているか、下落への転換を準備している可能性を示唆します。
- シグナルの種類 売りシグナルの可能性を示します。 特に、上昇トレンドの天井圏で弱気のはらみが出現すると、上昇の勢いが衰え、下落に転じる可能性を示唆します。
はらみ足の2本目のローソク足(子)が「同時線(十字線)」である場合、「はらみ寄せ線」または「はらみクロス」と呼ばれ、より強い転換のサインとされることがあります。
同時線自体が市場の迷いを強く示すため、大きなトレンドの後にこれが出現すると、トレンド転換の可能性が高まると考えられるからです。
はらみ足は、市場のエネルギーが一時的に収縮している状態を表します。
この収縮の後、再びエネルギーがどちらかの方向に放出されることが多いため、その後の動きに注目が集まります。



(3) ピンバー/スパイクハイ・ロー
これらのパターンは、実体が小さく、片方に非常に長いヒゲを持つローソク足で、価格がそのヒゲの方向に強く拒否されたことを示します。
単一ローソク足のトンボ、トウバ、カラカサ、トンカチと非常に似ていますが、より広い意味で使われることもあります。
ピンバー
- 見た目の特徴 実体が非常に小さく、その実体に対して片方のヒゲが実体の2倍から3倍以上も長く伸びているローソク足です。 反対側のヒゲは非常に短いか、ほとんどありません。 その形が画鋲(ピン)やピノキオの鼻に似ていることから「ピンバー」と呼ばれます。
- 上昇ピンバー(強気のピンバー) 長い下ヒゲを持ち、実体がローソク足の上部にある形です。 下降トレンドの底値圏で出現すると、強い買い支えがあったことを示し、上昇への転換を示唆します。 これは「カラカサ」や「トンボ」とほぼ同じ意味合いです。 買いシグナルとなります。
- 下降ピンバー(弱気のピンバー) 長い上ヒゲを持ち、実体がローソク足の下部にある形です。 上昇トレンドの天井圏で出現すると、強い売り圧力があったことを示し、下落への転換を示唆します。 これは「トンカチ」や「トウバ」とほぼ同じ意味合いです。 売りシグナルとなります。
スパイクハイ・ロー
「スパイク」とは、価格が一時的に突出して動くことを意味します。
ピンバーとほぼ同義で使われることが多いですが、特にヒゲの先端が周囲の価格から大きく突き出ている状態を指すことがあります。
- スパイクロー 株価が一時的に大きく下落し、長い下ヒゲを形成して引けた状態です。 下降トレンドの底値圏で出現した場合、底打ちと上昇転換の可能性を示唆します。 これも買いシグナルと見なされます。
- スパイクハイ 株価が一時的に大きく上昇し、長い上ヒゲを形成して引けた状態です。 上昇トレンドの天井圏で出現した場合、天井打ちと下落転換の可能性を示唆します。
ピンバーやスパイクハイ・ローが、過去に何度も価格が反転した「サポートライン(支持線)」や「レジスタンスライン(抵抗線)」の近くで出現すると、その信頼性はさらに高まります。
例えば、下降トレンド中にサポートラインまで株価が下がり、そこで長い下ヒゲを持つピンバー(スパイクロー)が出現した場合、そのサポートラインが機能し、買い手が強く反撃したことを意味します。
これは、複数のテクニカルな根拠が同じ方向を示しているため、より強力な買いシグナルとなるのです。



(4) 上昇・下降の並び赤(連続陽線・陰線)
ローソク足が同じ方向に連続して出現するパターンは、トレンドの勢いや継続性を示唆します。
ここでは、特に「並び赤」という形と、一般的な連続陽線・陰線について触れます。
並び赤(ならびあか)
- 見た目の特徴 「並び赤」は、陽線が2本並んで出現する形ですが、特に「上放れ並び赤(うわっぱなれならびあか)」という形が知られています。 これは、上昇トレンドの途中で、前のローソク足から窓(空間)を開けて上に寄り付き、さらに陽線が2本並んで出現するパターンです。 2本の陽線は、ほぼ同じくらいの始値と終値を持ち、実体の大きさも似ていることが多いです。
- 市場心理のヒント 買いの勢いが非常に強く、窓を開けて上昇するほどの力があることを示します。 2本の陽線が並ぶことで、その勢いが継続していることを確認できます。
- シグナルの種類 強い上昇継続の買いシグナルとされます。 「並び黒(ならびぐろ)」はその逆で、下降トレンド中の下放れで陰線が2本並ぶ形で、強い下落継続のサインとなります。
連続陽線・連続陰線
より一般的に、同じ色のローソク足が連続して出現することも、トレンドの方向性を示す手がかりとなります。
- 連続陽線(れんぞくようせん) 陽線が2本、3本と連続して出現する場合、買いの勢いが続いていることを示します。 特に、実体が長く、しっかりとした陽線が続く場合は、上昇トレンドが強いと考えられます。 後述する「赤三兵」もこの一種です。
- 連続陰線(れんぞくいんせん) 陰線が2本、3本と連続して出現する場合、売りの勢いが続いていることを示します。 下降トレンドが強いと考えられます。 後述する「黒三兵」もこの一種です。
ただし、連続陽線が何本も続いた後、特に非常に長い陽線が連続した場合は、過熱感から反落する可能性(買い疲れ、利益確定売り)も考慮に入れる必要があります。
市場は一直線には動き続けないため、ある程度のところで調整が入ることが自然です。
「並び赤」のような特定の形は強いシグナルですが、単純な連続陽線・陰線も、その本数や各ローソク足の形(実体やヒゲの長さ)を観察することで、トレンドの勢いや持続性、あるいは転換の兆候を読み取るヒントになります。



(5) モーニングスター/イブニングスター
これらは3本のローソク足で構成される、代表的なトレンド転換パターンです。
日本語ではそれぞれ「明けの明星(あけのみょうじょう)」「宵の明星(よいのみょうじょう)」とも呼ばれます。
モーニングスター(明けの明星)
- 見た目の特徴 下降トレンドの底値圏で出現する、3本のローソク足の組み合わせです。
- 1本目:大きな陰線(下降トレンドが続いていることを示す)。
- 2本目:1本目の終値から下に窓(空間)を開けて寄り付き、実体の短いローソク足(陽線でも陰線でも、同時線でも可)。この2本目が「星(スター)」です。
- 3本目:2本目の星から上に窓を開けて寄り付き、1本目の陰線の実体の中に大きく食い込むような大きな陽線。
- 市場心理のヒント 1本目の大陰線で売り方が優勢ですが、2本目の星で売り圧力が弱まり、買いと売りの力が拮抗します(市場の迷い)。 そして3本目の大陽線で買い方が一気に優勢となり、市場のセンチメントが弱気から強気へと大きく転換したことを示します。 夜明けの空に輝く明けの明星のように、暗い下降トレンドの終わりと新しい上昇トレンドの始まりを告げるイメージです。
- シグナルの種類 非常に信頼性の高い買いシグナルとされています。 特に、2本目の星が1本目と3本目の両方から窓を開けて孤立している(上下に窓がある)場合や、星が同時線(十字線)である場合は、より強力なサインと言われます。
イブニングスター(宵の明星)
- 見た目の特徴 上昇トレンドの天井圏で出現する、3本のローソク足の組み合わせです。 モーニングスターと逆の形になります。
- 1本目:大きな陽線(上昇トレンドが続いていることを示す)。
- 2本目:1本目の終値から上に窓を開けて寄り付き、実体の短いローソク足(陽線でも陰線でも、同時線でも可)。これが「星」です。
- 3本目:2本目の星から下に窓を開けて寄り付き、1本目の陽線の実体の中に大きく食い込むような大きな陰線。
- 市場心理のヒント 1本目の大陽線で買い方が優勢ですが、2本目の星で買い圧力が弱まり、市場に迷いが生じます。 そして3本目の大陰線で売り方が一気に優勢となり、市場のセンチメントが強気から弱気へと大きく転換したことを示します。 夕暮れの空に現れる宵の明星のように、明るい上昇トレンドの終わりと新しい下降トレンドの始まりを告げるイメージです。
- シグナルの種類 非常に信頼性の高い売りシグナルとされています。
モーニングスターやイブニングスターの「星」となる2本目のローソク足は、市場の転換点における「迷い」や「力の均衡」を象徴しています。
下降トレンドの中で売りが続いていたところに、突然小さな星が現れることで、「あれ?売りの勢いが止まったかな?」と市場参加者が感じ始めます。
そして、その次に力強い陽線(モーニングスターの場合)が出現することで、「やはり買いだ!」という確信に変わるのです。
この心理的な変化が、トレンドを転換させる大きな力となります。



(6) 三兵(赤三兵/黒三兵)
「さんぺい」と読みます。同じ色の陽線または陰線が3本連続して出現するパターンで、トレンドの発生や継続を強く示唆します。
赤三兵(あかさんぺい)
- 見た目の特徴 陽線が3本連続して出現する形です。 理想的な形としては、各陽線が前の陽線の終値よりも高い位置で始まり(あるいは前の陽線の実体内で始まり)、前の陽線の高値を更新して終わります。 また、3本の陽線とも実体が比較的長く、上ヒゲが短いかほとんどない状態が望ましいとされます。 階段を一段ずつ上っていくようなイメージです。
- 市場心理のヒント 3日間にわたって、着実に買いの勢いが強まっていることを示します。 市場参加者の間に強気な見方が広がり、積極的に買いが入っている状態です。
- シグナルの種類 強い買いシグナルです。 特に、下降トレンドの後や、長期間のもみ合い相場の後に赤三兵が出現すると、本格的な上昇トレンドの始まりを示す可能性が高いとされています。
黒三兵(くろさんぺい)
- 見た目の特徴 陰線が3本連続して出現する形です。 「三羽烏(さんばがらす)」とも呼ばれます。 理想的な形としては、各陰線が前の陰線の終値よりも低い位置で始まり(あるいは前の陰線の実体内で始まり)、前の陰線の安値を更新して終わります。 3本の陰線とも実体が比較的長く、下ヒゲが短いかほとんどない状態が望ましいです。
- 市場心理のヒント 3日間にわたって、着実に売りの勢いが強まっていることを示します。 市場参加者の間に弱気な見方が広がり、積極的に売りが出ている状態です。
- シグナルの種類 強い売りシグナルです。 特に、上昇トレンドの後や、長期間のもみ合い相場の後に黒三兵が出現すると、本格的な下降トレンドの始まりを示す可能性が高いとされています。
赤三兵が出現したからといって、必ずしもその後一直線に上昇し続けるわけではありません。
時には、3本目の陽線の上ヒゲが長くなったり、出来高が減少したりするなど、上昇の勢いが弱まっているサインが見られることもあります。
これを「赤三兵の先詰まり(さきづまり)」などと呼び、一時的な調整や反落の可能性を示唆することがあります。
しかし、基本的な赤三兵は、市場が力強く上昇方向に動き出したことを示す頼もしいサインの一つです。
ミニ株投資でトレンドフォロー(上昇トレンドに乗って買う戦略)を考える際には、赤三兵のようなパターンは良いエントリーのきっかけになるかもしれません。



4. 実践!ミニ株トレードへの応用
この章では、これまで学んだローソク足の知識を、実際のミニ株トレードにどう活かすかについて解説します。買いのタイミング(エントリー)をどのように見極めるか、利益を確定するサインや損失を限定するための損切りポイントの考え方、さらにローソク足と移動平均線や出来高といった他の指標を組み合わせたシンプルな戦略まで、具体的な応用方法を紹介します。これらの実践的な知識は、あなたのミニ株投資をより戦略的なものにするでしょう。
4.1 エントリーのタイミングを測る
ローソク足パターンを学んだら、次はいよいよ実際の取引で「いつ買うか(エントリーするか)」というタイミングを見極める方法です。
ただし、ローソク足のサインはあくまで可能性を示すもので、100%確実な未来を教えてくれるわけではないことを心に留めておきましょう。
買いシグナルが出たら検討開始
株価が下落した後や、しばらく横ばいの動き(保ち合い)が続いた後に、以下のような代表的な「買いシグナル」のローソク足パターンが出現したら、買いを検討するタイミングかもしれません。
- カラカサ(ハンマー):下降トレンドの底で出現。
- 陽の包み(強気の包み足):陰線を大きな陽線が包み込む。
- モーニングスター(明けの明星):3本のローソク足で底打ちを示唆。
- トンボ:長い下ヒゲを持つ同時線が底値で出現。
- 赤三兵:陽線が3本連続。
これらのサインが出たら、「もしかしたら、ここから株価が上がるかもしれない」と考えることができます。
ローソク足の完成を待つ
たいせつなのは、ローソク足のパターンが完全に形成される(その期間の取引が終わってローソク足が確定する)のを待ってから判断することです。
例えば、日足を見ているなら、その日の取引が終わる午後3時30分(東京証券取引所の場合)を過ぎてローソク足が確定してから、「これはカラカサだ」と判断します。
取引時間中に形がそれっぽく見えても、引けまでには形が変わってしまうこともあるからです。
ミニ株の約定タイミングを考慮する
多くの証券会社のミニ株(単元未満株)サービスでは、注文を出してもすぐに約定(売買成立)するわけではありません(楽天証券の「かぶミニ」のリアルタイム取引などを除く)。
例えば、今日の取引終了後に日足で買いシグナルを確認し、夜に買い注文を出したとします。
その注文は、翌営業日の始値(朝一番の価格)や、場合によっては前場または後場の始値で約定することが一般的です。
つまり、買いシグナルが出た瞬間の価格で買えるわけではないのです。
しかし、強い買いシグナルが出たということは、翌日以降もその勢いが続く可能性が高いと考えられます。
このため、多少価格がずれても、その後の上昇の流れに乗ることを目指すのが、ミニ株でのローソク足エントリーの考え方です。
「確認のローソク足」を見る
より慎重にエントリータイミングを測りたい場合は、「確認のローソク足」を見るという方法もあります。
例えば、カラカサ(買いシグナル)が出現した後、次のローソク足も陽線で、カラカサの高値を更新するような動きを見せたとします。
この2本目の陽線が「買いの勢いが本物であること」を確認させてくれるため、より安心してエントリーできるかもしれません。
ただし、この場合、エントリー価格は少し高くなる可能性があります。
エントリーのタイミングは、ご自身の投資スタイルやリスクの許容度に合わせて、慎重に判断しましょう。



4.2 利益確定と損切りのサイン
株を買った後、いつ売るか(利益を確定するか、損失を限定するか)を決めるのも、投資のたいせつなポイントです。
ローソク足は、この出口戦略にもヒントを与えてくれます。
利益確定(りえきかくてい)のサイン
株価が順調に上昇し、利益が出ている状況で、そろそろ売って利益を確定したいと考えたとします。
そんなとき、上昇トレンドの天井圏で以下のような「売りシグナル」のローソク足パターンが出現したら、利益確定を検討するタイミングかもしれません。
- トウバ(グレイブストーン・ドテン):上昇トレンドの天井で出現。
- トンカチ(シューティングスター):長い上ヒゲを持つ。
- 陰の包み(弱気の包み足):陽線を大きな陰線が包み込む。
- イブニングスター(宵の明星):3本のローソク足で天井打ちを示唆。
- 黒三兵(三羽烏):陰線が3本連続。
これらのサインは、上昇の勢いが弱まったり、売り圧力が強まったりしていることを示唆し、株価が下落に転じる可能性を示しています。
損切り(そんぎり)のサイン
残念ながら、株価が予想と反対に動いてしまい、損失が出てしまうこともあります。
そんなとき、損失がさらに拡大するのを防ぐために、ある程度のところで見切りをつけて売ることを「損切り」といいます。
これは、投資を長く続けていく上で非常にたいせつな考え方です。
ミニ株(単元未満株)の損切り注文について
ここで注意が必要なのは、多くの証券会社のミニ株(単元未満株)サービスでは、「逆指値注文(ぎゃくさしねちゅうもん)」という、あらかじめ「この価格まで下がったら自動的に売る」といった設定ができる注文方法が利用できません。
逆指値注文は、通常の単元株取引でよく使われるリスク管理の手法です。
そのため、ミニ株での損切りは、基本的に自分自身でチャートを見て判断し、手動で売り注文を出すことになります。
損切りの目安
では、どのような場合に損切りを検討するのでしょうか。
- 買いシグナルが否定されたとき 例えば、カラカサ(買いシグナル)が出現したので買ったものの、その後株価が上昇せず、逆にカラカサの安値を下回ってしまった場合。 これは、買いシグナルが機能しなかった(否定された)と考えられます。 この安値を下回ったポイントを損切りの目安とすることができます。
- 明確な売りシグナルが出現したとき 買った後に、上記で挙げたような強い売りシグナルのローソク足パターンが出現した場合も、損切りを検討するタイミングです。
- 事前に決めた損失許容額に達したとき 「投資金額の〇%下がったら売る」というように、自分の中で損失の許容範囲をあらかじめ決めておくのも一つの方法です。
損切りは精神的に難しい判断ですが、感情に流されず、事前に決めたルールに従って機械的に行うことが、長期的に見て資産を守ることに繋がります。
ミニ株は少額から始められるため、損切りを経験し、そのたいせつさを学ぶ良い練習の場とも言えるでしょう。



4.3 ローソク足×移動平均線のシンプル戦略
ローソク足だけでも多くの情報が得られますが、他のテクニカル指標と組み合わせることで、より分析の精度を高めることができます。
ここでは、初心者にも分かりやすい「移動平均線(いどうへいきんせん)」との組み合わせ戦略を紹介します。
移動平均線とは?
移動平均線は、ある一定期間の終値の平均値を計算し、それを線で結んだものです。
例えば、「5日移動平均線」なら過去5日間の終値の平均、「25日移動平均線」なら過去25日間の終値の平均を毎日計算して繋いでいきます。
株価の細かな動きをならして、大きなトレンドの方向性を見やすくする効果があります。
線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド、横ばいなら方向感のない保ち合い相場と判断できます。
ローソク足と移動平均線の組み合わせ方
- 移動平均線をサポートライン・レジスタンスラインとして使う 上昇トレンドでは、移動平均線が株価の下値を支える「サポートライン(支持線)」として機能することがよくあります。 株価が上昇中に一時的に下がり、移動平均線に近づいたところで、カラカサや陽の包みのような買いシグナルのローソク足が出現したら、それは移動平均線で反発した可能性を示し、より信頼性の高い買いのチャンスとなることがあります。 逆に、下降トレンドでは、移動平均線が上値を抑える「レジスタンスライン(抵抗線)」として機能することがあります。
- ゴールデンクロス・デッドクロスと組み合わせる 期間の短い移動平均線(例:5日線や25日線)が、期間の長い移動平均線(例:25日線や75日線)を下から上に突き抜けることを「ゴールデンクロス」と呼びます。 これは一般的に、強い買いシグナルとされ、本格的な上昇トレンドの始まりを示唆することがあります。 このゴールデンクロスが発生するタイミングや、発生した直後に、ローソク足で大陽線や赤三兵のような強い買いパターンが出現すれば、さらに信頼性の高い買いシグナルと考えることができます。 逆に、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けることを「デッドクロス」と呼び、これは一般的に強い売りシグナルとされます。
よく使われる移動平均線の組み合わせ
日足チャートでよく使われる移動平均線の組み合わせとしては、以下のようなものがあります。
- 短期線:5日移動平均線
- 中期線:25日移動平均線
- 長期線:75日移動平均線
これらの線をチャートに表示させ、ローソク足の位置関係や線の向き、クロス(交差)に注目します。
移動平均線は、いわば「トレンドの道しるべ」です。
ローソク足が示す短期的な売買サインも、この道しるべが示す大きな流れと同じ方向を向いているときに、より信頼性が増すと考えられます。
例えば、移動平均線が上向きで上昇トレンドを示しているときに、ローソク足で買いシグナルが出れば、それはトレンドに乗る良い機会かもしれません。
初心者の方は、まずローソク足と1本か2本の移動平均線を組み合わせることから始めると、シンプルで分かりやすい分析ができるでしょう。



4.4 出来高・ボリュームとの併用
株価の動きを分析する上で、ローソク足や移動平均線と並んでたいせつな情報が「出来高(できだか)」です。
出来高とは、ある一定期間に売買が成立した株の総数のことで、市場の関心度やエネルギーの大きさを示します。
出来高とは?
通常、ローソク足チャートの下に、棒グラフで表示されているのが出来高です。
株価が大きく動いた日や、特定のニュースが出た日などには、この出来高の棒グラフも長くなる(出来高が増える)傾向があります。
出来高とローソク足の組み合わせ方
出来高は、ローソク足が示すシグナルの信頼性を測る上で役立ちます。
- 出来高はトレンドを裏付ける 一般的に、株価が上昇トレンドにあるとき、出来高も増加傾向にあると、その上昇トレンドは力強いと判断されます。 逆に、株価は上がっているのに出来高が減少している場合は、上昇の勢いが弱まっている可能性があり、注意が必要です。
- ローソク足パターンと出来高 例えば、下降トレンドの底値圏で「陽の包み」や「モーニングスター」といった強い買いシグナルのローソク足パターンが出現したとします。 このとき、同時に出来高も普段より大きく増加していれば、その買いシグナルはより信頼性が高いと考えられます。 多くの市場参加者がその価格帯で活発に売買し、結果として買いが優勢になったことを意味するからです。 また、株価が重要な抵抗線を上にブレイクアウト(突破)する際に、大きな陽線とともに出来高が急増した場合も、そのブレイクが本物である可能性が高いと判断できます。
ミニ株投資と出来高
ミニ株(単元未満株)の取引自体は、市場全体の出来高に大きな影響を与えることは少ないかもしれません。
しかし、その銘柄全体の出来高を見ることは、市場全体の関心度や、その株価の動きがどれだけ多くの投資家によって支持されているかを知る上で参考になります。
出来高が少ない銘柄の注意点
出来高が極端に少ない銘柄(流動性が低い銘柄とも言います)は、少しの買い注文や売り注文で株価が大きく変動しやすかったり、希望する価格で売買が成立しにくかったりするリスクがあります。
ローソク足のパターンも、出来高が少ないと一部の投資家の行動によって形成されやすく、必ずしも市場全体の総意を反映していない可能性があります。
初心者の方は、ある程度出来高があり、多くの投資家が注目している銘柄のミニ株から始める方が、安心して取引できるかもしれません。
出来高は、いわば「市場のエネルギー」です。
価格(ローソク足)が動く方向だけでなく、その動きにどれだけのエネルギーが伴っているか(出来高)を見ることで、より深く市場を理解することができます。
価格が上昇していても出来高が伴っていなければ、それは見かけ倒しかもしれません。
逆に、価格が重要なポイントを突破するときに大きな出来高を伴えば、それは本物の動きである可能性が高まります。



5. 証券会社ツールでのローソク足表示方法
この章では、代表的なネット証券会社の取引ツールやアプリで、ミニ株(単元未満株)のローソク足チャートを表示し、分析するための基本的な設定手順を解説します。SBI証券、楽天証券、auカブコム証券、マネックス証券の各サービスを取り上げ、ローソク足の表示方法、時間足の切り替え、移動平均線や出来高の追加方法などを紹介します。これらのツールを使いこなせれば、学んだ知識をすぐに実践に活かせます。
ローソク足チャートの読み方を学んだら、次は実際に証券会社の取引ツールでチャートを見てみましょう。
ほとんどの証券会社のスマートフォンアプリやパソコン用の取引ツールには、高機能なチャート表示機能が備わっており、ローソク足チャートも標準で利用できます。
ここでは、主要なネット証券会社のミニ株(単元未満株)サービスで、ローソク足チャートを表示し、基本的な設定を行う手順の概要を紹介します。
ツールの見た目や操作方法は証券会社ごとに多少異なりますが、基本的な考え方は共通しています。
ミニ株(単元未満株)サービス主要4社比較(手数料・取引方法など)
ローソク足チャートの設定方法を見る前に、各社のミニ株サービスの特徴を簡単に確認しておきましょう。
これらの情報は、2024年5月現在の情報や提供された資料に基づいています。
最新の正確な情報は必ず各証券会社の公式サイトでご確認ください。
- SBI証券「S株(エスかぶ)」
- 取引可能単位:1株から
- 買付手数料:無料
- 売却手数料:無料
- リアルタイム取引:不可(注文時間により、翌営業日の前場始値または後場始値などで約定)
- 指値注文:不可(成行注文のみ)
- 楽天証券「かぶミニ®」
- 取引可能単位:1株から
- 買付手数料:無料(ゼロコースの場合)
- 売却手数料:無料(ゼロコースの場合)
- リアルタイム取引の場合、別途スプレッド(0.22%)が発生します。
- リアルタイム取引:可能(東証立会時間中 9:00-11:30、12:30-15:25)
- 指値注文:可能(リアルタイム取引の場合)
- auカブコム証券「プチ株®」
- 取引可能単位:1株から
- 買付手数料:約定代金の0.55%(税込)、最低手数料52円(税込)。
- プレミアム積立®(プチ株®の積立買付)の場合は無料。
- 売却手数料:約定代金の0.55%(税込)、最低手数料52円(税込)。
- リアルタイム取引:不可(注文時間により、当日後場始値または翌営業日前場始値などで約定)
- 指値注文:不可(成行注文のみ)
- マネックス証券「ワン株」
- 取引可能単位:1株から
- 買付手数料:無料
- 売却手数料:約定代金の0.55%(税込)、最低手数料52円(税込)。
- リアルタイム取引:不可(原則として当日午前11時30分までの注文が後場始値で約定)
- 指値注文:不可(成行注文のみ)
このように、特に楽天証券の「かぶミニ」はリアルタイム取引や指値注文が可能という点で、他のミニ株サービスと比べてより積極的な取引スタイルに対応できる特徴があります。
ローソク足の短期的なシグナルを活かしたい場合には、この違いは大きいかもしれません。
一方で、SBI証券の「S株」は売買手数料が完全に無料である点が魅力です。
ご自身の投資スタイルや重視するポイントに合わせて、最適な証券会社を選びましょう。
5.1 SBI証券「S株」アプリの設定手順
SBI証券のスマートフォン用「SBI証券 株アプリ」でS株(単元未満株)のローソク足チャートを表示し、基本的な設定を行う手順の概要です。
基本的なチャート表示
- 銘柄検索と選択:アプリを起動し、分析したい銘柄を検索して選択します。銘柄情報画面が表示されます。
- チャート画面へ移動:銘柄情報画面で「チャート」タブを選択するか、スワイプ操作などでチャート画面に切り替えます。
- ローソク足の確認:通常、デフォルトでローソク足チャートが表示されていることが多いですが、もし他の種類のチャート(ラインチャートなど)が表示されている場合は、チャート画面内の設定やアイコンから「足種」や「チャートタイプ」を選び、「ローソク足」を選択します。
- 時間足の変更:チャート画面上部や下部にある時間足の選択肢(例:「日足」「週足」「月足」「5分」など)をタップすることで、表示するローソク足の時間軸を切り替えることができます。タイル表示機能を使えば、「5分足」「日足」「週足」「月足」の4種類を同時に表示することも可能です。
テクニカル指標の追加
- テクニカル設定画面を開く:チャート画面にある「テクニカル」や歯車マークなどの設定アイコンをタップします。
- 移動平均線の追加:「メインチャート」や「テクニカル指標」の項目から「移動平均線」を選択し、表示したい期間(例:5日、25日など)や線の色などを設定します。
- 出来高の表示:「サブチャート」や「出来高」の項目を選択し、表示をオンにします。価格帯別出来高をチャートに重ねて表示する機能もあります。
SBI証券のS株は、売買手数料が無料である点が大きなメリットです。
ただし、リアルタイムでの取引や指値注文はできません。
注文は、受付時間に応じて、前場始値、後場始値といった特定のタイミングで約定します。
そのため、S株でローソク足分析を行う際は、日足や週足といった長めの時間足でトレンドを把握し、翌営業日以降の動きを予測する使い方が中心となるでしょう。



5.2 楽天証券「かぶミニ」マーケットスピードIIの設定
楽天証券の高機能トレーディングツール「マーケットスピードII(MSII)」やスマートフォンアプリ「iSPEED」で、かぶミニ®(単元未満株)のローソク足チャートを表示・設定する手順の概要です。
基本的なチャート表示
- 銘柄検索とチャート表示:ツールを起動後、気になる銘柄を検索し、個別銘柄情報画面からチャートを表示させます。MSIIでは、複数のチャートを同時に表示したり、レイアウトを自由にカスタマイズしたりすることも可能です。
- ローソク足チャートの選択:チャート画面で、表示形式がローソク足になっているか確認します。もし異なれば、チャート設定メニューからローソク足を選択します。
- 時間足の調整:チャート画面には、分足(例:1分、5分)、日足、週足、月足など、様々な時間足を選択するボタンやプルダウンメニューがあります。これらを使って、分析したい時間軸に切り替えます。
テクニカル指標の追加とカスタマイズ
- テクニカル指標の選択:チャート画面上で右クリックメニューや設定ボタンから「テクニカル指標の追加」や「チャート設定」といった項目を選びます。
- 移動平均線や出来高の表示:表示したいテクニカル指標のリストから「移動平均線」や「出来高」などを選択し、パラメータ(期間など)や色、線の太さなどを設定します。マーケットスピードIIは非常に多くのテクニカル指標を搭載しており、詳細なカスタマイズが可能です。
- ミニチャートへのテクニカル表示:一部の画面では、小さなチャート(ミニチャート)にもオシレーター系のテクニカル指標などを表示できるようになっています。
楽天証券の「かぶミニ」は、主要ネット証券のミニ株サービスの中で、リアルタイム取引や指値注文が可能な点が大きな特徴です(別途スプレッドあり)。
これにより、ローソク足が示す短期的な売買サインに対して、より機動的に対応できる可能性があります。
例えば、日中の取引時間中に特定のローソク足パターンが形成されたのを見て、その場で指値注文を出す、といった使い方が考えられます。



5.3 auカブコム証券「プチ株」kabuステーション®の設定
auカブコム証券のトレーディングツール「kabuステーション®」やスマートフォンアプリで、プチ株®(単元未満株)のローソク足チャートを表示・設定する手順の概要です。
基本的なチャート表示
- 銘柄選択とチャート起動:「kabuステーション®」にログイン後、銘柄を検索し、チャート画面を呼び出します。多くの情報を一覧できるリッチなインターフェースが特徴です。
- ローソク足表示の確認:チャートが表示されたら、それがローソク足形式であることを確認します。必要であれば、チャートの種類設定からローソク足を選びます。
- 時間足の変更:チャート画面には、時間足を変更するためのボタンやメニューが用意されています。「日足」「週足」「月足」や、各種「分足」などを選択して、分析に適した時間軸に設定します。
テクニカル指標の設定
- チャート設定画面の利用:チャート上で右クリックするか、設定メニューから「チャート設定」や「テクニカル指標追加」といった項目を選択します。
- 移動平均線・出来高の追加:利用可能なテクニカル指標の一覧から、「移動平均線」や「出来高」など、表示させたい指標を選びます。期間や色などのパラメータもここで設定できます。「kabuステーション®」では、多くのアドオンチャートやサブチャートを設定することが可能です。
auカブコム証券の「プチ株®」は、買付手数料が約定代金の0.55%(最低52円、税込)かかりますが、「プレミアム積立®(プチ株®)」という積立サービスを利用すれば、買付手数料が無料になります。
取引はリアルタイムではなく、注文時間に応じて当日の後場始値や翌営業日の前場始値などで約定する成行注文のみとなります。
そのため、ローソク足分析は、日足や週足で翌日以降のトレンドを予測する形での活用が主になるでしょう。



5.4 マネックス証券「ワン株」チャートフォリオの設定
マネックス証券の取引ツール(例:スマートフォンアプリ「マネックストレーダー株式 スマートフォン」やウェブブラウザ版の「チャートフォリオ」など)で、ワン株(単元未満株)のローソク足チャートを表示・設定する手順の概要です。
基本的なチャート表示
- 銘柄検索とチャート画面表示:アプリやウェブサイトにログインし、分析したい銘柄を検索します。銘柄情報画面から「チャート」を選択するか、スワイプ操作などでチャート画面を表示します。
- ローソク足チャートへの切り替え:チャートが表示されたら、それがローソク足形式であることを確認します。マネックス証券のツールでは、チャートタイプとして「ローソク足」が明示的に選択できるようになっています。
- 時間足の選択:チャート画面で「1分」「5分」「日足」「週足」「月足」といった時間足のボタンをタップすることで、簡単に表示を切り替えることができます。チャートをスワイプして過去のデータを見ることも可能です。
テクニカル指標の追加
- 設定メニューを開く:チャート画面にある「設定」ボタンなどをタップし、テクニカルチャートの設定画面を開きます。
- 移動平均線や出来高の表示:表示するテクニカル指標(メインチャートに重ねるものや、サブチャートに表示するもの)を選択し、パラメータ(期間設定など)を調整します。「移動平均線」や、サブチャートの指標として「出来高」(または出来高関連のオシレーター)などを選ぶことができます。
マネックス証券の「ワン株」は、買付手数料が無料、売却手数料が約定代金の0.55%(最低52円、税込)です。
取引はリアルタイムではなく、原則として当日午前11時30分までの注文がその後場の始値で約定する成行注文のみとなります。
このため、ワン株でローソク足分析を行う場合も、日足や週足で相場の大きな流れを掴み、翌営業日以降の価格動向を予測するアプローチが中心となるでしょう。
各証券会社のツールは、日々進化しています。
ここで紹介した手順はあくまで基本的なものであり、最新の操作方法やさらに便利な機能については、各証券会社のヘルプページやマニュアルも参考にしてください。
大切なのは、まず実際にツールを触ってみて、ローソク足チャートを表示させ、学んだ知識と照らし合わせながら株価の動きを観察してみることです。
そうすることで、ツールの使い方にも慣れ、ローソク足の理解も深まっていくでしょう。



6. よくある疑問と解決策(FAQ)
この章では、ローソク足やミニ株取引に関して初心者が抱きやすい疑問とその解決策をQ&A形式で解説します。ローソク足の長さが示す意味、適切な時間足の選び方、ミニ株取引で出来高が少ない場合の対処法、そして投資の保有期間に応じたローソク足パターンの選び方など、具体的な疑問に答えることで、あなたの不安を解消し、より自信を持って取引に臨めるようサポートします。
6.1 ローソク足が長い/短いときの意味は?
ローソク足の「実体」や「ヒゲ」の長さは、その期間の株価の勢いや市場心理を読み解く上で非常に重要な手がかりとなります。
実体が長いとき
- 長い陽線(大陽線) 始値から終値までの値上がりが大きかったことを示します。 これは、買いの勢いが非常に強く、市場参加者が積極的に買っていたことを意味します。 強い上昇の意志が感じられます。
- 長い陰線(大陰線) 始値から終値までの値下がりが大きかったことを示します。 これは、売りの勢いが非常に強く、市場参加者が積極的に売っていたことを意味します。 強い下落の意志が感じられます。
つまり、実体が長いほど、その方向に進む勢いが強かったと考えられます。
実体が短いとき(コマなど)
始値と終値の差がほとんどないことを示します。
これは、買いの勢いと売りの勢いが拮抗していたり、市場に方向感がなく様子見ムードだったりすることを意味します。
株価が大きく動かなかったため、市場のエネルギーが溜まっている状態とも言えます。
ヒゲが長いとき
- 長い上ヒゲ 取引時間中に一度は高値まで大きく上昇したものの、売り圧力に押されて終値は下がってしまったことを示します。 高値圏での抵抗が強かった、あるいは利益確定の売りが出やすかったことを意味します。 「これ以上は上がらせないぞ」という売り方の意志が見えます。
- 長い下ヒゲ 取引時間中に一度は安値まで大きく下落したものの、買い支えられて終値は上がってきたことを示します。 安値圏でのサポートが強かった、あるいは押し目買いが入りやすかったことを意味します。 「これ以上は下がらせないぞ」という買い方の意志が見えます。
つまり、ヒゲが長いほど、その方向に価格が動こうとしたものの、反対勢力によって強く押し戻されたことを示します。
実体とヒゲのバランス
実体の長さとヒゲの長さを比較することもたいせつです。
例えば、実体が短く上下に長いヒゲがある場合(「コマ」や「十字線」など)は、価格は大きく揺れ動いたものの、結局始値と終値はあまり変わらなかった、つまり市場の迷いが非常に強かったことを示します。
一方、実体が長くヒゲが短い場合は、一方向に強い動きがあり、市場の迷いが少なかったことを示します。
このように、ローソク足の長さは、単に価格がどれだけ動いたかだけでなく、その背景にある市場の力関係や心理状態を教えてくれるのです。



6.2 分足と日足、どちらを見ればいい?
ローソク足チャートには様々な時間足がありますが、特に初心者のうちは「どの時間足を見ればいいの?」と迷うことが多いでしょう。
ここでは、代表的な「分足」と「日足」を中心に、その使い分けについて解説します。
分足(ふんあし)とは?
1分足、5分足、15分足など、1日の取引時間中の非常に短い値動きを捉えるための時間足です。
- メリット:株価の細かな動きや、デイトレードのような短期的な売買タイミングを捉えるのに適しています。
- デメリット:細かな動きが多いため、いわゆる「ノイズ(だまし)」が多く、トレンドの判断が難しくなることがあります。また、頻繁な売買判断が必要になるため、初心者には精神的な負担が大きいこともあります。
日足(ひあし)とは?
1本のローソク足が1日の値動きを表す時間足です。
- メリット:1日単位の大きな流れを掴みやすく、数日から数週間程度のスイングトレードや、それ以上の期間の投資判断に適しています。分足に比べてノイズが少なく、トレンドやパターンが比較的明確に現れやすいです。
- デメリット:1日に1本しかローソク足が形成されないため、分足に比べると売買サインの出現頻度は少なくなります。
ミニ株初心者へのおすすめ
ミニ株(単元未満株)投資を始めたばかりの初心者の方には、まず「日足」を中心にチャートを見ることを強くおすすめします。
その理由は以下の通りです。
- ミニ株の約定タイミングとの相性 多くのミニ株サービスでは、注文がリアルタイムで約定せず、翌営業日の始値や特定の時間帯の価格で成立します(楽天証券の「かぶミニ」のリアルタイム取引などを除く)。 そのため、分足で短期的なサインを見つけても、実際にその価格で取引できるとは限りません。 日足であれば、1日の市場の総意が反映されたローソク足を見て、翌日以降のトレンドを予測するという、ミニ株の取引スタイルに合った分析ができます。
- ノイズの少なさと判断のしやすさ 日足は分足に比べて短期的な価格のブレ(ノイズ)が少ないため、トレンドの方向性や重要なローソク足パターンを判断しやすいです。 初心者のうちは、情報が多すぎると混乱しがちなので、まずは日足で落ち着いて相場を見る習慣をつけるのが良いでしょう。
日足に慣れてきたら、より長期的な視点を持つために「週足(しゅうあし)」も合わせて見ることをおすすめします。
週足で大きなトレンドの方向(例えば、上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか、横ばいなのか)を確認した上で、日足で具体的な売買のタイミングを探る、という使い方が効果的です。
これは、森全体(週足)を見てから、個々の木(日足)を観察するようなものです。
分足は、将来的にデイトレードのような短期売買に挑戦したくなったときに、改めて学んでいくと良いでしょう。
まずは日足で、じっくりとローソク足と向き合うことから始めてみてください。



6.3 ミニ株の出来高が少ないときの対処法
出来高は株価分析において重要な情報ですが、もし投資しようと考えているミニ株の銘柄の出来高が少ない場合、どのように考え、対処すれば良いのでしょうか。
出来高が少ないとはどういうことか
出来高が少ない(薄い、商いが薄いなどとも言います)銘柄とは、1日に取引される株数が少ない銘柄のことです。
このような銘柄には、以下のような特徴やリスクがある場合があります。
- 流動性リスク 最も注意したいのがこのリスクです。 「買いたいときに買えない」「売りたいときに売れない」あるいは「希望する価格から大きく離れた価格でしか取引できない」といった可能性が高まります。 特に、まとまった株数を売買しようとすると、自分の注文で株価が大きく動いてしまうこともあります。
- 価格変動リスク 出来高が少ない銘柄は、少しの買い注文や売り注文でも株価が大きく変動しやすい傾向があります。 つまり、値動きが不安定になりやすいのです。
- 情報の信頼性 ローソク足のパターンやテクニカル指標のサインも、出来高が極端に少ない場合は、一部の投資家の取引によって形成されている可能性があり、市場全体の総意を反映していないかもしれません。 そのため、シグナルの信頼性が通常よりも低くなることがあります。
ミニ株と出来高
ミニ株(単元未満株)の取引は、1株からと非常に少ない単位で行われます。
そのため、あなた自身のミニ株の注文が、その銘柄の株価や出来高に大きな影響を与えることはほとんどないでしょう。
しかし、あなたが投資対象として見ている銘柄自体の全体の出来高が少ない場合は、上記の流動性リスクなどを考慮する必要があります。
出来高が少ない銘柄への対処法
- 出来高がある程度ある銘柄を選ぶ 特に株式投資の初心者のうちは、日々の出来高がある程度安定して多い銘柄を選ぶ方が無難です。 一般的に、東証プライム市場に上場しているような大型株や、ニュースなどでよく名前を聞くような有名企業の株は、出来高も多い傾向にあります。 証券会社のツールで銘柄情報を見れば、通常、日々の出来高も確認できます。
- ローソク足のサインを慎重に判断する もし出来高の少ない銘柄を分析する場合は、ローソク足のパターンが出現しても、それが本当に信頼できるサインなのか、より慎重に判断する必要があります。 他のテクニカル指標と組み合わせたり、その企業の業績やニュースなども合わせて確認したりすると良いでしょう。
- 長期的な視点を持つ 出来高が少ない銘柄に投資する場合は、短期的な売買で利益を狙うよりも、その企業の将来性などをじっくりと見極め、長期的な視点で投資することを考える方が適しているかもしれません。
ミニ株は少額から投資できるため、出来高の少ない銘柄に試しに投資してみる、ということも可能です。
しかし、その際は上記のようなリスクを理解した上で、あくまで余裕資金の範囲内で行うようにしましょう。



6.4 保有期間とローソク足パターンの選び方
株式投資では、「どのくらいの期間、株を保有するつもりか」によって、注目すべきローソク足のパターンや時間足の選び方が変わってきます。
あなたの投資スタイルに合わせたローソク足の活用法を見ていきましょう。
短期的な保有(数日~数週間):スイングトレード的な考え方
ミニ株を使って、数日から数週間程度の比較的短い期間で売買し、利益を狙うスタイルです。
- 注目する時間足:主に「日足(ひあし)」を使います。日々の値動きの中で売買のタイミングを探ります。補助的に4時間足や週足で大きな流れを確認することもあります。
- 注目するローソク足パターン:
- エントリー(買い)のタイミング:下降トレンドの底値圏や保ち合いからの上放れで出現する「カラカサ」「陽の包み」「モーニングスター」「赤三兵」などの買いシグナル。移動平均線がサポートとして機能している場所での反発サインも有効です。
- エグジット(売り)のタイミング:上昇トレンドの天井圏で出現する「トンカチ」「陰の包み」「イブニングスター」「黒三兵」などの売りシグナル。あるいは、事前に決めておいた利益目標に達した場合や、損切りラインに達した場合。
中期~長期的な保有(数ヶ月~数年以上):じっくり投資する考え方
ミニ株をコツコツと買い増しながら、企業の成長とともに資産を増やしていく、あるいは配当金などを目的とした長期的なスタイルです。
- 注目する時間足:主に「週足(しゅうあし)」や「月足(つきあし)」で、大きなトレンドの方向性を把握します。日々の細かな値動きに一喜一憂せず、長期的な視点を持つことがたいせつです。
- 注目するローソク足パターン:
- 大きなトレンドの転換点:週足や月足で出現する「陽の包み」「モーニングスター」のような強力な底打ちのサインや、逆に天井を示すサインに注目します。これらは、長期的なトレンドの大きな転換点となる可能性があります。
- 押し目買いのタイミング:長期的な上昇トレンドが週足や月足で確認できる場合、日足で一時的に株価が下落した「押し目(おしめ)」で出現する「カラカサ」や「陽の包み」などの買いシグナルは、追加の買い付けのタイミングとなることがあります。
- 長期保有の場合、日足レベルでの短期的な売りシグナルが出ても、週足や月足での大きな上昇トレンドが崩れていなければ、慌てて売る必要はないと考えることもできます。
たいせつなのは一貫性
どの保有期間を選ぶにしても、その期間に合った時間足のチャートで分析し、ローソク足のパターンを判断することがたいせつです。
例えば、長期投資を考えているのに、5分足の短期的なサインで売買してしまうと、本来の投資戦略と矛盾してしまいます。
自分の投資目標と保有期間を明確にし、それに合ったローソク足の活用法を見つけていくことが、成功への近道となるでしょう。
ミニ株は、どちらのスタイルでも柔軟に対応できるのが魅力の一つです。



7. まとめ:ローソク足でミニ株投資を一歩先へ
この記事では、ミニ株(単元未満株)の基本から、ローソク足チャートの読み方、そしてそれらを実際のミニ株取引に応用する方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説してきました。ローソク足は、株価の動きの背後にある市場心理を読み解き、より根拠のある投資判断を下すための強力なツールです。ミニ株という手軽な手段とローソク足という分析の知恵を組み合わせることで、あなたの株式投資はきっと新たなステージに進むことでしょう。
ここまで、ミニ株(単元未満株)とローソク足チャートについて、基礎から実践的な使い方まで一緒に学んできました。
株式投資と聞くと、専門知識がたくさん必要で、大きなお金がないと始められない、そんなイメージがあったかもしれません。
しかし、ミニ株なら、数百円や数千円といった少額からでも、有名企業の株主になることができます。
これは、投資の世界への扉を大きく開いてくれる、初心者にとって非常に心強い味方です。
そして、ローソク足チャートの見方を覚えることは、その開かれた扉の先に広がる世界を、より深く理解するための「地図」を手に入れるようなものです。
一本一本のローソク足が語る物語、そしてそれらが集まって描き出す様々なパターンは、株価が次にどちらへ向かおうとしているのか、市場の参加者が何を考えているのかを教えてくれるヒントに満ちています。
ローソク足でミニ株投資がどう変わる?
- 自信を持って売買の判断ができるようになる:「なんとなく上がりそうだから買う」のではなく、「このローソク足のパターンは買いのサインだから買ってみよう」というように、自分なりの根拠を持った投資判断ができるようになります。
- リスク管理の意識が高まる:株価が下がりそうなサインをローソク足から読み取ることで、早めに損失を限定する行動をとるなど、自分のお金を守る意識が芽生えます。
- 投資の学びが深まる:実際にミニ株で取引しながらローソク足の動きを観察することで、知識が経験となり、投資家としてのスキルが着実に向上していきます。
初心者のための主要ローソク足買いシグナル早見表
最後に、この記事で紹介した代表的な「買いシグナル」をまとめた早見表です。
これらを覚えておくだけでも、チャートを見る目が変わってくるはずです。
パターン名 | 見た目の特徴 | 市場心理のヒント | シグナルの種類 |
大陽線 | 実体が長く、ヒゲがほとんどない陽線 | 強い買いの勢い、市場の強気 | 上昇・買い継続 |
トンボ | 下に長いヒゲがあり、始値・終値・高値がほぼ同じ(T字型) | 下値での強い買い支え、売りの失敗 | 底打ち・上昇転換 |
カラカサ | 実体が小さく上にあり、下に長いヒゲ(傘や金槌の形) | 下値での強い買い支え、売り方の抵抗失敗 | 底打ち・上昇転換 |
陽の包み | 1本目の陰線を、2本目の大きな陽線が完全に包み込む | 売りの流れを買いが完全に打ち消し、市場心理が強気に転換 | 底打ち・上昇転換 |
モーニングスター | 大陰線→下に窓を開けた小さな星(実体が短い足)→上に窓を開けた大陽線の3本セット | 売り手の衰退→市場の迷い→買い手の完全な勝利 | 底打ち・上昇転換 |
赤三兵 | 陽線が3本連続して出現し、徐々に高値を更新していく | 買いの勢いが着実に強まっている状態 | 上昇トレンド開始 |
もちろん、これらのパターンが出たからといって、100%その通りに株価が動くわけではありません。
しかし、多くの投資家が注目しているサインであることは事実です。
ローソク足の分析は、株式投資という大海原を航海するための、一つのたいせつな羅針盤です。
そして、ミニ株は、その羅針盤の使い方を、少ないリスクで練習できる最高の練習船と言えるでしょう。
この記事が、あなたが「ミニ株 ローソク足」というキーワードをきっかけに、株式投資の面白さ、奥深さに触れ、資産形成への第一歩を踏み出すお手伝いができたなら、これほどうれしいことはありません。
ぜひ、小さな一歩から、ローソク足と共に賢い投資家への道を歩み始めてください。



本記事の注意事項(免責事項)
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を意図したものではありません。本記事に記載されている情報については、正確性、完全性、有用性を確保するために努力しておりますが、その保証は致しかねます。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容を利用して生じたいかなる損害についても、当サイトおよび著者は一切の責任を負いかねます。詳しくは免責事項ページをご確認ください。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
【登場人物】



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