株式投資を始めてみたいけれど、専門用語が多くて難しそうと感じていませんか。
特に「ミニ株」は少額から始められるため初心者にも人気ですが、「成行注文(なりゆきちゅうもん)」や「指値注文(さしねちゅうもん)」といった注文方法の違いでつまずいてしまう方もいるかもしれません。
この記事では、株式投資のプロが、まるで中学生にも分かるように、ミニ株の注文方法について徹底解説します。
ミニ株の成行注文と指値注文の違いをスッキリ理解して、安心して株式投資の第一歩を踏み出しましょう。
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1. ミニ株の注文方法をざっくり理解しよう
このセクションでは、ミニ株取引の基本となる二つの注文方法、「成行注文」と「指値注文」について、それぞれの意味、約定のタイミング、そして基本的な使い方を分かりやすく解説します。最後に、二つの注文方法の違いが一目でわかる比較表も用意していますので、初心者の方でもスッキリと理解を深めることができます。
1.1 成行注文とは? 約定タイミングと基本の流れ
株式投資を始める上で、まず覚えたいのが注文方法です。
ここでは「成行注文(なりゆきちゅうもん)」について、その仕組みと特徴を優しく解説します。
成行注文のキホン
成行注文とは、「いくらで買うか・売るか」という価格を指定しない注文方法です。
「今の市場価格で、すぐに取引を成立させたい」という場合に利用します。
「いくらでも良いから買いたい(売りたい)」という意思表示と考えると分かりやすいでしょう。
いつ取引が成立するの?
成行注文は、他の注文方法である指値注文よりも優先して取引が成立しやすい特徴があります。
約定する価格は、その時点で取引が成立する最も有利な価格です。
買い注文ならその時の最も安い売り注文と、売り注文ならその時の最も高い買い注文と結びつきます。
一般的な株式市場の場合、取引時間中に出された成行注文は、基本的にはすぐ、または非常に短い時間で約定します。
しかし、ミニ株の場合は証券会社ごとにルールが異なり、リアルタイムで約定するとは限りません。
多くのミニ株サービスでは、1日に数回、決められた時間にまとめて注文が処理されます。
この点は後のセクションで詳しく説明しますね。
注文から取引成立までの流れ
- 投資家が証券会社に「A社の株を成行で10株買いたい」と注文を出します。
- 証券会社が取引所に注文を出すか、ミニ株の場合は社内で相手を見つける処理をします。
- その時点の市場価格、またはミニ株の場合は定められた約定価格決定タイミングの価格で取引が成立(これを「約定(やくじょう)」と言います)。
- 投資家の口座に株が入り、代金が引き落とされます(買いの場合)。
成行注文の良いところ
最大のメリットは、約定しやすいことです。
価格を指定しないため、売買の相手方が見つかりやすく、取引が成立しやすいのです。
特に「今すぐ売買したい」という場合に有効な方法です。
成行注文の注意点
一方で、デメリットもあります。
それは、予想外の価格で約定するリスクがあることです。
市場価格が急に変動している場合、自分が思っていた価格よりも高く買ってしまう、または安く売ってしまう可能性があります。
これを「スリッページ」と呼ぶこともあります。
ミニ株での成行注文のポイント
ミニ株では、証券会社によって成行注文の取り扱いや約定タイミングが大きく異なるため、事前の確認がとてもたいせつです。
「すぐに」約定するわけではないケースが多いことを理解しておく必要があります。
成行注文の「約定しやすさ」は、とても魅力的です。
しかし、それは「価格の不確かさ」という側面も持っています。
「すぐに取引できる」という点だけに注目してしまうと、価格が大きく動いた時に思ったよりも高い値段で買ったり、安い値段で売ったりしてしまうかもしれません。
また、ミニ株の成行注文は、通常の株(単元株)の取引とは少し異なります。
ミニ株は、取引所以外の場所で取引されることがあり、証券会社が注文をまとめて特定の時間に処理する仕組みを取っていることが多いのです。
そのため、成行注文でもすぐに取引が成立しない場合があることを覚えておきましょう。



1.2 指値注文とは? 価格指定の仕組みと活用シーン
次に、もう一つの基本的な注文方法、「指値注文(さしねちゅうもん)」について見ていきましょう。
こちらは価格を自分で決めることができる注文方法です。
指値注文のキホン
指値注文とは、「この価格で買いたい」または「この価格で売りたい」というように、自分で価格を指定して出す注文方法です。
買い注文の場合は「指定した価格以下」、売り注文の場合は「指定した価格以上」でなければ取引は成立しません。
いつ取引が成立するの?
市場の価格が自分が指定した価格に達した場合にのみ、取引が成立します。
例えば、A社の株価が現在105円のとき、「100円で買いたい」と指値注文を出すと、株価が100円かそれより安くなるまで注文は成立しません。
逆に、A社の株価が現在95円のとき、「100円で売りたい」と指値注文を出すと、株価が100円かそれより高くなるまで注文は成立しません。
約定するタイミングは、指定した価格に市場価格が到達し、かつ取引の相手方が見つかった時点です。
成行注文が優先されるため、指値注文は後回しになることがあります。
注文から取引成立までの流れ
- 投資家が証券会社に「A社の株を100円で10株買いたい」と指値注文を出します。
- 証券会社が取引所に注文を出すか、ミニ株の場合は社内で注文を管理します。
- 市場価格が指定した価格(買いなら100円以下、売りなら指定価格以上)に到達します。
- 取引の相手方が見つかれば、取引が成立(約定)します。
- 約定しなければ、注文の有効期限が切れるまで待つか、注文を取り消したり、価格を変更したりします。
どんな時に使うの?
- 今の株価より少しでも安く買いたい時。
- 今の株価より少しでも高く売りたい時。
- 会社の決算発表後など、特定の価格水準を意識して取引したい時。
- 忙しくてずっと相場を見ていられない時にも便利です。あらかじめ注文を出しておけば、指定価格に達した時に自動で取引が成立する可能性があります。
指値注文の良いところ
最大のメリットは、希望の価格で取引できることです。
自分の納得のいく価格で売買できるため、想定外の価格で約定してしまうリスクを避けられます。
指値注文の注意点
一方で、デメリットもあります。
それは、約定しない可能性があることです。
市場価格が指定した価格に達しない場合、いつまでも取引が成立しないことがあります。
せっかくのチャンスを逃すことにもなりかねません。
ミニ株での指値注文のポイント
ミニ株で指値注文を使いたいと考えている方は、注意が必要です。
実は、ほとんどの証券会社のミニ株サービスでは、指値注文が利用できません。
例えば、SBI証券の「S株」では指値注文はできません。
ただし、楽天証券の「かぶミニ®」 のように、一部のサービスではミニ株でも指値注文が可能な場合があります。
これは非常に珍しいケースです。
そのため、ミニ株で指値注文を使いたい場合は、対応している証券会社を慎重に選ぶ必要があります。
指値注文は価格を自分で決められる安心感がありますが、その反面、取引のチャンスを逃してしまう可能性も持っています。
株価がほんのわずかな差で指定した価格に届かず、反対方向に動いてしまうこともあります。
ミニ株で指値注文が難しいのは、その取引の仕組みが関係しています。
多くの場合、証券会社と直接取引したり、特定の時間にまとめて注文が処理されたりするため、リアルタイムで個別の細かい指値注文に柔軟に対応するシステムを作るのが難しいと考えられます。
楽天証券がこれを実現しているのは、注目すべき点と言えるでしょう。
また、指値注文は「この価格でなければ取引しない」という計画的な面があるため、感情に流された取引を抑える効果も期待できます。
しかし、あまりにも価格にこだわりすぎると、市場の変化についていけなくなることもあるので注意が必要です。



1.3 成行と指値の違い早わかりチャート
ここまで「成行注文」と「指値注文」の基本的な特徴を見てきました。
ここでは、それぞれの違いを分かりやすく表にまとめました。
ミニ株取引でどちらの注文方法を選ぶか考える際の参考にしてください。
特徴 | 成行注文 (なりゆきちゅうもん) | 指値注文 (さしねちゅうもん) |
価格の指定 | しない | する |
約定の確実性 | 高い(ほぼ約定する) | 低い(指定価格に達しないと約定しない) |
約定価格 | 注文時点の市場価格(変動あり) | 指定した価格、またはそれより有利な価格 |
取引スピード | 速い(ミニ株の場合は証券会社による) | 遅い(指定価格に達するまで待つ) |
メリット | ・すぐに売買したい ・確実に取引を成立させたい | ・希望の価格で売買したい ・想定外の価格での約定を避けたい |
デメリット | ・予想外の価格で約定する可能性 | ・取引が成立しない可能性 ・チャンスを逃す可能性 |
向いている人 | ・取引チャンスを逃したくない人 ・価格よりも約定を優先したい人 | ・特定の価格で取引したい人 ・じっくりタイミングを待ちたい人 |
ミニ株での注意点 | 約定タイミングが限定的な場合が多い | ほとんどの証券会社で利用不可(楽天証券「かぶミニ®」など一部例外あり) |
どちらの注文方法が自分に合っているかは、どれだけリスクを受け入れられるかや、どんな投資スタイルを目指すかによって大きく変わってきます。
価格の変動をある程度受け入れてでも早く取引を成立させたいのか、それとも時間をかけてでも有利な価格で取引したいのか、自分の考え方を反映させることが大切です。
ミニ株の場合、この表に書かれている「取引スピード」や「約定の確実性」は、通常の株取引と比べて特有の制約を受けることを覚えておきましょう。
成行注文でもすぐに約定しないことが多く、指値注文はそもそも選択肢にないことが多いという現実があります。
この点を理解しておくことが、ミニ株取引では特に重要になります。
また、成行注文と指値注文は、単にどちらかを選ぶだけでなく、市場の状況や投資の目的に応じて使い分けることも考えられます(主に単元株の場合)。
このチャートは、あくまで基本的な違いを理解するためのものとして活用してください。



2. 成行注文を使うときのポイント
ミニ株で成行注文を利用する際には、いくつかの重要なポイントがあります。このセクションでは、取引時間帯による約定ルールの違い、主要な証券会社ごとの成行注文の対応状況、そして成行注文のメリットとデメリットを詳しく解説します。さらに、価格変動リスクを少しでも抑えるための実践的なコツもご紹介しますので、安心してミニ株投資を始められるようになります。
2.1 取引時間帯別の約定ルール(リアルタイム/寄付)
成行注文といっても、ミニ株の場合はいつでもリアルタイムで取引が成立するわけではありません。
ここでは、注文を出す時間帯によって約定のルールがどう変わるのか、「リアルタイム取引」と「寄付(よりつき)取引」の観点から見ていきましょう。
株取引の基本時間
まず、日本の株式市場(東京証券取引所など)の主な取引時間を押さえておきましょう。
平日の以下の時間帯に取引が行われています。
- 前場(ぜんば): 9:00 ~ 11:30
- 後場(ごば): 12:30 ~ 15:30
この時間内であっても、ミニ株の約定タイミングは証券会社ごとに異なる点に注意が必要です。
リアルタイム取引って何?
リアルタイム取引とは、取引時間中であれば、注文を出すと比較的すぐに約定する取引方法を指します。
ミニ株の取引では、このリアルタイム取引に対応しているサービスは限られています。
楽天証券の「かぶミニ®」 は、業界で初めてミニ株のリアルタイム取引を実現したサービスとして知られています。
取引時間中(東京証券取引所の取引が始まった後から取引終了の一定時間前まで)に成行注文または指値注文を出すと、その時点の市場の気配値を元にした価格(スプレッドというコストを考慮した後)で約定します。
一方、他の主要なネット証券のミニ株サービス、例えばSBI証券の「S株」、マネックス証券の「ワン株」、auカブコム証券の「プチ株®」では、基本的にリアルタイムでの約定は行われません。
寄付(よりつき)取引って何?
「寄付」とは、前場(午前中の取引)や後場(午後の取引)が始まる最初の取引のこと、またはその時に成立する価格(始値:はじめね)を指します。
多くのミニ株サービスでは、1日に数回、特定の時間(例えば、前場の始値や後場の始値など)に投資家からの注文を取りまとめて一斉に執行する「寄付取引」の形式を取っています。
- SBI証券「S株」 の場合、1日に3回、約定のタイミングがあります。注文した時間帯によって、当日の「前場始値」「後場始値」「後場終値」のいずれかで約定します。
- 具体的には、前営業日の14:00から当日の7:00までに出された注文は、当日7:00に集計され、その日の前場の始値で約定します。
- 当日の7:00から10:30までの注文は、当日10:30に集計され、後場の始値で約定します。
- そして、当日の10:30から14:00までの注文は、当日14:00に集計され、後場の終値で約定します。
- マネックス証券「ワン株」 では、原則として当日午前11時30分までに出された注文が、当日の「後場始値」で約定します。
- auカブコム証券「プチ株®」 は、注文を受付けた時間に応じて、当日の「後場始値」や翌営業日の「前場始値」などで約定する仕組みです。
- 例えば、0時1分から10時までの注文は当日の後場始値、10時1分から23時までの注文は翌営業日の前場始値となります。
- 楽天証券「かぶミニ®」の寄付取引 もあります。こちらは夕方17時から翌朝8時45分までに出された注文が、翌営業日の「前場寄付」で成行注文として約定します。この寄付取引の場合、スプレッドはかかりません。
リアルタイムではない寄付取引の場合、注文を出してから実際に約定するまでに時間差が生じます。
この間に市場の価格が大きく動いてしまうと、成行注文であっても、注文時に想定していた価格と異なる価格で約定するリスクが高まることを理解しておく必要があります。
特に初心者の方はこの点をしっかりと認識しておきましょう。
楽天証券がミニ株でリアルタイム取引を提供しているのは、他の証券会社との違いを明確にするための戦略かもしれません。
これにより、より活発に取引したいと考える投資家や、価格の透明性を重視する投資家のニーズに応えようとしているのでしょう。
また、楽天証券の「かぶミニ®」でリアルタイム取引を選ぶとスプレッド(実質的なコスト)がかかり、寄付取引を選ぶとスプレッドがかからないという点は、投資家自身が「便利さ」と「コスト」のどちらを優先するか選べる仕組みと言えます。



2.2 証券会社別:成行対応状況まとめ
ミニ株(単元未満株)は、多くの証券会社で取り扱われていますが、サービス内容、特に成行注文のルールには違いがあります。
ここでは主要ネット証券4社の状況を詳しく見ていきましょう。
「ミニ株 成行注文 指値注文」の可否は、証券会社選びのたいせつなポイントの一つです。
(1) SBI証券
- サービス名: S株(エスかぶ)
- 成行注文: 可能です。S株の注文はすべて成行注文として扱われます。
- 指値注文: できません。SBI証券のS株では、価格を指定する指値注文は利用できません。
- リアルタイム取引: できません。注文は1日に3回、決められた時間にまとめて約定します。
- 約定タイミング: 1日に3回、以下のタイミングで約定します。
- 前営業日14:00~当日7:00の注文 → 当日7:00に集計、前場始値で約定。
- 当日7:00~10:30の注文 → 当日10:30に集計、後場始値で約定。
- 当日10:30~14:00の注文 → 当日14:00に集計、後場終値で約定。
- 手数料: 売買手数料は無料です。ただし、スプレッド(買値と売値の差)は実質的なコストとして存在します。
- 特徴:
- 手数料が無料なのは大きな魅力です。
- NISA口座での取引も可能です。
- VポイントやPontaポイントを使ったポイント投資もできます。
- 毎月決まった日に自動で買い付ける積立買付サービスもあります。
SBI証券のS株は、手数料が無料という非常に大きなメリットがあります。
しかし、その一方でリアルタイムでの取引ができず、指値注文も利用できないという柔軟性の面での制約があります。
これは、コストをできるだけ抑えて長期的にコツコツと積立投資をしたい方には魅力的ですが、相場の動きに合わせて機動的に売買したい方には少し物足りないかもしれません。
この特徴が、SBI証券のS株の強みであり、同時に考慮すべき点と言えるでしょう。
(2) 楽天証券
- サービス名: かぶミニ®
- 成行注文: 可能です。リアルタイム取引、寄付取引ともに対応しています。
- 指値注文: 可能です。リアルタイム取引でのみ指値注文が利用できます(寄付取引は成行注文のみ)。これはミニ株サービスとしては画期的な特徴です。
- リアルタイム取引:可能です。
- 注文受付時間: 前場 9:00(寄付後)~11:30、後場 12:30(寄付後)~15:25。
- 寄付取引:
- 注文受付時間: 17:00~翌8:45。
- 約定タイミング: 翌営業日の前場寄付。
- 手数料:
- 売買手数料: 無料です。
- スプレッド:
- リアルタイム取引: 0.22% (買付時・売却時それぞれにかかります)。
- 寄付取引: スプレッドなし。
- 特徴:
- ミニ株でリアルタイム取引と指値注文ができる唯一の主要ネット証券(本記事執筆時点)。
- 取引方法(リアルタイム/寄付)によってスプレッドの有無が異なるため、コストを意識した選択が可能です。
- 楽天ポイントでのポイント投資も可能です。
楽天証券の「かぶミニ®」は、ミニ株でリアルタイム取引と指値注文の両方を提供することで、取引の自由度を大きく向上させています。
これにより、通常の単元株取引に近い感覚でミニ株を売買したいと考える、活動的な初心者の方のニーズにも応えています。
また、リアルタイム取引ではスプレッド(実質的なコスト)がかかる一方で、寄付取引ではスプレッドがかからないという仕組みは、利用者に「取引の速さや自由度を取るか、コストの低さを取るか」という明確な選択肢を与えています。
これは投資を学ぶ上でも役立つ点と言えるでしょう。
(3) マネックス証券
- サービス名: ワン株
- 成行注文: 可能です。ワン株の注文はすべて成行注文のみとなります。
- 指値注文: できません。
- リアルタイム取引: できません。
- 約定タイミング: 原則として、当日午前11時30分までの注文が、当日の後場始値で約定します。
- 0時から11時30分までの注文 → 当日後場始値約定。
- 16時以降の注文 → 翌営業日後場始値約定。
- 手数料:
- 買付手数料: 無料です。
- 売却手数料: 約定金額に対し0.55%(税込)。最低手数料は52円(税込)です。
- NISA口座の場合は売買ともに実質無料(キャッシュバック形式)となります。
- 特徴:
- 買付手数料が無料なのはメリットです。
- 貸株サービス(ワン株券貸)が利用可能で、1株からでも貸し出すことで貸株金利を受け取れます。
マネックス証券のワン株は、買う時の手数料が無料である一方、売る時には手数料がかかるという特徴があります。
これは、頻繁に売買するのではなく、じっくりと長期で株を持ちたいと考える投資スタイルを後押しする仕組みかもしれません。
短期的な売買を繰り返す方には少しコストが気になりますが、長期的な資産形成を目指す方には合ったサービスと言えるでしょう。
(4) auカブコム証券
- サービス名: プチ株®
- 成行注文: 可能です。プチ株®の注文はすべて成行注文のみとなります。
- 指値注文: できません。
- リアルタイム取引: できません。
- 約定タイミング: 注文時間帯によって、当日の後場始値、翌営業日の前場始値、または翌営業日の後場始値で約定します。
- 00:01~10:00の受注 → 当日後場始値で約定。
- 10:01~23:00の受注 → 翌営業日前場始値で約定。
- 23:01~24:00の受注 → 翌営業日後場始値で約定。
- 手数料:
- 約定代金の0.55%(税込)。最低手数料は52円(税込)です。
- NISA口座(成長投資枠)での取引手数料は無料です。
- プレミアム積立®(プチ株®)を利用した買付の場合も手数料無料です。
- 特徴:
- Pontaポイントを使ったポイント投資が可能です。
- 「プレミアム積立®(プチ株®)」という積立サービスがあり、これを利用すると手数料無料で買い付けることができます。
auカブコム証券のプチ株®は、Pontaポイントを使って投資できる点が特徴です。
また、「プレミアム積立®」というサービスを利用すれば手数料が無料になるため、コツコツと積立投資をしたいと考えている方にとっては大きな魅力となります。
通常の都度取引では手数料がかかるため、積立に特化することでコスト面でのメリットを享受できるでしょう。



2.3 成行注文のメリット・デメリット
ミニ株で成行注文を利用する場合、どのような良い点と注意すべき点があるのでしょうか。
ここで改めて、成行注文のメリットとデメリットを整理してみましょう。
成行注文の良いところ
- 高い約定力(取引が成立しやすい)
- 価格を指定しないため、買い手や売り手が見つかりやすく、注文が成立しやすいです。
- 「この株を今すぐ買いたい(売りたい)」という場合に、価格よりも約定を優先できます。
- ミニ株の場合、証券会社が取引の相手方となる(または取りまとめる)ことが多いですが、それでも成行注文は指値注文(もしあれば)より優先されるのが一般的です。
- 注文が簡単
- 価格を指定する必要がないため、注文操作がシンプルです。
- 株価を細かく分析する時間がない初心者の方でも、比較的簡単に注文を出すことができます。
- 取引機会を逃しにくい
- 株価が急騰・急落している局面でも、価格にこだわらなければ取引を成立させやすいため、売買のタイミングを逃しにくいと言えます。
- ただし、ミニ株の場合は約定タイミングが限定されていることが多いため、このメリットは単元株ほど大きくないかもしれません。
成行注文の注意点
- 想定外の価格で約定するリスク(価格変動リスク)
- 注文を出してから約定するまでの間に株価が変動した場合、思っていたよりも高い価格で買ってしまう、または安い価格で売ってしまう可能性があります。
- 特に、ミニ株で約定タイミングが1日に数回しかない場合、注文時から約定時までの時間差が大きくなり、このリスクが高まります。
- 値動きの激しい銘柄や、市場全体の変動が大きい時は特に注意が必要です。
- ストップ高・ストップ安での大きな乖離
- 極端なケースですが、買い注文が殺到してストップ高(1日の上限価格)になったり、売り注文が殺到してストップ安(1日の下限価格)になったりすると、成行注文は非常に不利な価格で約定するか、あるいは約定しないこともあります。
- ミニ株の場合、ストップ高(安)で比例配分となった場合は約定しない(失効する)と定めている証券会社が多いです。
- ミニ株特有の約定タイミングの制約
- 多くのミニ株サービスでは、成行注文でもリアルタイムで約定せず、1日に数回決められた時間にまとめて処理されます。
- そのため、「今だ!」と思って注文しても、実際に取引が成立するのは数時間後、あるいは翌営業日ということもあり、その間に状況が変わってしまう可能性があります。
初心者の方は「成行注文ならすぐ取引できる」と誤解しやすいのですが、ミニ株の多くではこの常識が通用しません。
この「期待と現実のギャップ」が、予期せぬ価格での約定につながり、不満や損失の原因となることもあります。
通常の株の取引では成行注文はすぐに約定することが多いのですが、そのイメージのままミニ株の成行注文を利用すると、ミニ株はまとめて処理されることが多いため、約定までに時間がかかり、その間に価格が大きく動いてしまうリスクがあるのです。
また、成行注文の「簡単さ」は初心者にとって魅力ですが、価格に対する意識を薄れさせてしまう可能性もあります。
何も考えずに成行注文を繰り返すと、無意識のうちに不利な取引を重ねてしまう恐れもあるので注意しましょう。
一方で、成行注文は、時間分散を目的とした積立投資(ドルコスト平均法)とは相性が良い場合があります。
毎月決まった日に成行注文で買い付ける場合、価格の細かな変動を気にせず、機械的に買い進めることができるからです。
このような使い方では、成行注文の短期的な価格リスクはあまり気にならないかもしれません。



2.4 価格変動リスクを抑える3つのコツ
成行注文のデメリットである「想定外の価格での約定」。
特にミニ株では約定までに時間がかかることがあるため、このリスクは気になるところです。
ここでは、価格変動リスクを少しでも抑えるための3つのコツをご紹介します。
コツ1:取引が活発な銘柄を選ぶ
取引量が多い(これを「流動性が高い」と言います)銘柄は、一般的に買い手と売り手が常にたくさん存在するため、価格が安定しやすく、成行注文でも極端に不利な価格で約定するリスクが相対的に低くなります。
例えば、日経平均株価に採用されているような大きな会社の株や、普段から出来高(売買された株数)が多い人気の銘柄などが当てはまります。
逆に、発行されている株式の数が少ない小さな会社の株や、普段あまり取引されていない銘柄は、少しの注文で価格が大きく動くことがあるため、成行注文には注意が必要です。
流動性が高い銘柄を選ぶことは、成行注文のリスクを和らげる基本です。
市場に厚みがあるということは、個々の注文が価格に与える影響を吸収しやすいということです。
コツ2:市場が落ち着いている時間帯に注文する
株式市場は、取引開始直後(寄付)や取引終了間際(引け)に価格が大きく変動しやすい傾向があります。
また、たいせつな経済指標の発表時なども同様です。
そのため、前場や後場が始まって少し時間が経ち、値動きが比較的落ち着いている時間帯を狙って注文を出すのが一つの方法です。
ただし、ミニ株の約定タイミングが「寄付」や「引け」に設定されている場合、このコツは直接適用しにくいかもしれません。
その場合でも、注文を出す日を市場が荒れていない日にするなど、間接的な工夫は可能です。
楽天証券「かぶミニ®」のリアルタイム取引であれば、市場が落ち着いている時間帯を選ぶというこのコツは有効に活用できます。
市場のボラティリティ(価格変動の度合い)には時間的なパターンがあることを理解し、ボラティリティが低い時間帯を選ぶことは、賢明なリスク管理と言えるでしょう。
コツ3:一度に大きな数量を注文しない(分散注文)
一度にたくさんの株数を成行注文で出そうとすると、市場に与える影響が大きくなり、自分自身で価格を不利な方向に動かしてしまう可能性があります。
特に流動性の低い銘柄の場合は注意が必要です。
例えば100株買いたい場合でも、一度に100株の成行注文を出すのではなく、何回かに分けて注文するという方法があります。
ただし、ミニ株の場合は1回の注文単位がもともと小さいので、この影響は通常の単元株取引よりは小さいでしょう。
むしろ、ミニ株の特性を活かして、時間や価格を分散して少しずつ買い付ける「積立投資」のようなアプローチは、結果的に価格変動リスクを平準化する効果が期待できます。
ミニ株は少額から購入できるため、時間を分散して投資する「ドルコスト平均法」などと非常に相性が良いのです。
成行注文を定期的な積立に利用する場合、価格変動リスクは長期的に見れば平均化される効果が期待できます。
これは、成行注文の短期的な価格リスクを、長期的な投資戦略で和らげるアプローチです。



3. 指値注文を使うときのポイント
ミニ株で指値注文を利用したい場合、まず対応している証券会社が非常に限られていることを知っておく必要があります。このセクションでは、リアルタイムで指値注文が可能な証券会社、指値注文の際に知っておくべき値幅制限やスプレッドの考え方、そして指値注文自体のメリット・デメリットを解説します。最後に、もし指値注文がなかなか約定しない場合の対処法についても触れていきます。
3.1 リアルタイム指値が使える証券会社一覧
ミニ株(単元未満株)で、「この値段で買いたい・売りたい」という希望を叶える指値注文。
しかし、残念ながらほとんどの証券会社のミニ株サービスでは対応していません。
ここでは、ミニ株でもリアルタイムで指値注文が利用できる貴重な証券会社をご紹介します。
ミニ株における指値注文の現状
多くの証券会社では、ミニ株の取引は成行注文のみとなっています。
例えば、SBI証券の「S株」、マネックス証券の「ワン株」、auカブコム証券の「プチ株®」では、指値注文は利用できません。
これは、ミニ株の取引が証券取引所を介さず、証券会社との相対取引で行われたり、特定の時間にまとめて処理されたりする仕組みが多いため、個別の指値注文に柔軟に対応するのが難しいことが背景にあります。
リアルタイム指値が使える証券会社
本記事執筆時点で、主要ネット証券の中で唯一、ミニ株のリアルタイム取引で指値注文が利用可能なのは、楽天証券「かぶミニ®」 です。
- 対象取引: リアルタイム取引(寄付取引では指値注文はできず、成行注文のみとなります)。
- 注文可能時間: 前場 9:00(寄付後)~11:30、後場 12:30(寄付後)~15:25。
- 特徴: 通常の単元株と同じように、希望する価格を指定して注文を出すことができます。ただし、スプレッド(0.22%)を考慮した上で、東京証券取引所の定める値幅制限の範囲内での指値注文となります。
なぜ楽天証券だけ可能なのか(推察)
楽天証券がこのサービスを提供している背景には、いくつかの理由が考えられます。
一つは、他の証券会社との違いを出すための戦略かもしれません。
また、ミニ株でももっと自由に取引したいという顧客のニーズに応えるために、必要なシステムに投資した結果とも言えるでしょう。
さらに、単元未満株の取引を円滑に行うための独自の仕組みを構築している可能性も考えられます。
楽天証券の「かぶミニ®」が提供するリアルタイム指値注文機能は、ミニ株市場において非常に珍しく、価値の高いサービスです。
これにより、特定の取引スタイルを持つ投資家、例えばデイトレードに近い形でミニ株を扱いたい方や、特定の価格水準に強いこだわりがある方などを引き付けることができます。
ミニ株で指値注文が可能になることは、ミニ株市場が成熟し、個人投資家のニーズが多様化していることを示しているのかもしれません。
今後、他の証券会社も同様のサービスを提供する動きが出てくる可能性も考えられます。
しかし、ミニ株で指値注文をリアルタイムに処理するには、通常の単元株の取引システムとは異なる、あるいは追加のシステム開発やリスク管理体制が必要です。
これが、多くの証券会社で提供が難しい理由の一つと言えるでしょう。



3.2 指値可能な値幅制限とスプレッドの考え方
もしミニ株で指値注文が使える場合(例えば楽天証券「かぶミニ®」のリアルタイム取引)、どんな価格でも指定できるわけではありません。
ここでは、指値注文をする際に知っておくべき「値幅制限」と、実質的なコストとなる「スプレッド」について解説します。
値幅制限(ねはばせいげん)とは?
値幅制限とは、株価が1日に変動できる上下の範囲のことです。
前日の終値を基準に、株価の水準に応じて上限(これを「ストップ高」と言います)と下限(これを「ストップ安」と言います)が決められています。
この仕組みは、株価が異常なほど急に上がったり下がったりするのを防ぎ、投資家を保護するためにあります。
指値注文を出す際、この値幅制限を超える価格、例えばストップ高よりも高い値段で買おうとしたり、ストップ安よりも低い値段で売ろうとしたりする注文は、通常できません。
もしそのような注文が出された場合、エラーになるか、受け付けられないことが一般的です。
楽天証券「かぶミニ®」の場合も同様で、指値注文は、東京証券取引所の定める値幅制限の範囲内で行う必要があります。
指値注文にスプレッドを考慮した価格が、この値幅制限を超えてしまう場合、注文は成立せずに失効(無効になること)となります。
スプレッドとは?
スプレッドとは、主に証券会社が提示する買値(投資家が株を買うときの価格)と売値(投資家が株を売るときの価格)の差のことです。
この差額が、証券会社の実質的な収益(コスト)の一部となります。
ミニ株(特にリアルタイム取引)におけるスプレッドについて、楽天証券「かぶミニ®」のリアルタイム取引を例に見てみましょう。
このサービスでは、売買時に0.22%のスプレッドがかかります。
- 株を買う場合: 東京証券取引所の気配値段(市場での売買の目安となる価格)にスプレッド(0.22%)を加えた価格が、かぶミニ®の買付参考価格の基準となります。
- 株を売る場合: 東京証券取引所の気配値段からスプレッド(0.22%)を引いた価格が、かぶミニ®の売却参考価格の基準となります。
- 計算した結果、1円未満の端数が出た場合は、買い注文では切り上げられ、売り注文では切り捨てられます。
指値注文をする際には、このスプレッドを考慮に入れる必要があります。
楽天証券「かぶミニ®」の場合、買いの指値注文は、最も安くは東京証券取引所の値幅制限の下限から、最も高くはかぶミニ®参考価格に1%を加えた価格までの範囲で指定できます。
売りの指値注文は、最も安くはかぶミニ®参考価格から1%を引いた価格から、最も高くは東京証券取引所の値幅制限の上限までの範囲となります。
つまり、スプレッド分だけ市場価格よりも少し不利な側で指値注文を出すイメージになります。
スプレッドは、「手数料無料」と宣伝されていても実質的に発生するコストです。
特にミニ株のリアルタイム取引では、このスプレッドが取引で利益が出るかどうかの分岐点に影響を与えるため、初心者の方は手数料だけでなくスプレッドの存在と大きさを認識することがたいせつです。
また、ミニ株の指値注文(楽天証券の場合)では、通常の単元株の指値注文とは異なり、スプレッドを考慮した上で、さらに独自の指値可能範囲(参考価格±1%など)が設定されています。
これは、ミニ株の取引量や価格形成の特性を反映した、証券会社側のリスク管理策の一環と考えられます。
値幅制限やスプレッドの仕組みを理解することは、より有利な取引戦略を立てる上で不可欠です。
例えば、スプレッドの存在を知っていれば、それを織り込んだ目標価格を設定することができます。



3.3 指値注文のメリット・デメリット
ミニ株で指値注文が使える場合(主に楽天証券「かぶミニ®」)、どのような良い点と注意すべき点があるのでしょうか。
成行注文と比較しながら、指値注文のメリットとデメリットを改めて確認しましょう。
指値注文の良いところ
- 希望の価格で約定できる可能性
- 最大のメリットは、自分が「この価格なら買いたい(売りたい)」と納得できる価格を指定できる点です。
- これにより、想定外に高い価格で買ってしまう、または安い価格で売ってしまうというリスクを避けられます。
- 特に、株価が大きく変動している局面でも、冷静に自分の決めた価格で取引できます。
- 計画的な取引が可能
- あらかじめ目標とする株価を決めて注文を出しておくことで、計画的な投資がしやすくなります。
- 「ここまで下がったら買う」「ここまで上がったら売る」といった自分なりのルールに基づいた取引が可能です。
- 市場に張り付く必要がない場合も
- 一度指値注文を出しておけば、市場価格がその値段に達した時に自動的に約定する可能性があります(必ず約定するわけではありません)。
- 仕事中や他の用事をしている間でも、取引チャンスを捉えられることがあります。
指値注文の注意点
- 約定しない可能性がある
- 指定した価格に市場価格が到達しなければ、いつまで経っても注文は成立しません。
- 「あと少しで指値に届いたのに…」と、買い時や売り時を逃してしまうことがあります。
- 機会損失のリスク
- 例えば、買いの指値注文を入れていた銘柄が、指値に届かないままどんどん値上がりしてしまった場合、利益を得る機会を失うことになります。
- 逆に、売りの指値注文を入れていた銘柄が、指値に届かずに値下がりしてしまった場合、より高い価格で売れたはずの機会を逃すことになります。
- 取引成立までに時間がかかることも
- 市場価格がすぐに指定した価格に動くとは限らないため、注文が成立するまでに時間がかかることがあります。
- 資金が長期間拘束される(買付余力が減る)可能性も考慮に入れる必要があります。
- ミニ株では利用できる証券会社が限定的
- 最大のデメリットとも言えますが、そもそもミニ株で指値注文を利用できる証券会社が非常に少ないのが現状です(楽天証券「かぶミニ®」が主な選択肢)。
指値注文は「自分の決めた価格」という安心感を与えますが、その価格が市場の実際の動きと離れている場合、いつまでも約定しないという現実があります。
投資家が心理的に満足できる価格と、市場の動きとの間でバランスを取ることが求められます。
また、指値注文は、市場の動きに対してある程度「待つ」姿勢を取ることを意味します。
これは、常に市場を監視して積極的に判断を下すスタイルとは対照的です。
どちらが良いかは、投資家の性格やライフスタイルにもよるでしょう。
ミニ株で指値注文が使える場面が限られているという事実は、指値注文の一般的なデメリット(約定しない可能性、機会損失)を、ミニ株投資家にとってはより大きな制約として感じさせる可能性があります。
選択肢が少ない分、そのデメリットがより際立つのです。



3.4 指値が約定しないときの対処法
「この値段で買いたい(売りたい)!」と指値注文を出したものの、なかなか約定しない…。
そんな時、どうすれば良いのでしょうか。
ここでは、指値注文が成立しない場合の主な対処法をいくつかご紹介します。
対処法1:そのまま待つ
市場価格がいつか指定した価格に到達することを期待して、注文をそのままにしておく方法です。
何もする必要がないので手間がかかりません。
相場が一時的に変動しているだけで、いずれ自分の指定した価格に戻ってくると思う場合に有効です。
しかし、いつまでも約定しない可能性もあります。
その間、投資に使えるお金は拘束されたままになり、他の投資機会を逃すかもしれません。
また、株式の注文には有効期限(その日限り、今週中など。ミニ株では特に「当日限り」が多いです)があるので、期限が切れて注文が無効になってしまうこともあります。
楽天証券「かぶミニ®」の指値注文の場合、リアルタイム取引の指値注文は、市場が急激に変動している時には約定しないことや、市場価格と大きく離れた価格での約定となる場合があります(ただし、指定した指値よりも不利な価格で約定することはありません)。
まだ約定していなければ、注文を取り消すことも可能です。
対処法2:注文価格を訂正する
現在の市場価格に近づけるように、指定した価格を変更する方法です。
- 買い注文の場合: 指値を少し引き上げます(例: 100円の買い指値を101円にする)。
- 売り注文の場合: 指値を少し引き下げます(例: 105円の売り指値を104円にする)。
この方法のメリットは、約定の可能性を高めることができる点です。
デメリットは、当初希望していた価格よりも不利な条件で取引することになる点です。
楽天証券「かぶミニ®」の指値注文では、リアルタイム取引の時間帯であれば、まだ約定していない指値注文の価格を訂正することが可能です。
対処法3:注文を一度キャンセルして、成行注文で出し直す
指値注文での約定を諦め、現在の市場価格で確実に取引を成立させたい場合に取る方法です。
メリットは、ほぼ確実に約定させることができる点です(ただし、ミニ株の成行注文の約定ルールに従います)。
デメリットは、当初希望していた価格よりも不利な価格で約定するリスクがある点です。
成行注文の特性を再度理解しておく必要があります。
対処法4:注文をキャンセルして、様子を見る
現在の相場状況では自分の希望する価格での取引は難しいと判断し、一旦注文を取り消して仕切り直す方法です。
メリットは、不利な価格での約定を避けられる点です。
相場が落ち着くのを待ったり、投資戦略を練り直したりする時間を作れます。
デメリットは、その間に株価がさらに有利な方向に動いてしまう(または不利な方向に動いてしまう)可能性もある点です。
指値注文が約定しない時の対処法は、投資家の柔軟性と規律のバランスを示します。
価格にこだわりすぎると機会を逃し、安易に変更すると当初の計画が崩れてしまいます。
約定しない場合、なぜ約定しないのか(市場全体のトレンドか、その株固有の要因か、自分の指値が現実離れしているのかなど)を分析することが、次の行動を決める上でたいせつです。
市場のニュースやチャートの形、出来高などを確認し、指値が適切だったか再評価してみましょう。
ミニ株で指値注文が使えるのは主に楽天証券「かぶミニ®」なので、そこで約定しない場合、他の証券会社で同様の指値注文戦略を取るという選択肢がほぼありません。
そのため、価格を訂正するか、注文を出し直すかといった判断がより慎重になります。



4. 成行×指値を組み合わせた実践テクニック
このセクションでは、成行注文と指値注文の特性を理解した上で、より実践的な取引テクニックについて触れます。初心者の方が最初に試しやすい基本的な考え方から、少しステップアップした投資手法で使われる注文方法、そしてミニ株の特性を活かした積立投資のコツまでをご紹介します。ただし、ミニ株では利用できない注文方法もあるため、その点は明確に区別して解説します。
4.1 初心者向け:買いは指値・売りは成行が基本?
株式投資を始めたばかりの方がよく耳にするかもしれない、「買いは指値注文、売りは成行注文が良い」という考え方。
これは本当に基本なのでしょうか。
ミニ株取引の文脈も踏まえながら、この戦略の背景と注意点を解説します。
「買いは指値」の理由
株式投資の基本は「安く買って高く売る」ことです。
そのため、買い注文を出す際は、できるだけ現在の価格よりも有利な(安い)価格で買いたいという心理が働きます。
指値注文で上限価格を決めておくことで、一時的な株価の急騰に巻き込まれて想定以上に高い価格で買ってしまう「高値掴み」のリスクを低減できます。
また、「この価格まで下がったら買う」という計画的な買い方が可能になります。
「売りは成行」の理由
株価が目標まで上昇した際の利益確定や、予想に反して下落した際の損切りは、タイミングを逃さず確実に行いたいものです。
成行注文なら、価格を指定しない分、約定しやすいため、売り時を逃しにくいとされます。
特に株価が急落している局面では、「いくらでもいいから早く売りたい」という状況になりがちです。
このような時、指値注文にこだわっていると約定せず、さらに損失が拡大する恐れがあります。
成行注文なら迅速な決済が期待できます。
この「基本」は万能?
この考え方はあくまで一つの目安であり、全ての状況で最適とは限りません。
買いの指値注文に固執しすぎると、株価が指値まで下がらずに上昇してしまい、絶好の買い場を逃すこともあります。
逆に、成行注文で売った場合、思ったより安い価格で約定してしまうこともあります。
特に市場の取引量が少ない銘柄や時間帯では注意が必要です。
ミニ株での適用と限界
ミニ株でこの「基本」を実践するには、まず利用する証券会社のサービス内容をしっかり確認する必要があります。
「買いは指値注文」と言っても、そもそもミニ株で指値注文が使えるのは楽天証券「かぶミニ®」などごく一部です。
多くの場合は成行注文しか選択できません。
また、「売りは成行注文」についても、ミニ株の成行注文の約定タイミングがリアルタイムでない場合(SBI証券、マネックス証券、auカブコム証券など)、注文から約定までにタイムラグが生じ、その間に価格が変動するリスクは依然として存在します。
「買いは慎重に(指値注文)、売りは迅速に(成行注文)」という考え方は、損失を避けたいという心理の表れとも言えます。
高い値段で買ってしまうことを恐れて買いは慎重になり、損失が大きくなることを恐れて売りは迅速になる傾向があるのです。
また、「売りは成行注文」が有効なのは、ある程度の取引量があることが前提です。
取引量が極端に少ない銘柄では、成行注文で売ろうとしてもすぐに約定しなかったり、大幅に不利な価格になったりするリスクがあります。
ミニ株では、この「基本」を文字通り適用するよりも、「買いは計画的に(例えば、積立などで時間を分散することを意識した成行注文)、売りは状況に応じて(リアルタイムで約定できるなら機動的に、まとめて処理されるなら価格変動をある程度受け入れて)」と解釈する方が現実的かもしれません。



4.2 1株積立で平均取得単価をコントロールする方法
ミニ株の最大の魅力の一つは、1株から少額で株式を購入できることです。
この特性を活かした「1株積立」は、特に投資初心者の方にとって、リスクを抑えながら資産形成を目指せる有効な手段です。
ここでは、積立投資で「平均取得単価」をコントロールする考え方について解説します。
平均取得単価って何?
自分がその株を1株あたり平均していくらで買ったかを示す価格のことです。
例えば、A社の株を最初に1株100円で買い、次に株価が90円に下がった時に1株買い増したとします。
この場合、合計2株を190円で買ったことになるので、平均取得単価は95円(190円 ÷ 2株)となります。
ドルコスト平均法って何?
定期的に、一定の金額で、同じ投資対象を買い続ける投資手法です。
- 仕組み:
- 株価が高い時には少なく買い、株価が安い時には多く買うことになります(投資する金額が一定なので)。
- これにより、長期的には平均取得単価をならす効果が期待できます。
- メリット:
- 高い値段で買ってしまうリスクを低減できます。
- いつ買えばいいかというタイミングを計る難しさから解放されます。
- 感情に左右されず、機械的に投資を継続しやすいです。
ミニ株(1株)積立とドルコスト平均法
ミニ株は1株から購入できるため、少額からドルコスト平均法を実践しやすいという点で、非常に相性が良いと言えます。
- 実践方法:
- 毎月(または毎週など)決まった日に、決まった金額分だけ、特定の銘柄のミニ株を成行注文で買い付けます。
- 多くの証券会社では、ミニ株の「積立買付サービス」を提供しており、一度設定すれば自動で買い付けてくれます。例えば、SBI証券の「S株」の積立サービスや、auカブコム証券の「プレミアム積立®(プチ株®)」などがあります。
平均取得単価をコントロールするイメージ
株価が変動する中で定期的に買い続けることで、一時的な高値で大量に買ってしまうことを避けます。
結果として、平均取得単価が市場価格の平均に近い水準に落ち着きやすくなります。
長期間続けるほど、時間による分散の効果が大きくなります。
【注意点】
ドルコスト平均法は、平均取得単価をならす効果は期待できますが、必ず利益が出ることを保証するものではありません。
投資対象の価格が下がり続ければ、損失を被る可能性もあります。
積立投資は長期的な視点がたいせつです。
ドルコスト平均法は、投資家の感情的な判断ミス(例えば、価格が上がっている時に焦ってたくさん買ってしまい、下がっている時に怖くて売ってしまうなど)を避けるのに役立つ方法としても有効です。
機械的なルールに従うことで、市場の短期的な動きに惑わされにくくなります。
ミニ株の登場は、ドルコスト平均法をより多くの個人投資家にとって身近なものにしました。
以前は、単元株(通常100株単位)で投資するにはまとまった資金が必要だったため、少額からの積立は困難でした。
しかし、ミニ株がそのハードルを大きく下げたのです。
ミニ株積立を長期間継続し、もし配当金が出る銘柄であれば、その配当金を再投資することで、複利効果も期待できます。
平均取得単価のコントロールと合わせて、長期的な資産形成に貢献するでしょう。



5. よくある質問(FAQ)
ミニ株の成行注文や指値注文について学んできましたが、まだいくつか疑問点があるかもしれません。このセクションでは、初心者の方が抱きやすい質問とその回答をまとめました。手数料のこと、注文が通らない原因、スマホでの注文方法、そして単元株になった時の扱いなど、気になるポイントをスッキリ解決しましょう。
5.1 指値が通らない原因は何?
「この値段で買いたい(売りたい)!」と指値注文を出したのに、なかなか約定しない…。
そんな時、どんな原因が考えられるのでしょうか。
主な理由をいくつか見ていきましょう。
主な原因
- 指定した価格に市場価格が到達していない
- これが最も一般的な理由です。買い注文なら株価が指定価格まで下落しない、売り注文なら株価が指定価格まで上昇しない限り、注文は成立しません。
- 市場のトレンドや需要と供給の状況によって、指定価格に到達するまでに時間がかかることも、全く到達しないこともあります。
- 取引の優先順位(成行注文が優先)
- 株式市場では、成行注文が指値注文よりも優先して約定されるルールがあります(価格優先の原則、時間優先の原則)。
- 同じ価格帯に多くの注文が集中している場合、自分の指値注文の番が回ってくる前に、他の注文(特に成行注文や、より早く出された同じ価格の指値注文)で取引が成立してしまうことがあります。
- 出来高が少ない(流動性が低い)銘柄
- 取引されている株の量が少ない銘柄の場合、そもそも売買の相手方が見つかりにくいことがあります。
- たとえ株価が一時的に指定した価格に触れたとしても、実際に取引が成立するだけの十分な注文量がなければ、約定に至らないことがあります。
- 注文の有効期限切れ
- 株式の注文には有効期限があります(例: 当日限り、今週中など)。ミニ株の場合、特に「当日限り」が多いです。
- 有効期限内に指定価格に到達しなかったり、約定の順番が回ってこなかったりすると、注文は自動的に失効(キャンセル)となります。
- 気配値と実際の約定価格のズレ
- 株価ボードなどで見ている気配値(売買の目安となる価格)は刻々と変動します。指値注文が気配値にタッチしたように見えても、実際に約定処理が行われるわずかな間に価格が動いてしまい、約定しないことがあります。
- ミニ株特有の約定ルール(楽天証券「かぶミニ®」の場合など)
- 楽天証券「かぶミニ®」のリアルタイム指値注文では、スプレッドを考慮した価格が東証の値幅制限を超える場合や、市場の急激な変動時には約定しないことがあります。
- また、注文が殺到した場合なども、約定が難しくなる可能性があります。
これらの原因を理解し、指値注文を出す際には、銘柄の流動性や市場の状況、そして利用する証券会社のミニ株サービスのルールをよく確認することがたいせつです。



5.2 スマホアプリでの具体的な注文手順
ここ最近、スマートフォンを使って株取引をする方が増えています。
多くの証券会社が便利なスマホアプリを提供しており、ミニ株の注文も簡単に行えます。
ここでは、一般的なスマホアプリでの注文手順のイメージをご紹介します(具体的な画面や操作方法は証券会社によって異なります)。
一般的な注文手順(買い注文の例)
- 証券会社の取引アプリにログインする
- ユーザーネームとパスワードを入力してログインします。
- 購入したい銘柄を検索する
- 銘柄名や銘柄コード(4桁の数字)で検索し、目的の銘柄を見つけます。
- 銘柄の詳細画面を開き、「取引」や「注文」ボタンをタップする
- 株価チャートや企業情報が表示されている画面から、注文画面に進みます。
- 「現物買」を選択する
- 信用取引など他の取引種類と間違えないように注意しましょう。
- 注文方法(S株、単元未満株など)を選択する
- アプリ内で「S株」や「単元未満株」、「プチ株」といったミニ株取引の選択肢があれば、それにチェックを入れたり、選択したりします。
- 注文内容を入力する
- 株数: 購入したい株数を入力します(例: 1株、10株など)。
- 価格(注文方法):
- 成行注文の場合: 「成行」を選択します。価格の入力は不要です。
- 指値注文の場合(楽天証券「かぶミニ®」など一部のみ): 「指値」を選択し、購入したい価格を入力します。
- 預り区分: 「特定口座」「一般口座」「NISA口座」など、どの口座で取引するか選択します(開設している場合)。
- 注文内容を確認する
- 銘柄名、株数、注文方法、概算の金額などをしっかり確認します。
- 取引パスワードを入力し、発注する
- 間違いがなければ、取引パスワードを入力して注文を確定します。
ポイント
- アプリの操作に慣れる: 最初は戸惑うかもしれませんが、デモ取引機能があるアプリなら練習してみるのも良いでしょう。
- 注文確認は念入りに: 特に株数や注文方法の間違いは大きな損失につながる恐れがあります。発注前の確認は必ず行いましょう。
- 通信環境の良い場所で: 電波状況が悪いと、注文が途中で途切れたりする可能性があるので注意が必要です。
SBI証券の「SBI証券 株アプリ」を例にとると、個別銘柄の画面で「取引」ボタンをタップし、「現物買」を選択後、「S株」にチェックを入れて株数などを入力する流れになります。
楽天証券やマネックス証券、auカブコム証券のアプリも、それぞれ直感的に操作できるように工夫されています。
利用する証券会社の公式サイトやアプリ内のヘルプも参考にしながら、操作方法を覚えていきましょう。



5.3 手数料は注文方法で変わる?
ミニ株を取引する際にかかる手数料。
「成行注文と指値注文で手数料は変わるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
この点について解説します。
基本的な考え方
一般的に、ミニ株(単元未満株)の取引手数料は、注文方法(成行注文か指値注文か)によって直接的に変わることはほとんどありません。
手数料は、主に以下の要素で決まります。
- 証券会社ごとの手数料体系: これが最も大きな違いを生みます。
- 取引金額(約定代金): 約定代金に応じて手数料率が変わる、あるいは段階的に手数料額が決まる場合があります。
- 口座の種類: NISA口座での取引は手数料が無料になる証券会社が多いです。
- 買付か売却か: 証券会社によっては、買付手数料は無料で、売却手数料のみかかる場合があります(例: マネックス証券「ワン株」)。
楽天証券「かぶミニ®」のケース
楽天証券の「かぶミニ®」は、ミニ株で指値注文と成行注文の両方が使える珍しいサービスですが、ここでも注文方法自体で「売買手数料」が変わるわけではありません。
「かぶミニ®」の売買手数料は無料です。
ただし、注意が必要なのはスプレッドです。
- リアルタイム取引(成行注文・指値注文ともに可能): 0.22%のスプレッドが買付時・売却時にそれぞれかかります。これは実質的なコストと言えます。
- 寄付取引(成行注文のみ可能): スプレッドはかかりません。
つまり、楽天証券「かぶミニ®」では、注文方法(成行注文/指値注文)というよりは、取引の執行タイミングの選択(リアルタイム取引/寄付取引)によって、スプレッドという実質的なコストの有無が変わってきます。
他の主要ネット証券のケース
- SBI証券「S株」: 売買手数料は無料です。注文はすべて成行注文扱いとなります。スプレッドは実質的なコストとして存在します。
- マネックス証券「ワン株」: 買付手数料は無料、売却手数料は約定代金の0.55%(最低52円、税込)です。注文はすべて成行注文扱いとなります。
- auカブコム証券「プチ株®」: 手数料は約定代金の0.55%(最低52円、税込)です(NISA口座やプレミアム積立は無料)。注文はすべて成行注文扱いとなります。
これらの証券会社では、そもそも指値注文ができないため、注文方法による手数料の違いを比較する余地がありません。
結論として
ミニ株取引において、成行注文か指値注文かという注文方法の違いだけで手数料が変動することは、現状の主要ネット証券のサービスでは基本的にないと考えて良いでしょう。
手数料を比較する際は、各証券会社のミニ株サービス全体の手数料体系(売買手数料、スプレッドの有無、最低手数料など)を確認することがたいせつです。



5.4 単元株への繰り上げはどう扱われる?
ミニ株(単元未満株)を少しずつ買い集めていくと、いずれ1単元(通常100株)に達することがあります。
例えば、1株ずつ買い進めて100株になった場合、それはもう「ミニ株」ではなく「単元株」として扱われるようになります。
この時、何か特別な手続きが必要なのでしょうか。
自動的に単元株として扱われる
多くの証券会社では、保有しているミニ株が1単元の株数に達した場合、自動的に単元株として認識され、通常の単元株と同じように取り扱われます。
特別な手続きを自分からする必要は基本的にありません。
- 権利の変化:
- 議決権: 単元未満株のみを保有している状態では株主総会での議決権はありませんが、1単元以上の株主になれば議決権が得られます。
- 株主優待: 企業によっては、1単元以上の保有で株主優待が受けられる場合があります(ミニ株でも優待がもらえる企業も一部あります)。
- 取引方法の変化:
- 単元株になれば、証券取引所を通じて、リアルタイムで指値注文や成行注文など、より多様な注文方法で売買できるようになります(ミニ株の取引ルールではなく、通常の株式取引のルールが適用されます)。
- ミニ株サービス特有の約定タイミングの制約や、注文方法の制限(指値注文ができないなど)はなくなります。
証券会社ごとの対応
- SBI証券「S株」: S株で買い集めて100株になった場合、通常の単元株として扱われ、単元株市場で売却できます。
- 楽天証券「かぶミニ®」: 同様に、100株に達すれば単元株として扱われます。
- マネックス証券「ワン株」: ワン株で買い増して単元株になった場合、単元株として取引可能になります。
- auカブコム証券「プチ株®」: プチ株®で買い増しによって単元株になった場合、買付直後に通常の取引所取引が可能になります。
単元未満株の「買増請求制度」について
少し専門的な話になりますが、株主は保有する単元未満株について、発行会社に対して1単元に不足する株数を買い増して単元株にすることを請求できる「買増請求制度」というものがあります。
これは、証券会社を通じたミニ株取引とは別の制度で、株主名簿管理人(信託銀行など)を通じて手続きを行います。
ただし、すべての会社がこの制度を採用しているわけではなく、手続きも煩雑な場合があるため、ミニ株サービスを利用して単元化を目指す方が一般的で手軽です。
ミニ株をコツコツ買い増して単元株を目指すのは、少額から始められる資産形成の一つの方法です。
単元株になれば、より取引の自由度が増し、株主としての権利も広がります。
自動的に単元株として扱われるため、特別な心配は不要ですが、念のため利用している証券会社のルールを確認しておくと良いでしょう。



6. まとめ あなたに合った注文方法でミニ株投資を始めよう
ここまで、ミニ株の基本的な注文方法である「成行注文」と「指値注文」について、その仕組みやメリット・デメリット、さらには主要証券会社ごとの対応状況などを詳しく見てきました。
ミニ株の成行注文と指値注文、それぞれの特徴をしっかり理解できたでしょうか。
成行注文は、価格を指定せずに「今の市場価格で」取引を成立させる方法です。
- メリット: 約定しやすく、注文が簡単。
- デメリット: 思わぬ価格で約定するリスクがあり、ミニ株の場合は約定タイミングがリアルタイムでないことが多い。
- 向いているケース: 価格よりも約定の確実性を優先したい時、積立投資などで機械的に買い付けたい時。
指値注文は、自分で「この価格で」と指定して取引する方法です。
- メリット: 希望の価格で取引できる可能性があり、計画的な売買が可能。
- デメリット: 約定しない可能性があり、機会を逃すことも。ミニ株では利用できる証券会社が非常に限られています(主に楽天証券「かぶミニ®」のリアルタイム取引)。
- 向いているケース: 特定の価格で取引したい時、じっくりタイミングを待ちたい時(ただしミニ株では選択肢が少ない)。
ミニ株投資を始めるにあたっては、まずご自身の投資スタイルや目的を考えることがたいせつです。
- 少額からコツコツと長期的な資産形成を目指したいのか。
- 特定の企業を応援したいのか。
- あるいは、ミニ株でも積極的に売買してみたいのか。
その上で、各証券会社のミニ株サービス内容(手数料、取扱銘柄、注文方法、約定タイミングなど)を比較検討し、自分に最も合った証券会社と注文方法を選びましょう。
特にミニ株の場合、成行注文が基本となる証券会社が多いですが、その約定ルールは様々です。
SBI証券のように手数料無料で1日に数回約定するタイプ、楽天証券のようにリアルタイム取引(スプレッドあり)と寄付取引(スプレッドなし)を選べるタイプなど、特色があります。
指値注文を使いたいのであれば、現状では楽天証券「かぶミニ®」が主な選択肢となります。
この記事が、あなたがミニ株投資への理解を深め、自信を持って第一歩を踏み出すためのお役に立てれば幸いです。
株式投資は、正しい知識を身につけ、リスクを理解した上で慎重に行うことがたいせつです。
焦らず、ご自身のペースで学んでいきましょう。
本記事の注意事項(免責事項)
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を意図したものではありません。本記事に記載されている情報については、正確性、完全性、有用性を確保するために努力しておりますが、その保証は致しかねます。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容を利用して生じたいかなる損害についても、当サイトおよび著者は一切の責任を負いかねます。詳しくは免責事項ページをご確認ください。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
【登場人物】



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