1. ミニ株手数料とは?基本をサクッと理解
ミニ株(単元未満株)とは何か、通常の株式投資(単元株)との違い、そして手数料がいつ、なぜ発生するのか、手数料が高く感じられる理由や「手数料負け」という言葉の意味まで、ミニ株投資のスタートラインで知っておくべき手数料の基本を分かりやすく解説します。
1.1 ミニ株(単元未満株)の仕組みと単元株との違い
「ミニ株って聞いたことあるけど、普通の株と何が違うの?」そんな疑問にお答えします。
まずはミニ株の基本的な仕組みと、まとまったお金が必要な単元株との違いを、初心者さんにも分かりやすく説明しますね。
ミニ株(単元未満株)とは?
ミニ株(単元未満株)とは、株式投資の世界への第一歩を、ぐっと身近にしてくれる仕組みです。
通常、私たちがよく耳にする会社の株を買うとき、例えばトヨタ自動車やソニーといった有名企業の株主になるには、ある程度まとまった株数を一度に購入する必要がありました。
このまとまった株数のことを「単元(たんげん)」と呼びます。
多くの会社では、この1単元を100株や1,000株と定めています。
しかし、ミニ株は、その名の通り1単元に満たない、つまり1株からでも株を購入できるようにした制度なのです。
例えば、株価が5,000円の会社の株があったとしましょう。
もし1単元が100株なら、通常の取引では最低でも5,000円×100株=50万円の資金が必要になります。
これは、株式投資を始めてみたいと思っても、なかなか手が出しにくい金額かもしれません。
ところがミニ株なら、同じ会社の株を1株、つまり5,000円から購入することができるのです。
お小遣いやちょっとした余剰資金で、憧れの企業の株主になれる。
これがミニ株の最大の魅力であり、株式投資のハードルを大きく下げてくれるポイントです。
数百円や数千円からでも投資を始められる手軽さが、多くの投資初心者の方に支持されています。
単元株との主な違い
ミニ株と単元株、どちらも同じ会社の株であることには変わりありませんが、いくつかの点で違いがあります。
これを理解しておくことが、賢くミニ株と付き合うための第一歩です。
- 取引単位
- ミニ株: 原則として1株から購入可能です。
- 単元株: 多くの銘柄で100株単位での取引となります。日本の証券取引所では、2018年10月から株式の売買単位が原則として100株に統一されました。
- 必要な資金
- ミニ株: 1株から買えるため、少額の資金で始められます。数百円から数万円程度で多くの銘柄が購入対象になります。
- 単元株: 100株単位なので、株価によっては数十万円から数百万円のまとまった資金が必要になります。
- 議決権
- ミニ株: 株主総会で会社の経営方針などに対して意見を表明したり、投票したりする権利である議決権は、原則としてありません。
- 単元株: 1単元以上の株を保有していれば、株主総会に出席し、議決権を行使することができます。
- 株主優待
- ミニ株: 企業が株主に対して自社製品やサービス、優待券などを提供する株主優待は、受けられないことが多いです。多くの企業が、株主優待の対象を1単元(通常100株)以上の株主としているためです。
- 単元株: 1単元以上の保有で、その企業が設定している株主優待を受けられる権利が得られます。
- ただし、全ての企業がそうとは限りません。中には、1株でも保有していれば何らかの優待を提供してくれる企業や、長期保有することで単元未満でも優待の対象となる企業も少数ながら存在します。
- 注文方法・時間
- ミニ株: 証券会社によって、注文方法が成行注文(なりゆきちゅうもん:値段を指定しない注文方法)のみに限定されていたり、取引できる時間帯が限られていたりする場合があります。リアルタイムでの取引ができないことも多いです。例えば、SBI証券の「S株」はリアルタイム取引や指値注文(さしねちゅうもん:値段を指定する注文方法)ができません。
- 単元株: 基本的に、成行注文も指値注文も可能で、証券取引所が開いている時間帯であればリアルタイムで取引できます。
- 楽天証券の「かぶミニ」のように、ミニ株でもリアルタイム取引や指値注文が可能なサービスも出てきています。
- 手数料体系
- ミニ株: 単元株の取引とは手数料の仕組みが異なる場合があります。特に、取引金額が小さいと、手数料が相対的に割高に感じられる傾向があります。この手数料については、本記事で詳しく解説していきます。
ミニ株のメリット・デメリット(手数料以外も含む)
ここで、手数料以外の面も含めたミニ株の主なメリットとデメリットを整理しておきましょう。
【メリット】
- 少額から始められる: なんといっても最大のメリットです。これにより、複数の銘柄に資金を分けて投資する「分散投資」もしやすくなります。
- 有名企業の株主になれる: 手の届かないと思っていたような大企業の株も、1株からなら気軽に保有できます。
- 株式投資の練習になる: まずは少額から実際の取引を体験することで、株式投資の感覚を掴んだり、知識を深めたりするのに役立ちます。
【デメリット】
- 手数料が割高になりやすい: これは本記事のテーマであり、後ほど詳しく解説します。
- 注文や約定のタイミングが限られる場合がある: 証券会社によっては、1日に1回や2回など、約定するタイミングが決まっていることがあります。
- 基本的に指値注文ができない場合が多い: 楽天証券の「かぶミニ」など一部例外はありますが、多くは成行注文のみです。
- 株主優待が受けられないことが多い: 上述の通りです。
- 議決権がない: 株主としての権利の一部が制限されます。
ミニ株は、投資の世界への扉を大きく開いてくれる素晴らしい仕組みです。
しかし、単元株と全く同じというわけではありません。
特に、手数料の考え方や、株主としての権利(議決権や株主優待など)に違いがあることを最初に知っておくのが、賢いスタートのコツです。
この違いを理解することで、なぜ手数料体系も異なるのか、という次のトピックへの自然な流れを作ることができます。



1.2 手数料が発生する3つのタイミング
株を買ったり売ったりするとき、いつ手数料がかかるんだろう?
ここでは、ミニ株取引で手数料が発生する主な3つのタイミングについて、具体的に見ていきましょう。
手数料が発生する主なタイミング
ミニ株の取引において、手数料が発生する主なタイミングは以下の3つです。
- 株を買うとき(買付手数料) これは、あなたが「この会社の株を買いたい!」と思って注文を出し、実際に株を購入できた(約定した)際に発生する手数料です。 証券会社によっては、この買付手数料を無料にしているところも増えてきています。 例えば、SBI証券の「S株」やマネックス証券の「ワン株」は、ミニ株の買付手数料が無料となっています。 これは、投資を始める際の初期費用を抑えられるため、特に初心者の方にとっては嬉しいポイントです。
- 株を売るとき(売却手数料) 保有している株を「そろそろ売りたいな」と考えて売却し、取引が成立した際に発生する手数料です。 ミニ株 売却方法を検討する際には、この売却手数料がいくらかかるのかをしっかりと確認することが重要になります。 買付手数料が無料の証券会社でも、売却時には手数料がかかるケースが多く見られます。 例えば、マネックス証券の「ワン株」は、買付手数料は無料ですが、売却時には約定代金の0.55%(最低52円)の手数料が必要になります。 一方で、SBI証券の「S株」は、買付手数料だけでなく売却手数料も無料です。 また、楽天証券の「かぶミニ」も売却手数料は無料ですが、リアルタイム取引を選択した場合には、次に説明する「スプレッド」という形で実質的なコストが発生します。
- その他(口座管理手数料など ※ただし現在はほぼ無料) 以前は、証券会社の口座を持っているだけで、年に一度「口座管理手数料」という費用がかかる場合がありました。 しかし、現在では、主要なネット証券会社ではこの口座管理手数料は無料となっているのが一般的です。 そのため、ミニ株取引に特有の追加の手数料としては、基本的に上記の買付手数料と売却手数料が中心と考えてよいでしょう。
スプレッドという実質的なコスト
ここで、もう一つ知っておきたいのが「スプレッド」という言葉です。
一部の証券会社や特定の取引方法では、売買手数料が「無料」と表示されていても、このスプレッドという形で実質的な取引コストが発生することがあります。
スプレッドとは、簡単に言うと、株を買うときの値段(買値:Ask)と売るときの値段(売値:Bid)の間に設けられた差額のことです。
証券会社は、この差額を収益の一部としています。
例えば、ある株の基準価格が1,000円だったとしても、あなたが買うときは1,002円、売るときは998円といった具合に、少し不利な価格で取引することになります。
この買値と売値の差(この例では4円)がスプレッドであり、あなたにとっては見えない手数料のようなものになるのです。
このスプレッドについては、次の「2. ミニ株の手数料体系は2種類だけ」のセクションで、より詳しく解説します。
楽天証券の「かぶミニ」でリアルタイム取引を行う際には、0.22%のスプレッドが発生します。
ミニ株の手数料は、主に株を買うときと売るときにかかります。
最近は「買付手数料無料」の証券会社も多いですが、「売るときはどうかな?」「他に隠れたコストはないかな?」と一歩踏み込んで考えるのがポイントです。
特に「スプレッド」という言葉は、手数料を理解する上で非常に重要なので、覚えておくと良いでしょう。
「無料」という言葉の裏側や、目に見える手数料以外にも実質的なコストが存在する可能性を意識しておくことが、賢い証券会社選びにつながります。



1.3 手数料が高く見える理由と「手数料負け」の正体
「ミニ株って手数料が高いって聞くけど本当?」「手数料負けってどういうこと?」
株式投資を始めようとするとき、こんな不安や疑問を持つのは自然なことです。
ここでは、なぜミニ株の手数料が高く感じられるのか、そして多くの初心者が心配する「手数料負け」の仕組みについて、スッキリ理解できるように解説します。
なぜミニ株の手数料は「割高」と言われるのか?
ミニ株の手数料が「割高」と感じられる主な理由は、取引金額の小ささにあります。
- 少額取引における手数料の割合: 手数料の金額自体はそれほど大きくなくても、取引する株の金額が小さいと、利益に対する手数料の割合が相対的に大きくなってしまうのです。 例えば、100万円の株取引で1,000円の手数料がかかった場合、手数料の割合は約定代金の0.1%です。 しかし、1万円のミニ株取引で100円の手数料がかかった場合、手数料の割合は1%にもなります。 同じ100円の手数料でも、取引金額が小さいほど、その負担感が重くのしかかってくるわけです。
- 最低手数料の存在: さらに、多くの証券会社では、ミニ株の取引手数料に「最低手数料 ○○円」という設定を設けています。 これは、「どんなに取引金額が小さくても、最低でもこの金額の手数料はいただきます」というものです。 例えば、手数料率が0.5%で、最低手数料が52円の証券会社があったとします。 もしあなたが1,000円分の株を売買した場合、計算上の手数料は1,000円 × 0.5% = 5円です。 しかし、最低手数料が52円と定められているため、実際に支払う手数料は52円になってしまいます。 この場合、実質的な手数料率はなんと5.2%(52円 ÷ 1,000円)にも跳ね上がります。 この最低手数料の存在が、特に少額の取引を頻繁に行う場合に、ミニ株の手数料を「割高」と感じさせる大きな原因の一つとなっています。
「手数料負け」とは?
次に、「手数料負け」という言葉について説明します。
これは、せっかく株の売買で利益が出たとしても、支払った手数料の金額の方がその利益よりも大きくなってしまい、結果的に損をしてしまう状態のことを指します。
- 具体例: あなたが、ある会社の株を1株500円で購入したとします。 その後、株価が上がり、その株を510円で売却できたとしましょう。 この場合、1株あたりの利益は、売却価格510円 – 購入価格500円 = 10円です。 しかし、この取引で、株を買うときの手数料(買付手数料)と売るときの手数料(売却手数料)の合計が、例えば52円かかったとします。 すると、利益10円から手数料52円を差し引くので、10円 – 52円 = マイナス42円となってしまいます。 株価は上がって利益が出たはずなのに、手元にはマイナスのお金しか残らない。これが「手数料負け」の典型的な例です。
- ミニ株で起こりやすい理由: 手数料負けは、特にミニ株の取引で起こりやすいと言われています。 なぜなら、ミニ株は1回の取引あたりの金額が小さいため、得られる利益の額も相対的に小さくなる傾向があるからです。 そのため、手数料の負担が利益を上回ってしまうリスクが高まるのです。 特に、上記で説明した最低手数料がある場合や、株価のわずかな変動で利益を確定しようと頻繁に売買を繰り返すと、その都度手数料がかさみ、手数料負けに陥りやすくなります。
手数料負けを過度に恐れる必要はない
ここまで聞くと、「ミニ株ってやっぱり損しやすいのかな…」と不安に思うかもしれません。
しかし、手数料負けは避けたいものですが、その仕組みをきちんと理解し、適切な対策を講じれば、リスクは十分に管理できます。
例えば、手数料が安い証券会社を選ぶこと、NISA口座を活用して手数料や税金の負担を軽減すること、短期的な売買を繰り返さず長期的な視点で投資を心がけることなどが有効な対策となります。
これらの具体的なコツについては、後のセクション4で詳しく解説します。
また、ここ最近では、SBI証券や楽天証券のように、ミニ株の売買手数料が無料であったり、スプレッド(実質的な手数料)のみで取引できたりする証券会社も登場しています。
これにより、以前に比べて手数料負けのリスクは格段に低減してきていると言えるでしょう。
手数料負けは確かに残念な結果ですが、それは「株の目利きが悪かった」というよりは、「取引のやり方、コストのかけ方で工夫の余地があった」と考えることができます。
銘柄選択の失敗というよりは、取引コストの管理や取引戦略の未熟さが原因であることが多いのです。
正しい知識を身につけ、賢い取引方法を選べば、手数料負けはしっかり防げるものです。
この点を明確にすることで、手数料負けを過度にネガティブに捉えず、改善可能な課題として認識することができます。



2. ミニ株の手数料体系は2種類だけ
ミニ株の取引でかかるお金の仕組み、「手数料体系」には、実は大きく分けて2つのタイプしかありません。それぞれの特徴を理解して、自分に合った証券会社選びの参考にしましょう。図解も交えて分かりやすく比較します。
2.1 売買手数料型(固定パーセンテージ方式)
まず一つ目の手数料タイプは「売買手数料型」です。
これは、取引した金額に対して「何パーセント」という形で手数料が決まる、比較的イメージしやすい方式です。
詳しく見ていきましょう。
仕組み
この方式では、あなたが株を買ったり売ったりして取引が成立した金額、つまり「約定代金(やくじょうだいきん)」に対して、証券会社があらかじめ決めている料率(りょうりつ)、つまりパーセンテージを掛けて手数料が計算されます。
例えば、約定代金が1万円で、証券会社が定める手数料率が0.5%だった場合、手数料は1万円 × 0.5% = 50円となります。
非常にシンプルな計算方法ですね。
しかし、多くの証券会社では、この売買手数料型のミニ株取引に「最低手数料」というものを設定しています。
これは、「取引金額がどんなに小さくても、手数料は最低でもこの金額はいただきます」というルールです。
例えば、手数料率が0.5%で、最低手数料が52円と設定されている場合を考えてみましょう。
もし、あなたが5,000円分の株を取引したとします。
計算上の手数料は、5,000円 × 0.5% = 25円です。
しかし、最低手数料が52円と定められているため、実際にあなたが支払う手数料は25円ではなく、52円になります。
一方で、もしあなたが20,000円分の株を取引した場合はどうでしょうか。
計算上の手数料は、20,000円 × 0.5% = 100円です。
この100円は最低手数料の52円を上回っていますので、この場合は実際に支払う手数料は100円となります。
このように、最低手数料は、特に取引金額が小さい場合に、実際の手数料額に影響を与える重要な要素となります。
特徴
この売買手数料型には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
- メリット
- 手数料の計算方法が「約定代金 × 料率」と比較的わかりやすいため、初心者の方でもコストを把握しやすいでしょう。
- 取引する金額が大きくなってきた場合には、次に説明するスプレッド型の手数料体系と比較して、トータルのコストが割安になることがあります。
- デメリット
- 少額の取引では、最低手数料の影響で、実質的な手数料率が非常に高くなってしまうことがあります。先の例で見たように、5,000円の取引で52円の手数料がかかると、実質的な手数料率は1%を超えてしまいます。
- 株を買うとき、そして売るとき、それぞれの取引のたびに手数料が発生するため、頻繁に売買を繰り返すと、その都度手数料が積み重なり、トータルのコストがかさんでしまう可能性があります。
採用している主な証券会社の例(ミニ株サービス)
この売買手数料型(固定パーセンテージ方式、最低手数料あり)を採用している主なネット証券のミニ株サービスには、以下のようなものがあります(2025年5月時点の情報に基づきます)。
- マネックス証券「ワン株」
- 買付手数料: 無料
- 売却手数料: 約定代金の0.55%(税込)、最低手数料52円(税込)
- auカブコム証券「プチ株」
- 買付手数料: 約定代金の0.55%(税込)、最低手数料52円(税込)
- 売却手数料: 約定代金の0.55%(税込)、最低手数料52円(税込)
- 松井証券「単元未満株」
- 買付: 取り扱いなし(売却のみ可能)
- 売却手数料: 約定代金の0.55%(税込)、最低手数料なし
売買手数料型は計算がシンプルですが、特に「最低手数料」には要注意です。
ほんの少しだけ株を買いたい、売りたいという時に、この最低手数料が意外な負担になることがあります。
少額でコツコツ取引したい人にとっては、この最低手数料という「壁」をどう乗り越えるか、あるいは最低手数料のない証券会社や手数料体系を選ぶかがポイントになります。
固定パーセンテージ自体は理解しやすいですが、初心者が最も影響を受けるのはこの「最低手数料」であり、これが実質的なコストを押し上げ、手数料負けの大きな要因となることを理解しておくことが大切です。



2.2 スプレッド型(価格上乗せ・差し引き方式)
もう一つの手数料タイプは「スプレッド型」です。
こちらは一見すると手数料が「無料」に見えることもありますが、実は株の買値と売値の差にコストが含まれている方式です。
その仕組みを解き明かしましょう。
仕組み
スプレッド型の手数料体系では、証券会社が投資家に対して提示する株の買値(Ask:アスク)と売値(Bid:ビッド)の間に、あらかじめわずかな価格差が設定されています。
この価格差のことを「スプレッド」と呼びます。
投資家が株を買うときは、基準となる市場価格よりも少し高い買値(Ask)で購入し、逆に株を売るときは、基準となる市場価格よりも少し安い売値(Bid)で売却することになります。
この買値と売値の差額が、実質的に投資家が負担する取引コストとなり、証券会社にとっては収益の一部となります。
そのため、証券会社のウェブサイトなどで「売買手数料0円!」と大きく表示されていても、このスプレッドが存在する場合には、それが実質的な手数料の役割を果たしていると理解する必要があります。
スプレッドは通常、基準となる価格(例えば、東京証券取引所で取引されている株価など)に対して、「0.XX%」といったようにパーセンテージで示されることが多いです。
例を挙げてみましょう。
ある株の基準価格が1,000円で、証券会社が設定するスプレッドが0.22%だったとします。
この場合、
- 投資家がその株を買うときの価格(買値)は、およそ 1,000円 + (1,000円 × 0.22%) = 1,002.2円 となります(実際には証券会社によって端数の処理方法が異なります)。
- 投資家がその株を売るときの価格(売値)は、およそ 1,000円 – (1,000円 × 0.22%) = 997.8円 となります。
この株を買い、そして売るという一往復の取引を行うと、実質的に 1,002.2円(支払った額) – 997.8円(受け取った額) = 4.4円 が取引コストとしてかかったことになります(1,000円の株価に対するコスト)。
特徴
スプレッド型の手数料体系には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
- メリット
- 「売買手数料」という名目での費用がかからない、または非常に低く見えることが多いため、一見するとコストが抑えられているように感じられます。
- 多くの場合、前述の「最低手数料」というものが設定されていないため、ごく少額の取引(例えば数百円程度)であっても、手数料が法外に高くなってしまうという事態を避けやすいです。
- デメリット
- コストが株の売買価格そのものに織り込まれているため、ぱっと見ただけでは、実際にどれくらいの金額の手数料を支払っているのかを把握しにくいことがあります。
- 取引する金額が大きくなると、固定パーセンテージ方式の売買手数料型と比較して、トータルのコストが割高になってしまうことがあります。
- 市場の状況が急変した場合(例えば、重要な経済指標の発表時や市場が不安定なときなど)には、このスプレッドが通常よりも拡大する(買値と売値の差が大きくなる)場合があり、予期せぬコスト増につながる可能性もあります。
採用している主な証券会社の例(ミニ株サービス)
このスプレッド型の手数料体系を採用している、あるいは過去に採用していた主なネット証券のミニ株サービスには、以下のようなものがあります(2025年5月時点の情報に基づきます)。
- 楽天証券「かぶミニ」
- リアルタイム取引の場合: 東証参考価格に対して0.22%のスプレッドがかかります。売買手数料という名目では無料です。
- 寄付取引の場合: スプレッドはかかりません。売買手数料も無料です。
- SBI証券「S株」
- 現在のSBI証券「S株」は、2023年9月30日の「ゼロ革命」以降、売買手数料0円かつスプレッドも徴収していません。これは非常に有利な条件であり、スプレッド型の一般的な特徴とは異なります。
- 注釈: 過去の資料や一般的なミニ株の説明では、SBI証券のS株もスプレッド方式の一種として説明されることがありましたが、最新の情報ではスプレッドはかからないとされていますので、ご注意ください。
- PayPay証券
- 売買手数料は無料ですが、スプレッドがかかります。
- 立会時間内取引(日中)のスプレッド: 買付時0.5%、売却時0.5%
- 立会時間外取引のスプレッド: 買付時1.0%、売却時1.0%
- LINE証券「いちかぶ」
- 売買手数料は無料ですが、スプレッドがかかります。
- スプレッドは取引時間帯により異なり、0.35%から1.0%程度です。
- 注釈: LINE証券は証券事業に関する方針変更の報道があるため、サービスの継続状況や手数料体系の詳細は、必ず最新情報を公式サイトでご確認ください。
スプレッドは価格に織り込まれるため、初心者はコストとして認識しにくいことがあります。
「手数料無料」という言葉だけに注目せず、スプレッドの存在とその率をしっかり確認することが重要です。
これが実質の手数料になるため、証券会社がスプレッド率を明確に開示しているか(透明性)も、信頼できるサービス選びの一つのポイントになります。



2.3 どちらが安い?費用構造を図解で比較
「売買手数料型」と「スプレッド型」、結局どっちがお得なの?って思いますよね。
ここでは、それぞれの費用構造を簡単な図と例で比べてみて、どんな場合にどちらが有利になるのかを考えてみましょう。
基本的な考え方
どちらの手数料体系が安くなるかは、主にあなたの「1回の取引金額」と「取引する証券会社の手数料設定」によって変わってきます。
- 少額取引の場合 (例えば数千円~1万円程度)
- 売買手数料型: もし「最低手数料」が設定されている場合(例:最低52円など)、この最低手数料が適用されてしまい、実際の取引金額に対する手数料の割合が非常に高くなることがあります。
- スプレッド型: 多くの場合、最低手数料という概念がないため、取引金額が小さくても、コストは取引金額に比例して決まります。そのため、売買手数料型の最低手数料よりもスプレッドによるコストの方が安くなる傾向があります。
- 高額取引の場合 (例えば数万円~数十万円程度 ※ミニ株の範囲で)
- 売買手数料型: 最低手数料の影響がなくなり、設定されている手数料率(例:0.5%など)がそのまま適用されるようになると、スプレッド型よりもコストが割安になる可能性があります。
- スプレッド型: 取引金額が大きくなるほど、スプレッドによる実質コストも比例して増えていきます。そのため、ある一定の金額を超えると、売買手数料型の方が有利になることがあります。
- SBI証券「S株」の例外的なケース
- ここで特筆すべきは、SBI証券の「S株」です。2023年9月30日以降、S株は売買手数料が0円で、かつスプレッドもかかりません。
- この条件は、他の手数料体系と比較するまでもなく、現状では圧倒的に有利と言えます。ミニ株取引のコストを極限まで抑えたい場合には、非常に強力な選択肢となります。
図解イメージ(簡略版)
手数料の構造をグラフでイメージしてみましょう。
横軸を「取引金額」、縦軸を「手数料額」とします。
- 売買手数料型(最低手数料あり)の線:取引金額が低い範囲では、最低手数料の額で横ばいの線になります(例:52円のライン)。ある程度の取引金額を超えると、そこからは取引金額に比例して手数料が増えていく、右肩上がりの線になります。
- スプレッド型の線:原点(0円)から始まり、取引金額に比例して手数料が増えていく、なだらかな右肩上がりの線になります。
- SBI証券「S株」の線:取引金額にかかわらず、常に手数料0円の横軸上の線になります。
このグラフを想像すると、売買手数料型(最低手数料あり)の線とスプレッド型の線は、どこかの取引金額のポイントで交差する可能性があります。
交差する点よりも取引金額が小さい場合はスプレッド型が有利、大きい場合は売買手数料型が有利になる、といった具合です(ただし、SBI証券のS株は常に最下部に位置します)。
比較例:1万円の株を売買する場合(仮の数値で説明)
より具体的にイメージするために、1万円の株を1回買い、その後1回売る(往復取引)場合の手数料を、いくつかのパターンで比較してみましょう。
手数料タイプ | 条件 | 買付時のコスト目安 | 売却時のコスト目安 | 往復合計コスト目安 | 備考 |
売買手数料型A | 手数料率0.5%、最低手数料50円 | 50円 | 50円 | 100円 | 1万円×0.5%=50円。最低手数料が適用される。 |
スプレッド型B | スプレッド0.22% (片道) | 22円相当 | 22円相当 | 44円相当 | 売買手数料名目では0円。スプレッドが実質コスト。往復で0.44%と仮定。 |
SBI証券 S株 | 売買手数料0円、スプレッドなし | 0円 | 0円 | 0円 | 現状、最も低コスト。 |
売買手数料型C | 手数料率0.55%、最低手数料52円 (auカブコム等) | 55円 | 55円 | 110円 | 1万円×0.55%=55円。最低手数料52円以上なので、計算通り55円が適用される。 |
- 補足: 上記の表は、あくまで手数料体系の違いを理解するための単純化した例です。実際の手数料は、各証券会社の最新の規定を必ずご確認ください。特にスプレッドは、買付時と売却時の両方で発生することを考慮に入れる必要があります。楽天証券「かぶミニ」のリアルタイム取引の場合、スプレッドは0.22%(片道)です。
どちらを選ぶべきか?
最終的にどちらの手数料体系を選ぶべきかは、あなたの投資スタイルや状況によって異なります。
- 取引頻度: 1ヶ月に何度も取引する予定なら、1回あたりのコストが少しでも低い方が有利です。
- 1回の取引金額: いつも数千円程度の超少額で取引するなら、最低手数料のないスプレッド型(またはSBI証券のS株)が向いているでしょう。ある程度まとまった金額(数万円以上)で取引するなら、手数料率自体を比較検討する必要があります。
- 利用したいサービス全体: 手数料の安さだけでなく、その証券会社が提供する取引ツールの使いやすさ、情報提供の充実度、NISA口座への対応、ポイントプログラムなども総合的に比較して、自分に合った証券会社を選ぶことが大切です。
「絶対にこっちが安い!」と言い切れるものは少ないのが現実です(現在のSBI証券S株は例外的に非常に有利ですが)。
大切なのは、自分がどんな風にミニ株と付き合っていきたいか(例えば、少額で多くの銘柄に分散投資したいのか、特定の銘柄をじっくり育てたいのかなど)、自分の投資スタイルに合わせて手数料のタイプや証券会社を選ぶことです。
この「自分にとって最適なのはどれか」という視点を持つことが、賢い証券会社選び、そして手数料を抑えたミニ株投資への第一歩となります。



3. 証券会社別・最新ミニ株手数料一覧
ミニ株を始めるなら、どの証券会社がいいの?ここでは、特に人気のネット証券4社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券)のミニ株サービスの手数料と特徴を詳しく解説します。さらに、その他の主要ネット証券の手数料も一覧表で比較。あなたにぴったりの証券会社を見つけましょう。
3.1 SBI証券「S株」の手数料と特徴
ネット証券業界で口座開設数No.1を誇ることも多いSBI証券。
そのSBI証券が提供するミニ株(単元未満株)サービスが「S株(エスかぶ)」です。
ここでは、S株の手数料体系と、投資家にとってどのような特徴があるのか、最新の情報を基に詳しく見ていきましょう。
特に手数料に関しては、驚きの内容が含まれているかもしれません。
S株の基本情報
まずは、S株の基本的なスペックを押さえておきましょう。
- 対象銘柄: 東京証券取引所に上場している銘柄を中心に、約3,500銘柄以上と非常に豊富です。多くの有名企業の株を1株から取引できます。
- 取引単位: 1株から売買可能です。
- 注文方法: 成行(なりゆき)注文のみとなっています。つまり、「この値段で買いたい・売りたい」という価格を指定する指値(さしね)注文はできません。
- リアルタイム取引:できません。S株の注文は、証券取引所の取引時間中にリアルタイムで約定するわけではありません。注文を出す時間帯によって、1日に複数回設定されている約定タイミング(例えば、前場の始値や後場の終値など)でまとめて取引が成立する仕組みです。
- 具体的には、例えば平日の前営業日14:00から当日7:00までに出した注文は、当日の午前7:00以降に、その日の前場(ぜんば:午前の取引時間)の始値(はじめね:最初に成立した価格)で約定します。
- 当日7:00から10:30までの注文も同様に前場始値、当日10:30から14:00までの注文はその後場(ごば:午後の取引時間)の終値(おわりね:最後に成立した価格)で約定するといった具合です。
- 市場の区分(プライム市場、スタンダード市場など)によっても約定のタイミングが異なる場合がありますので、詳細はSBI証券の公式サイトで確認が必要です。
- NISA口座: 対応しています(成長投資枠)。NISA口座を利用してS株を取引することも可能です。
(1) 手数料0円+スプレッドなしの強み
SBI証券のS株が持つ最大の強み、それは手数料コストの低さにあります。
- 売買手数料: なんと、S株の取引にかかる売買手数料は、買付時・売却時ともに0円(無料)です。
- これは、SBI証券が2023年9月30日発注分から開始した「ゼロ革命」の一環として実現されたもので、投資家にとっては非常に大きなメリットです。
- ただし、この手数料無料の恩恵を受けるためには、取引報告書などの各種書面を郵送ではなく「電子交付」で受け取る設定にしていることが条件となります。ほとんどの方が電子交付を利用していると思いますが、念のため確認しておくと良いでしょう。
- スプレッド: さらに驚くべきことに、S株にはスプレッドもかかりません。
- 前述の通り、スプレッドは買値と売値の差額であり、実質的な取引コストとなるものです。他の証券会社のミニ株サービスでは、売買手数料が無料でもスプレッドがかかるケースがありますが、S株ではそのスプレッドもないのです。
- 圧倒的なコストメリット
- 売買手数料が0円で、かつスプレッドもなし、というのは、ミニ株取引においては現在(2025年5月時点の情報に基づく)、他の追随を許さないほどコストが低い水準と言えるでしょう。
- 特に、少額でコツコツと取引を積み重ねたい初心者の方や、手数料コストを徹底的に抑えたいと考えている投資家にとって、S株は非常に魅力的な選択肢となります。
- 注意点
- この圧倒的なコストメリットの裏返しとして、いくつかの制約があることも理解しておく必要があります。
- まず、リアルタイム取引ができないため、株価が市場で大きく変動しているような場面では、自分が注文を出した時点の株価と、実際に約定する価格が大きく異なってしまうリスクがあります。
- また、指値注文ができないため、「この株価になったら買いたい(売りたい)」といった価格を指定した売買戦略をとることができません。常にその時の市場価格(始値や終値)で取引が成立することになります。
- したがって、S株でのミニ株 売却方法としては、成行注文で、SBI証券が定める約定タイミング(前場始値や後場終値など)で売却する、という形になります。
SBI証券のS株は、なんといっても手数料とスプレッドが両方とも無料であるという点が、他の証券会社と比較して際立った特徴です。
コストを気にせずにミニ株を始めたい、あるいは頻繁に少額取引をしたいというニーズには最適な選択肢の一つと言えるでしょう。
ただし、その一方で、取引のタイミングを自分で細かくコントロールしたり、特定の価格で売買したりすることはできないという制約があります。
この「コストの低さ」と「取引の柔軟性の制限」というトレードオフを理解した上で、自分の投資スタイルに合っているかどうかを判断することが重要です。



3.2 楽天証券「かぶミニ」の手数料と特徴
楽天ポイントを貯めたり使ったりできることでお馴染みの楽天グループ。
その楽天証券が提供するミニ株(単元未満株)サービスが「かぶミニ®(かぶみに)」です。
ここでは、かぶミニの手数料体系や、他の証券会社にはないユニークな特徴、そしてどんな投資スタイルの方に向いているのかを詳しく見ていきましょう。
かぶミニの基本情報
まずは、かぶミニの基本的なスペックから確認します。
- 対象銘柄: 楽天証券が選定する銘柄が対象となります。東京証券取引所に上場している銘柄の一部で、全ての銘柄が取引できるわけではありませんが、主要な人気銘柄はカバーされていることが多いです。
- 取引単位: 1株から売買可能です。
- 注文方法: なんと、ミニ株でありながら成行(なりゆき)注文だけでなく、指値(さしね)注文も可能です(リアルタイム取引の場合)。これは大きな特徴の一つです。ただし、寄付(よりつき)取引の場合は成行注文のみとなります。
- リアルタイム取引: 可能です。これも、かぶミニの特筆すべき点です。東京証券取引所が開いている時間帯(前場9:00~11:30、後場12:30~15:25 ※かぶミニのリアルタイム取引終了時間)であれば、株価の動きを見ながら、自分の好きなタイミングで売買注文を出すことができます。
- 寄付取引: リアルタイム取引の他に、前場寄付での取引も選択できます。これは、前営業日の17:00から当日の朝8:45までに出した注文が、当日の前場(午前9時)の始値で約定する仕組みです。
- NISA口座: 対応しています(成長投資枠)。NISA口座を使って、かぶミニで非課税のメリットを享受しながら取引できます。
- 楽天ポイント投資: 楽天ポイントを使って、かぶミニで株を購入することができます。普段のお買い物などで貯まったポイントを有効活用できるのは嬉しいですね。
(1) 売買0円+リアルタイム取引0.22%スプレッド
楽天証券のかぶミニの手数料体系は、取引方法によって少し異なります。
- 売買手数料: かぶミニの売買手数料は、買付時・売却時ともに0円(無料)です。これは非常に分かりやすく、初心者にも優しい設定と言えるでしょう。
- スプレッド: ここがポイントです。
- リアルタイム取引の場合: 株価の動きを見ながら自分のタイミングで売買できるリアルタイム取引を選択した場合、東京証券取引所の参考価格に対して0.22%のスプレッドがかかります。これが実質的な取引コストとなります。売買手数料は無料ですが、このスプレッド分が価格に上乗せ(買付時)または差し引かれる(売却時)形でコストが発生します。
- 寄付取引の場合: 前場の寄付で取引する方法を選択した場合には、なんとスプレッドはかかりません。売買手数料も無料なので、寄付取引であればコストを0円に抑えることが可能です。
- 特徴的なポイント
- ネット証券で唯一、ミニ株でリアルタイム取引と指値注文が可能(2024年12月時点、主要ネット証券比較)。これは、かぶミニの最大の強みと言っても過言ではありません。単元株の取引に近い感覚で、より柔軟な売買戦略をミニ株でも実行したいアクティブなトレーダーにとっては、非常に魅力的なサービスです。
- 株価の動きを常にチェックし、「ここだ!」というタイミングで売買したい方や、特定の価格での約定を狙いたい方には、リアルタイム取引と指値注文の組み合わせが有効です。
- 一方で、取引コストをできるだけ抑えたい、あるいは日中に株価を頻繁に見ることができないという方は、スプレッドのかからない寄付取引を選ぶという選択肢もあります。
- このように、投資家のスタイルや状況に合わせて取引方法を選べる柔軟性が、かぶミニの大きな特徴です。ミニ株 売却方法を考える際にも、リアルタイムで指値を使って計画的に売ることも、成行で素早く売ることも、あるいはコストを抑えて寄付で売ることもできるため、戦略の幅が広がります。
- キャンペーン
- 楽天証券では、NISA口座での取引を促進するキャンペーン(例:NISA口座なら売却手数料も無料、など。かぶミニは元々売買手数料無料ですが、キャンペーンで改めて訴求されることがあります)や、特定の期間・特定の銘柄に限り、リアルタイム取引のスプレッドが実質無料(キャッシュバックなど)になるタイムセールのようなキャンペーンが実施されることもあります。これらのキャンペーン情報をチェックしておくと、さらにお得に取引できるチャンスがあるかもしれません。
楽天証券のかぶミニは、「取引の自由度」を重視する投資家にとって、非常に使い勝手の良いサービスです。
ミニ株でありながらリアルタイムで市場の動きに対応でき、かつ指値注文も使えるという点は、他の証券会社のミニ株サービスにはない大きなアドバンテージです。
さらに、コストを優先したい場合にはスプレッドのかからない寄付取引も選べるという「選択制」も魅力と言えるでしょう。
この「取引の自由度」と「コストの選択制」のバランスが、楽天証券かぶミニの大きな特徴です。



3.3 マネックス証券「ワン株」の手数料と特徴
創業から20年以上の歴史を持つ老舗ネット証券の一つ、マネックス証券。
そのマネックス証券が提供するミニ株(単元未満株)サービスが「ワン株」です。
ここでは、ワン株の手数料体系、NISA口座を利用した際のメリット、そして他の証券会社にはないユニークな付帯サービスについて掘り下げてみましょう。
ワン株の基本情報
まずは、ワン株の基本的なスペックから見ていきましょう。
- 対象銘柄: 東京証券取引所や名古屋証券取引所に上場している銘柄など、幅広い銘柄が対象です。
- 取引単位: 1株から売買可能です。
- 注文方法: 成行(なりゆき)注文のみとなっています。価格を指定する指値注文はできません。
- リアルタイム取引:できません。ワン株の注文は、リアルタイムで約定するのではなく、注文を出す時間帯によって約定タイミングが決まっています。
- 具体的には、平日の当日午前11時30分までに出した注文は、原則としてその日の後場(ごば:午後の取引時間)の始値(はじめね)で約定します。
- 午前11時30分以降に出した注文や、土日祝日などの非営業日に出した注文は、翌営業日の後場の始値で約定することになります。
- NISA口座: 対応しています(成長投資枠)。NISA口座を利用してワン株を取引する場合、売買手数料が実質無料になるという大きなメリットがあります。
(1) 売買0円・付帯サービスの活用ポイント
マネックス証券のワン株の手数料は、利用する口座(特定口座・一般口座か、NISA口座か)や売買の別によって異なります。
- 売買手数料(特定口座・一般口座の場合)
- 買付手数料: なんと0円(無料)です。これは、少額からコツコツと株を買い増していきたい投資家にとっては非常に嬉しいポイントです。
- 売却手数料: 株を売却する際には、約定代金に対して0.55%(税込)の手数料がかかります。また、この売却手数料には最低手数料として52円(税込)が設定されています。
- つまり、売却時の約定代金が9,454円以下の場合(52円 ÷ 0.0055 ≒ 9454.54円)、手数料率は実質的に0.55%よりも高くなり、最低手数料の52円が適用されます。
- ワン株でのミニ株 売却方法としては、成行注文で、上記で説明した約定タイミング(後場始値)で売却し、その際にこの売却手数料がかかる、という流れになります。
- NISA口座での手数料
- NISA口座(成長投資枠)を利用してワン株を取引する場合、手数料はさらに魅力的になります。
- 買付手数料: 通常の口座と同様に0円(無料)です。
- 売却手数料: なんと実質無料になります。仕組みとしては、一度売却手数料が徴収されますが、その手数料相当額が翌月に証券総合取引口座へキャッシュバック(返金)される形です。
- 付帯サービス・活用ポイント
- 貸株サービス: マネックス証券のワン株は、保有している単元未満株でも貸株(かしかぶ)サービスを利用することができます。貸株サービスとは、保有している株を証券会社に貸し出すことで、その対価として貸株金利を受け取れるサービスです。主要なネット証券の中で、単元未満株でも貸株サービスを利用できるのは珍しく、ワン株の大きな特徴の一つです。長期で株を保有する予定なら、貸株金利でコツコツと収益を得るチャンスがあります。
- 信用取引の代用有価証券: ワン株(単元未満株)は、信用取引を行う際の担保(代用有価証券)として利用することも可能です。ただし、NISA口座で保有している株は代用有価証券の対象外となる点に注意が必要です。
- ferci(フェルシー): マネックス証券が提供する、投資SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と投資機能が一体化したスマートフォンアプリ「ferci(フェルシー)」からも、ワン株の取引が可能です。他の投資家の意見を参考にしながら取引したい方には便利なツールかもしれません。
- 買付手数料が無料であるため、毎月少しずつ異なる銘柄を買い足していく、あるいは同じ銘柄をドルコスト平均法のように定期的に買い付けていくといった、積立投資のようなスタイルにも向いています。
マネックス証券のワン株は、特に買付時の手数料が無料であること、そしてNISA口座を利用すれば売却時も実質無料になる点が大きな魅力です。
これにより、特に積立的な購入や、長期保有を前提とした投資戦略においてコストを抑えることができます。
さらに、単元未満株でも貸株サービスが利用できるというユニークな点は、保有しているだけで収益機会が得られる可能性があり、他社との差別化ポイントとなっています。
これらの特徴から、マネックス証券のワン株は「買付コストを低く抑えたい」「NISA口座で非課税メリットを最大限に活かしたい」「保有中の株からも収益を得たい」と考える投資家にとって、有力な選択肢の一つとなるでしょう。



3.4 auカブコム証券「プチ株」の手数料と特徴
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の一員であるauカブコム証券(旧:カブドットコム証券)。
auカブコム証券が提供するミニ株(単元未満株)サービスが「プチ株®」です。
ここでは、プチ株の手数料体系と、積立サービスなどの特徴、そして手数料を抑えるためのコツについて詳しく見ていきましょう。
プチ株の基本情報
まずは、プチ株の基本的なスペックから確認します。
- 対象銘柄: 東京証券取引所や名古屋証券取引所など、国内の金融商品取引所に上場している幅広い銘柄が対象となります。
- 取引単位: 1株から売買可能です。
- 注文方法: 成行(なりゆき)注文のみとなっています。価格を指定する指値注文はできません。
- リアルタイム取引:できません。プチ株の注文も、リアルタイムで約定するのではなく、注文を出す時間帯によって約定タイミングが決められています。
- 具体的には、例えば平日の00:01から10:00までに出した注文は、その日の後場(ごば:午後の取引時間)の始値(はじめね)で約定します。
- 10:01から23:00までの注文は、翌営業日の前場(ぜんば:午前の取引時間)の始値で約定します。
- 23:01から24:00までの注文は、翌営業日の後場の始値で約定するといった流れです。
- NISA口座: 対応しています(成長投資枠)。NISA口座を利用してプチ株を取引する場合、売買手数料が無料になるという大きなメリットがあります。
- Pontaポイント投資: auユーザーにはお馴染みのPontaポイントを使って、プチ株を購入することができます。ポイントを有効活用できるのは嬉しいですね。
(1) 約定代金×0.55%を抑えるコツ
auカブコム証券のプチ株の手数料は、利用する口座やサービスによって異なります。
- 売買手数料(特定口座・一般口座の場合)
- 買付手数料: 株を買う際には、約定代金に対して0.55%(税込)の手数料がかかります。また、この買付手数料には最低手数料として52円(税込)が設定されています。
- 売却手数料: 株を売る際にも、同様に約定代金に対して0.55%(税込)の手数料がかかります。こちらにも最低手数料として52円(税込)が設定されています。
- つまり、買付時も売却時も、約定代金が9,454円以下の場合(52円 ÷ 0.0055 ≒ 9454.54円)は、最低手数料の52円が適用されることになります。
- ただし、例外として、売却時の約定代金が110円以下となる場合には、手数料は0円(無料)で計算されます。これは非常に少額の売却の場合の救済措置のようなものと考えられます。
- プチ株でのミニ株 売却方法としては、成行注文で、上記で説明した約定タイミングで売却し、その際にこの売却手数料がかかる、という流れになります。
- NISA口座での手数料
- NISA口座(成長投資枠)を利用してプチ株を取引する場合、手数料は大変お得になります。
- 買付手数料・売却手数料ともに0円(無料)です。
- 以前は、NISA口座での取引手数料がキャッシュバックされるキャンペーンなどが実施されていましたが、現在では恒久的に無料化されています。
- 手数料を抑えるコツ
- NISA口座を最大限活用する: プチ株の取引手数料を抑える最大のコツは、何と言ってもNISA口座を積極的に活用することです。NISA口座を使えば売買手数料が無料になるため、これを利用しない手はありません。
- プレミアム積立®(プチ株®)を利用する: auカブコム証券には、「プレミアム積立®(プチ株®)」という便利なサービスがあります。これは、毎月500円以上1円単位で金額を指定して、プチ株を自動的に積立購入できるサービスです。そして、このプレミアム積立を利用した場合の買付手数料は無料になります。毎月コツコツと積立投資をしたいと考えている方にとっては、手数料を気にせず始められる非常に有効な手段です。
- 取引回数を抑える(特定口座・一般口座の場合): もしNISA口座の枠を使い切ってしまったり、NISA口座以外で取引したりする場合には、最低手数料の存在を意識することが重要です。少額の取引を何度も繰り返すと、その都度最低手数料がかかってしまい、トータルの手数料がかさんでしまいます。そのため、ある程度まとまった金額で取引する方が、手数料率の観点からは有利になります。
- Pontaポイントを活用する: Pontaポイントを使ってプチ株を購入できるため、普段の生活で貯まったポイントを投資に回すことで、実質的な現金負担を減らすことができます。これも間接的にコストを抑える工夫と言えるでしょう。
auカブコム証券のプチ株は、通常の特定口座や一般口座で売買すると0.55%(最低52円)の手数料がかかります。
これは、SBI証券のS株(完全無料)や楽天証券のかぶミニ(リアルタイム取引でスプレッド0.22%、寄付取引なら無料)と比較すると、やや手数料が高めに感じられるかもしれません。
しかし、その一方で、NISA口座を利用すれば売買手数料が完全に無料になる点、そして「プレミアム積立®(プチ株®)」というサービスを利用すれば買付手数料が無料になる点は、大きな魅力です。
したがって、auカブコム証券でプチ株を始めるのであれば、NISA口座の積極的な活用や、プレミアム積立によるコツコツ投資を前提に考えるのが、最も賢い手数料節約の方法と言えるでしょう。
これらのサービスをうまく組み合わせることで、手数料負担を大幅に軽減しながらミニ株投資を行うことが可能です。



3.5 その他主要ネット証券の手数料早見表
ここまで、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券という代表的な4つのネット証券のミニ株(単元未満株)サービスについて詳しく見てきました。
しかし、ミニ株を取り扱っているネット証券はこれらだけではありません。
ここでは、松井証券やGMOクリック証券、PayPay証券、LINE証券など、その他の主要なネット証券のミニ株サービスに関する手数料などを一覧表形式でご紹介します。
ただし、情報は常に変動する可能性があるため、実際に取引を始める前には、必ず各証券会社の公式サイトで最新の情報を確認するようにしてください。
比較する際の主なポイント(表の項目イメージ)
- 証券会社名: どの証券会社か。
- サービス名: ミニ株サービスの固有名称があれば記載(例:「S株」「かぶミニ」など)。
- 買付手数料: 株を買うときの手数料。
- 売却手数料: 株を売るときの手数料。
- 最低手数料: 設定されていればその金額。
- スプレッドの有無・料率: スプレッドがかかる場合は、その有無と具体的な料率。
- リアルタイム取引の可否: 株価を見ながらリアルタイムで取引できるか。
- 指値注文の可否: 価格を指定して注文できるか。
- NISA対応: NISA口座(成長投資枠)で取引できるか、またその際の手数料優遇など。
- 備考: その他、特徴的なサービスや注意点など。
その他主要ネット証券のミニ株(単元未満株)サービス概要(2025年5月現在の情報に基づく参考例)
証券会社名 | サービス名 | 買付手数料 | 売却手数料 | 最低手数料 | スプレッド有無・料率 | リアルタイム取引 | 指値注文 | NISA対応(手数料) | 備考 |
松井証券 | 単元未満株 | 不可(売却のみ) | 約定代金×0.55%(税込) | なし | なし | 不可 | 不可 | 売却手数料無料 | 単元未満株の買付はできません。 |
GMOクリック証券 | 単元未満株売却/買取 | 不可(売却・買取請求のみ) | 約定代金×2.2%(税込) | なし | なし | 不可 | 不可 | NISAでの取扱不明(要確認) | 売却手数料が他社比較で高め。買取請求は別途1,100円/銘柄。新規のミニ株投資には不向きの可能性。 |
PayPay証券 | (特になし) | 無料 | 無料 | なし | あり(立会内:買0.5%,売0.5%/立会外:買1.0%,売1.0%) | 可能 | 不可 | 対応 | 1,000円から有名企業の株を購入可能。スプレッドが実質コスト。 |
LINE証券 | いちかぶ | 無料 | 無料 | なし | あり(時間帯により0.35%~1.0%) | 可能 | 可能 | 対応 | リアルタイム・指値可。※証券事業の方針変更の可能性あり、必ず最新情報を確認。 |
- ご注意: 上記の表は、あくまで2025年5月現在の一般的な情報や過去の傾向を基にした参考例です。手数料やサービス内容は頻繁に変更される可能性があります。実際に口座開設や取引を検討される際には、必ず各証券会社の公式サイトで最新かつ正確な情報を直接ご確認ください。
主要4社以外にもミニ株取引の選択肢は存在しますが、各社でサービス内容や手数料体系には大きな違いが見られます。
例えば、松井証券のように単元未満株の買付ができない(売却のみ可能)というケースや、GMOクリック証券のように売却手数料が相対的に非常に高く設定されており、既存株主の整理が主な目的と思われるサービスもあります。
一方で、PayPay証券やLINE証券(サービスの提供状況による)のように、スプレッド方式を採用しつつリアルタイム取引が可能な証券会社も存在します。
これらの情報を比較する際には、単に手数料の数字だけでなく、その証券会社がミニ株取引にどれだけ力を入れているのか、初心者向けのサポートは充実しているか、といった点も見極めることが大切です。
「手数料が安いから」という理由だけで飛びつくのではなく、ご自身の投資スタイルやニーズに本当に合致しているか、そしてその情報が最新のものであるかをしっかりと確認してから、口座開設を進めるようにしましょう。



4. 手数料を最小化する5つのコツ
ミニ株投資で気になるのが、やっぱり手数料。でも大丈夫!ちょっとした工夫で、手数料負担をグッと減らすことができるんです。ここでは、初心者さんでもすぐに実践できる、手数料を最小化するための5つの具体的なコツを伝授します。
4.1 NISA口座を活用して実質コストをゼロに
「NISAって聞いたことあるけど、よく分からない…」そんなあなたも大丈夫。
NISA口座は、ミニ株の手数料をお得にするための強力な味方なんです。
その仕組みと活用法を分かりやすく解説します。
NISA(少額投資非課税制度)とは?
NISA(ニーサ)とは、日本に住む成人の方が利用できる、個人投資家のための税制優遇制度です。
この制度の最大のポイントは、毎年一定金額の範囲内で購入した株式や投資信託などの金融商品から得られる利益、具体的には株価が値上がりしたことによる利益(値上がり益)や、企業から支払われる配当金・分配金などが、非課税になるという点です。
通常、これらの利益には約20%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかりますが、NISA口座で得た利益にはこの税金がかかりません。
2024年からは新しいNISA制度がスタートし、より使いやすく、非課税で投資できる金額も大幅に拡大されました。
新しいNISAには、主に以下の2つの投資枠があります。
- つみたて投資枠: 年間120万円まで。主に長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象です。
- 成長投資枠: 年間240万円まで。上場株式(ミニ株を含む)や投資信託など、幅広い商品に投資できます。
ミニ株(単元未満株)の取引は、この「成長投資枠」を利用して行うのが一般的です。
NISA口座でミニ株取引をするメリット
NISA口座を使ってミニ株を取引することには、主に2つの大きなメリットがあります。
- 売買手数料が無料になる証券会社が多い:多くの証券会社では、NISA口座でのミニ株取引に関して、売買手数料を無料または実質無料にしています。
- SBI証券「S株」: NISA口座でも、通常の口座(特定口座・一般口座)と同様に、買付手数料・売却手数料ともに0円(無料)です。
- 楽天証券「かぶミニ」: NISA口座での買付手数料・売却手数料は0円(無料)です。ただし、リアルタイム取引を選択した場合には、通常通り0.22%のスプレッドがかかります。
- マネックス証券「ワン株」: NISA口座での買付手数料は0円(無料)、売却手数料も一旦徴収されますが翌月に全額キャッシュバックされるため、実質無料となります。
- auカブコム証券「プチ株」: NISA口座での買付手数料・売却手数料ともに0円(無料)です。
- 松井証券: NISA口座で単元未満株を売却する場合の手数料は無料です(買付は不可)。 このように、NISA口座を利用することで、ミニ株の取引コストである手数料を大幅に削減できるのです。
- 利益が非課税になる:これがNISA制度の最も大きな魅力です。NISA口座(成長投資枠)でミニ株を売買して得た値上がり益や、保有しているミニ株から受け取った配当金(証券会社の口座で配当金を受け取る「株式数比例配分方式」を選択している場合)には、一切税金がかかりません。通常であれば約20%の税金が引かれてしまうところ、それがまるまる手元に残るわけですから、実質的なリターンが大きく向上します。手数料の削減だけでなく、この税金面でのコスト削減効果も非常に大きいのです。
NISA口座活用のポイント
NISA口座を上手に活用するためには、以下の点を押さえておきましょう。
- まずはNISA口座を開設する: NISA口座は、1人につき1つの金融機関でしか開設できません(金融機関の変更は年単位で可能です)。まだ持っていない方は、ミニ株を取引したい証券会社でNISA口座の開設手続きを行いましょう。
- ミニ株取引時はNISA口座を利用: ミニ株を購入する際には、NISA口座の「成長投資枠」が利用できるかを確認し、積極的に活用しましょう。
- 非課税保有限度額を意識する: 新しいNISAでは、生涯で投資できる元本の総額に上限(非課税保有限度額)が設けられています。総枠で1,800万円、そのうち成長投資枠で利用できるのは1,200万円までです。この枠を上手に使いながら、計画的に投資していくことが大切です。
NISA口座は、ミニ株の手数料を無料にしてくれるだけでなく、もっと本質的なメリットとして、株で儲かった利益やもらった配当金に税金がかからなくなるという点があります。
手数料もお得になり、さらに税金もかからないというのは、まさに「ダブルの恩恵」です。
この制度を最大限に活用することが、ミニ株投資で賢く資産を増やしていくための重要な鍵となります。



4.2 取引金額別キャンペーン・ポイント還元を狙う
証券会社は、顧客獲得や取引促進のために、時々お得なキャンペーンを実施したり、取引に応じてポイントがもらえるサービスを提供したりしています。
これらを上手に活用すれば、実質的な手数料負担をさらに軽減できる可能性があります。
アンテナを張って、お得な情報を見逃さないようにしましょう。
キャンペーンの種類
証券会社が実施するキャンペーンには、様々な種類があります。
- 手数料キャッシュバックキャンペーン:特定の期間中に、NISA口座での取引や、特定の取引ツール(スマホアプリなど)を利用した取引など、一定の条件を満たすことで、支払った手数料の一部または全額が後日戻ってくる(キャッシュバックされる)というものです。例えば、auカブコム証券では過去に、NISA口座でのプチ株取引手数料を全額キャッシュバックするキャンペーンを実施していたことがあります。
- 新規口座開設キャンペーン:証券会社の口座を新たに開設するだけで、現金や特定のポイント(楽天ポイント、Pontaポイントなど)がプレゼントされるキャンペーンです。これからミニ株を始めようと口座開設を検討している方にとっては、最初の資金の足しになったり、お得にスタートできたりするチャンスです。楽天証券などでは、口座開設と条件達成で数千円相当のポイントがもらえるキャンペーンが頻繁に行われています。
- 取引応援キャンペーン:特定の金融商品(例えば、特定のテーマの株や投資信託など)を取引すると、通常よりも多くのポイントがもらえたり、抽選でプレゼントが当たったりするキャンペーンです。楽天証券では、NISAの成長投資枠で対象商品を取引すると、総額で数百万ポイントを山分けする、といったキャンペーンが行われることもあります。
- 期間限定スプレッド縮小・無料キャンペーン:スプレッド型の手数料体系を採用している証券会社(例えば楽天証券の「かぶミニ」など)では、特定の期間や特定の銘柄に限り、通常よりもスプレッドが狭くなったり、実質無料(スプレッド分をキャッシュバックなど)になったりするタイムセールのようなキャンペーンが実施されることがあります。リアルタイム取引をよく利用する方にとっては、実質的なコストを抑える絶好の機会となります。
ポイントプログラムの活用
多くのネット証券では、株式取引の金額に応じて、その証券会社独自のポイントや、提携している共通ポイント(楽天ポイント、Pontaポイント、Vポイント、dポイントなど)が貯まるポイントプログラムを用意しています。
- 貯まったポイントは、再び株式投資の資金として使えたり(いわゆる「ポイント投資」)、他のサービスや商品と交換できたりします。
- 例えば、楽天証券なら楽天ポイント、auカブコム証券ならPontaポイント、SBI証券ならVポイント、Pontaポイント、dポイントなど複数のポイントサービスから貯めるポイントを選択できる場合があります。
- ポイントの還元率や、ポイントが付与される対象となる取引(現物株、投資信託、ミニ株など)は、証券会社や時期によって異なりますので、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
- 中には、1円未満の配当金が出た場合に、その端数分をポイントで還元してくれるような細やかなサービスを提供している証券会社もあります。
活用のコツ
これらのキャンペーンやポイントプログラムを上手に活用するためのコツは以下の通りです。
- 定期的に証券会社のウェブサイトをチェックする: お得なキャンペーン情報は、通常、証券会社の公式サイトやメールマガジンなどで告知されます。見逃さないように、定期的にチェックする習慣をつけましょう。
- エントリーが必要な場合は忘れずに行う: キャンペーンによっては、参加するために事前にウェブサイトなどから「エントリー」の手続きが必要な場合があります。エントリーを忘れると、条件を満たしていても特典が受けられないことがあるので注意が必要です。
- ポイントプログラムの条件をよく確認する: 自分が普段よく使うポイントサービスが対象になっているか、ポイントの有効期限や使い道なども確認しておくと、より効率的にポイントを活用できます。
- 無理な取引はしない: 最も重要なのは、キャンペーンの特典やポイント獲得のためだけに、必要のない取引を繰り返したり、自分の投資計画に合わない無理な投資をしたりしないことです。あくまで、自分の投資戦略の範囲内で、お得な機会があれば活用するというスタンスが大切です。
証券会社のキャンペーンやポイントプログラムは、単なる「おまけ」と考えるのではなく、実質的な取引コストを戦略的に下げるための一つの手段として捉えることができます。
特にミニ株のような少額取引では、わずかなポイント還元やキャッシュバックでも、相対的なコスト削減効果は大きくなることがあります。
情報収集を怠らず、計画的にこれらのサービスを利用することが、手数料を最小化するための賢い一手間となるでしょう。



4.3 リアルタイム取引と寄付取引を使い分ける
楽天証券の「かぶミニ」のように、ミニ株(単元未満株)の取引でも、注文を出すタイミングや約定のさせ方を選べる場合があります。
特に「リアルタイム取引」と「寄付(よりつき)取引」は、それぞれに特徴があり、手数料(スプレッドの有無)や取引の利便性が異なります。
これらの違いを理解し、状況に合わせて賢く使い分けることで、手数料を抑えたり、より満足のいく取引を実現したりすることにつながります。
リアルタイム取引とは?
- 特徴
- リアルタイム取引とは、証券取引所が開いている時間中(日本株の場合、東京証券取引所では通常、平日の午前9時から11時30分までの「前場(ぜんば)」と、午後12時30分から15時30分までの「後場(ごば)」に取引が行われています)に、刻々と変動する株価の動きを見ながら、自分の好きなタイミングで売買注文を出し、約定させることができる取引方法です。
- 楽天証券の「かぶミニ」では、このリアルタイム取引において、値段を指定しない成行注文だけでなく、値段を指定する指値注文も可能です。これはミニ株の取引としては非常に珍しく、大きなメリットと言えます。
- メリット
- 株価が急に上がったり下がったりした際に、素早く対応しやすいです。「この株価なら買いたい!」「この株価で売りたい!」という自分の判断を、比較的タイムリーに取引に反映させることができます。
- ニュースや市場の雰囲気など、その時々の状況に応じて機動的な売買が可能です。
- デメリット(楽天証券「かぶミニ」の場合)
- 楽天証券の「かぶミニ」でリアルタイム取引を選択した場合、売買手数料は無料ですが、実質的な取引コストとして0.22%のスプレッドがかかります。このスプレッドが、買付時には株価に上乗せされ、売却時には株価から差し引かれる形で負担することになります。
寄付(よりつき)取引とは?
- 特徴
- 「寄付(よりつき)」とは、証券取引所の一日の取引が始まる時点(前場寄付は午前9時、後場寄付は午後12時30分)のことを指します。寄付取引とは、この取引開始時に、それまでに出されていた多くの買い注文と売り注文をまとめて一度にマッチングさせ、取引を成立させる方法です。この時に決まる価格を「始値(はじめね)」と言います。
- 楽天証券の「かぶミニ」では、前営業日の夕方17:00から当日の朝8:45までに出された注文が、当日の前場寄付(午前9時の始値)で約定する仕組みになっています。
- 寄付取引の場合、注文方法は成行注文のみとなり、指値注文はできません。
- メリット(楽天証券「かぶミニ」の場合)
- 最大のメリットは、スプレッドがかからないことです。売買手数料も無料なので、寄付取引を選べば、取引コストを完全に0円に抑えることができます。これは非常に大きな魅力です。
- デメリット
- 実際にいくらの株価で取引が成立する(約定する)かは、当日の前場寄付の値段が決まるまで分かりません。注文を出す時点では、取引価格を予測することはできても、確定させることはできません。
- 日中の株価の細かい動きを見て、「今だ!」というタイミングで機動的に売買することはできません。
使い分けのポイント(楽天証券「かぶミニ」の場合)
楽天証券の「かぶミニ」を利用する場合、このリアルタイム取引と寄付取引をどのように使い分けるかが、手数料を抑えつつ満足のいく取引をするための鍵となります。
- コストを最優先したい、または取引時間にあまりこだわりがない場合 → 「寄付取引」がおすすめ
- スプレッドがかからないため、手数料コストを完全に0にすることができます。これは、特に少額で頻繁に取引したい場合に大きなメリットとなります。
- また、日中は仕事などで忙しく、株価をリアルタイムで見ている時間がないという方でも、夜間や早朝にじっくりと考えて注文を出しておき、翌日の前場寄付で約定させるという使い方ができます。
- 取引のタイミングを重視したい、あるいは特定の価格で取引したい場合 → 「リアルタイム取引」がおすすめ
- 0.22%のスプレッドはかかりますが、株価の動きを見ながら、より有利だと思われるタイミングで売買できる可能性があります。
- また、指値注文が使えるため、「この株価以下で買いたい」「この株価以上で売りたい」といった、自分の希望する価格での取引を狙うことができます。
なお、SBI証券の「S株」、マネックス証券の「ワン株」、auカブコム証券の「プチ株」といった他の主要ネット証券のミニ株サービスは、基本的にこの「寄付取引」に近い仕組み(特定の時間に注文をまとめて約定させる方式)を採用しており、楽天証券「かぶミニ」のようなリアルタイム取引はできません。
このように、取引方法の選択は、「コストをどれだけ抑えたいか」と「取引の機会やタイミングをどれだけ重視したいか」という、ある種のトレードオフの関係にあります。
楽天証券のかぶミニが提供するこの選択肢は、投資家が自身の優先順位(コスト削減か、取引機会の追求か)に応じて戦略を変えられるという点でユニークであり、この特性を理解し、市場の状況やご自身の投資判断に応じて柔軟に使い分けることが、より戦略的なミニ株取引に繋がります。



4.4 まとめ買い・まとめ売りで往復コストを削減
ミニ株は、数百円や数千円といった少額から気軽に株式投資を始められるのが大きな魅力です。
しかし、その手軽さから、ついちょこちょこと何度も取引を繰り返してしまうと、気がつかないうちに手数料がかさんでしまうこともあります。
ここでは、賢い売買の仕方、つまり「まとめ買い・まとめ売り」を意識することで、トータルの手数料負担を抑えるコツをお教えします。
なぜまとめ買い・まとめ売りが有効なのか?
- 最低手数料の影響を軽減できるから:これは、特に「売買手数料型(固定パーセンテージ方式)」で、かつ「最低手数料 ○○円」という設定がある証券会社でミニ株を取引する場合に非常に有効な考え方です。例えば、ある証券会社のミニ株の売却手数料が「約定代金の0.55%、ただし最低手数料は52円」だったとします。もしあなたが、1株1,000円の株を1株ずつ5回に分けて売却したとしましょう。1回の売却代金は1,000円なので、計算上の手数料は1,000円 × 0.55% = 5.5円です。しかし、最低手数料が52円なので、1回あたり52円の手数料がかかります。これを5回繰り返すと、合計の手数料は52円 × 5回 = 260円にもなってしまいます。ところが、もしこの5株を一度にまとめて売却した場合はどうでしょうか。売却代金は5,000円となり、手数料は5,000円 × 0.55% = 27.5円です。この場合も最低手数料52円が適用されるため、支払う手数料は52円で済みます(もし売却代金がもっと大きければ、計算通りの手数料になります)。このように、最低手数料がある場合には、取引回数を減らす(まとめる)ことで、トータルの手数料を大幅に節約できる可能性があるのです。
- スプレッド型でも取引回数削減は有効な場合がある:スプレッド型の手数料体系(例えば楽天証券「かぶミニ」のリアルタイム取引など)の場合、コストは基本的に取引金額に比例するため、最低手数料のような「壁」はありません。しかし、それでも取引回数自体を減らすことには一定のメリットがあります。それは、無駄なコストが発生する機会を減らすという意味合いです。特に、株価のわずかな動きに一喜一憂して衝動的に売買を繰り返してしまうと、その都度スプレッド分のコストがかかることになります。計画的にまとめて取引することで、そうした心理的な要因による不必要な売買を防ぎ、結果的にトータルコストを抑えることにつながる場合もあります。
具体的な方法
では、どのようにまとめ買い・まとめ売りを実践すればよいのでしょうか。
- 計画的な投資を心がける
- 例えば、「毎月1回、給料日にこの銘柄を○株買う」といったように、あらかじめ投資のルールを決めておき、それに従ってまとめて購入する(これは積立投資に近い考え方です)。
- あるいは、「この株がこのくらいの株価になったら、持っている分をまとめて売却する」「目標の投資金額に達するまで、数回に分けて計画的に買い増していく」といったように、自分なりの目標を設定し、それに合わせてまとめて売買を行います。
- 「こまめに買い増し」よりも「ある程度たまってから買い増し」を意識する
- 例えば、毎日1株ずつ同じ銘柄を買い続けるのではなく、1週間分や1ヶ月分をまとめて購入するようにします。
- ミニ株 売却方法を考える際も同様です。利益が少し出るたびに細かく何度も売却するのではなく、ある程度の株数が貯まってから、あるいは自分が納得できる目標利益額に達した時点で、まとめて売却することを検討します。
【注意点】
まとめ買い・まとめ売りは有効なコスト削減策ですが、いくつか注意点もあります。
- 絶好の売買タイミングを逃すリスク: まとめ買い・まとめ売りを意識しすぎるあまり、株価が大きく動いた絶好の買い場や売り場を逃してしまうのは本末転倒です。コスト削減も大切ですが、投資の目的は利益を出すことであるという基本を忘れないようにしましょう。
- 時間分散とのバランス: 一度にまとめて大きな金額を投資すると、その時の株価が高値だった場合に損失が大きくなるリスク(高値掴みのリスク)があります。一方で、投資する時期を少しずつずらして複数回に分けて投資する「時間分散」(ドルコスト平均法など)という考え方には、購入価格を平準化し、高値掴みのリスクを軽減する効果があります。まとめ買い・まとめ売りと、この時間分散によるリスク軽減効果とのバランスを考慮することが大切です。
- 手数料無料のサービスでは効果が薄れる: SBI証券の「S株」のように売買手数料が完全に無料(スプレッドもなし)の場合や、楽天証券「かぶミニ」の寄付取引のように手数料もスプレッドもかからない場合には、この「まとめ買い・まとめ売り」による手数料削減効果はほとんどなくなります。ただし、何度も注文を出す手間や、取引履歴の管理の煩雑さを避けるという観点からは、ある程度まとめて取引することに意味がある場合もあります。
「まとめ取引」は、手数料を節約するだけでなく、無計画な衝動的売買を減らし、より計画的な投資行動を促すという間接的なメリットもあります。
初心者は感情で売買しやすい傾向があるため、このような規律あるアプローチを身につけることは、長期的に見て有益です。
ただし、手数料体系が完全に無料化されているサービスが増えている現状では、このコツの重要性は以前に比べて相対的に低下している可能性も考慮に入れる必要があります。



4.5 長期保有×配当再投資で手数料負けを回避
ミニ株投資で気になる「手数料負け」。
これを回避するためには、実は「時間を味方につける」という考え方も非常に有効です。
ここでは、短期的な売買を繰り返すのではなく、長期的な視点で株を保有し、さらに受け取った配当金を再び投資に回す「配当再投資」を行うことで、手数料の影響を相対的に小さくしていく方法についてお話しします。
長期保有のメリット
株を一度購入したら、すぐに売却せずに長期間保有し続ける「長期保有」には、手数料の観点からもいくつかのメリットがあります。
- 売買回数の削減による手数料負担の軽減
- 最も直接的なメリットは、株を長く保有すればするほど、必然的に売買する回数が減るということです。
- ミニ株の取引では、株を買うときや売るときに手数料がかかる場合があります(特に売却手数料がかかる証券会社が多いです)。取引回数が少なければ少ないほど、支払う手数料の総額は軽くなります。
- 例えば、マネックス証券の「ワン株」のように、買付手数料は無料でも売却時には手数料(最低52円)がかかる場合、頻繁に売買を繰り返すと、その都度売却手数料が積み重なり、コスト増に直結してしまいます。長期保有を心がけることで、この売却手数料の発生を先延ばしにしたり、回数を減らしたりすることができます。
- 複利効果の期待(企業の成長と共に)
- 優れた企業の株を長期で保有していれば、その企業が成長するにつれて株価も上昇していく可能性があります。短期的な株価の上下に一喜一憂せず、じっくりと企業の成長を見守ることで、大きなリターンを得られるチャンスがあります。
- また、配当金を出す企業であれば、株を保有している限り、定期的に配当金を受け取り続けることができます。これも長期保有の魅力の一つです。
配当再投資とは?
次に、「配当再投資」について説明します。
- 仕組み
- 配当再投資とは、あなたが保有している株から受け取った配当金を、そのまま現金として使ってしまうのではなく、再び同じ会社の株や他の有望な株の購入資金に充てることです。
- メリット(複利効果)
- この配当再投資の最大のメリットは、「複利(ふくり)の効果」が期待できる点です。
- 配当金を再投資して株を買い増すことで、あなたの保有株数は少しずつ増えていきます。
- 保有株数が増えれば、次回に受け取れる配当金の額も(株価や配当政策が変わらなければ)増える可能性があります。
- そして、その増えた配当金をまた再投資する…というサイクルを繰り返すことで、まるで雪だるまが坂道を転がりながら大きくなっていくように、あなたの資産が加速度的に増えていく効果が期待できるのです。これが複利の力です。
- ミニ株であれば、1回にもらえる配当金の額は少額かもしれませんが、その少額の配当金でも、手数料が無料または非常に安い証券会社を選べば、効率的に再投資に回しやすくなります。
- 注意点
- 配当金を再投資して新たに株を買い付ける際には、買付手数料がかかる場合があります。ただし、NISA口座を利用していたり、SBI証券のS株やマネックス証券のワン株(買付時)のように買付手数料が無料のサービスを利用していれば、この点はあまり心配いりません。
- また、株価は常に変動します。再投資した後に株価が下落してしまえば、複利効果を狙うどころか、損失が拡大してしまうリスクもあることは理解しておく必要があります。
手数料負け回避へのつながり
この「長期保有」と「配当再投資」の組み合わせは、手数料負けを回避する上でどのように役立つのでしょうか。
それは、短期的な視点ではなく、長期的な視点で資産全体の成長を目指すことで、一時的な株価の小さな変動や、取引ごとにかかる手数料の負担を、長い目で見たときのトータルリターンでカバーできる可能性が高まるからです。
数ヶ月や1年といった短い期間で小さな利益を狙って頻繁に売買を繰り返し、その都度手数料を支払うよりも、数年、数十年といった長いスパンで、手数料の発生回数を抑えつつ、配当金の再投資による複利効果も取り入れて資産を育てていく方が、結果的に手数料の影響を受けにくい、安定した投資スタイルと言えるでしょう。
手数料削減効果は明確ですが、初心者が短期売買を繰り返すと、手数料だけでなく、日々の株価変動に一喜一憂し、精神的に疲弊しやすいという側面もあります。
長期保有は、そのような短期的な市場のノイズから心理的な距離を置き、どっしりと構えて投資を続けることを可能にします。
これは手数料削減と同じくらい、投資を長く続けていく上で重要なメリットかもしれません。
「時間をかけてじっくり育てる」という視点は、初心者が株式投資と健全に向き合い、手数料負けのリスクを減らしていく上で、大きな助けとなるでしょう。



5. 金額別シミュレーションでコスト感覚を磨く
ミニ株投資を始めるとき、手数料がどれくらいかかるか気になりますよね。この章では、1万円、5万円、10万円といった具体的な金額で、実際にどれくらいのコストがかかるのかをシミュレーションします。売買手数料がかかる場合とかからない場合、さらにスプレッドという隠れたコストについても比較しながら、あなたのコスト感覚を一緒に磨いていきましょう。目標リターンと手数料のバランスについても解説します。
5.1 1万円・5万円・10万円のモデルケース
ミニ株投資を始めたいけれど、実際にどれくらいお金がかかるのか不安ですよね。
ここでは、具体的な金額を使って、手数料がいくらになるのかを見ていきましょう。
主要ネット証券でのミニ株手数料比較(モデルケース)
はじめに、シミュレーションの前提をご説明します。
これからお話しするシミュレーションは、代表的なネット証券のミニ株(単元未満株)取引を想定しています。
具体的には、SBI証券の「S株」、楽天証券の「かぶミニ」、マネックス証券の「ワン株」、そしてauカブコム証券の「プチ株」を例に取り上げます。
楽天証券の「かぶミニ」には、リアルタイム取引と寄付取引の2種類があります。
リアルタイム取引では0.22%のスプレッドがかかりますが、寄付取引ではスプレッドはかかりません。
ここでは、コストがかかる可能性のあるリアルタイム取引を主に考えつつ、寄付取引の有利さにも少し触れます。
マネックス証券とauカブコム証券は、株を売るときに手数料がかかる点に注目してください。
この点が、ミニ株 売却方法によって最終的なコストが変わってくる理由の一つです。
なお、このシミュレーションでは、為替手数料や税金については考えていません。
純粋な取引手数料やスプレッドだけに注目して比較します。
(1) 1万円分の株を売買する場合
【ケース紹介】
例えば、株価が1,000円の株を10株、合計で1万円分購入し、その後すべて売却するケースを考えてみましょう。
SBI証券「S株」
買付手数料は0円です。
売却手数料も0円です。
ですから、往復の合計手数料は0円となります。
SBI証券は売買手数料が完全に無料なので、コストを気にせずに取引しやすいのが大きな特徴です。
ただし、リアルタイムでの取引はできませんので、その点は覚えておきましょう。
楽天証券「かぶミニ」(リアルタイム取引の場合)
買付手数料は0円ですが、取引価格に対して0.22%のスプレッドが実質的なコストとしてかかります。
1万円分の株を買うと、スプレッドは10,000円 × 0.22% = 22円です。
つまり、実質的な買付コストは10,022円になります。
売却時も同様に手数料は0円ですが、0.22%のスプレッドがかかります。
仮に株価が変わらず1万円で売却できるとすると、スプレッドは10,000円 × 0.22% = 22円です。
そのため、実質的な受取額は9,978円となります。
この結果、往復の合計コスト(スプレッドとして)は約44円です。
楽天証券はリアルタイムで取引できるのが魅力ですが、その際にはスプレッドが発生することを理解しておく必要があります。
ちなみに、寄付取引を選べば、このスプレッドはかかりません。
マネックス証券「ワン株」
買付手数料は0円です。
売却手数料は、約定代金の0.55%で、最低でも52円かかります。
1万円分の株を売却すると、手数料は10,000円 × 0.55% = 55円です。
したがって、往復の合計手数料は55円になります。
買付は無料ですが、売却時に手数料がかかるのが特徴です。
auカブコム証券「プチ株」
買付手数料は、約定代金の0.55%で、最低52円です。
1万円分の株を買うと、手数料は10,000円 × 0.55% = 55円です。
売却手数料も同様に、約定代金の0.55%で、最低52円かかります。
1万円分の株を売却すると、手数料は55円です。
このため、往復の合計手数料は110円となります。
auカブコム証券では売買の両方で手数料がかかりますが、「プレミアム積立®(プチ株®)」という方法で買付をする場合は手数料が無料になります。
(2) 5万円分の株を売買する場合
【ケース紹介】
次に、株価5,000円の株を10株、合計5万円分購入し、その後すべて売却するケースを考えてみましょう。
SBI証券「S株」
往復の合計手数料は0円です。
楽天証券「かぶミニ」(リアルタイム取引の場合)
買付時のスプレッドは、50,000円 × 0.22% = 110円です。
売却時のスプレッドも、50,000円 × 0.22% = 110円です。
往復の合計コスト(スプレッドとして)は約220円になります。
マネックス証券「ワン株」
買付手数料は0円です。
売却手数料は、50,000円 × 0.55% = 275円です。
往復の合計手数料は275円となります。
auカブコム証券「プチ株」
買付手数料は、50,000円 × 0.55% = 275円です。
売却手数料も、50,000円 × 0.55% = 275円です。
往復の合計手数料は550円になります。
(3) 10万円分の株を売買する場合
ケース紹介
最後に、株価10,000円の株を10株、合計10万円分購入し、その後すべて売却するケースを見てみましょう。
SBI証券「S株」
往復の合計手数料は0円です。
楽天証券「かぶミニ」(リアルタイム取引の場合)
買付時のスプレッドは、100,000円 × 0.22% = 220円です。
売却時のスプレッドも、100,000円 × 0.22% = 220円です。
往復の合計コスト(スプレッドとして)は約440円になります。
マネックス証券「ワン株」
買付手数料は0円です。
売却手数料は、100,000円 × 0.55% = 550円です。
往復の合計手数料は550円となります。
auカブコム証券「プチ株」
買付手数料は、100,000円 × 0.55% = 550円です。
売却手数料も、100,000円 × 0.55% = 550円です。
往復の合計手数料は1,100円になります。
シミュレーション結果のまとめと考察
これまでのシミュレーション結果を見ると、いくつかのポイントが浮かび上がります。
少額の取引では、SBI証券の売買手数料が完全に無料である点が際立っています。
楽天証券のリアルタイム取引はスプレッドがコストになりますが、すぐに取引できる利便性とのバランスを考える必要があります。
寄付取引を選べば、このスプレッドはかかりません。
マネックス証券やauカブコム証券では、特に株を売却する時の手数料が取引金額に応じて増えていくことが分かります。
このように、ミニ株 手数料は証券会社や取引方法によって大きく異なることを理解しておきましょう。
表:金額別!ミニ株 売買コスト比較シミュレーション(往復コスト目安)
一目で各社のコスト感を把握できるように、以下の表にまとめました。
証券会社 | 1万円取引時 | 5万円取引時 | 10万円取引時 | 備考 |
SBI証券 (S株) | 0円 | 0円 | 0円 | 売買手数料無料 |
楽天証券 (かぶミニ) (リアルタイム) | 約44円 | 約220円 | 約440円 | 売買手数料無料、別途スプレッド0.22% (往復で0.44%相当) |
楽天証券 (かぶミニ) (寄付取引) | 0円 | 0円 | 0円 | 売買手数料無料、スプレッドなし |
マネックス証券 (ワン株) | 55円 | 275円 | 550円 | 買付無料、売却時0.55% (最低52円) |
auカブコム証券 (プチ株) | 110円 | 550円 | 1,100円 | 売買時各0.55% (最低52円)。積立買付は無料 |
この表から、ご自身の投資スタイルや予算に合わせて、どの証券会社が手数料面で有利になりそうか、大まかな見当をつけることができるでしょう。



5.2 売買手数料型 vs. スプレッド型の年間コスト比較
手数料のタイプによって、年間の総コストがどう変わるのか気になりますよね。
ここでは、「売買ごとに手数料がかかるタイプ」と「スプレッドが実質的なコストになるタイプ」を比較してみましょう。
- 手数料タイプの再確認
まず、手数料の主なタイプをもう一度確認しておきましょう。
売買手数料型
このタイプは、株を買う時や売る時など、取引ごとに手数料が発生します。
手数料の計算方法は、「約定代金のX%」や「一律Y円」といった形が一般的です。
例えば、マネックス証券の売却手数料(約定代金の0.55%、最低52円)や、auカブコム証券の売買手数料(買付・売却それぞれ約定代金の0.55%、最低52円)がこれにあたります。
スプレッド型
こちらのタイプは、表向きの売買手数料は無料でも、株を買う時の値段と売る時の値段の差である「スプレッド」が実質的なコストになります。
楽天証券「かぶミニ」のリアルタイム取引が代表例で、買付時と売却時にそれぞれ基準価格に対して0.22%のスプレッドがかかります。
完全無料型
このタイプは、売買手数料もスプレッドもかかりません。
SBI証券の「S株」や、楽天証券「かぶミニ」の寄付取引がこれに該当します。
- 年間取引回数とコストの関係
次に、年間の取引回数によって、これらの手数料タイプのコストがどのように変わるかを見てみましょう。
シミュレーションの前提
1回の取引金額を3万円と仮定します。
そして、年間の取引回数(買付と売却を1セットとしてカウント)を3回、6回、12回の場合で比較します。
売買手数料型(例:マネックス証券で毎回3万円分売却、買付は無料の場合)
1回の売却にかかる手数料は、30,000円 × 0.55% = 165円です。
年間に3回売買(つまり3回売却)すると、手数料の合計は 165円 × 3 = 495円です。
年間に6回売買(6回売却)すると、合計は 165円 × 6 = 990円になります。
年間に12回売買(12回売却)すると、合計は 165円 × 12 = 1,980円となります。
スプレッド型(例:楽天証券のリアルタイム取引で毎回3万円分売買する場合)
1回の売買(往復)にかかるスプレッドコストは、(30,000円 × 0.22%) + (30,000円 × 0.22%) = 66円 + 66円 = 132円です。
年間に3回売買すると、スプレッドコストの合計は 132円 × 3 = 396円です。
年間に6回売買すると、合計は 132円 × 6 = 792円になります。
年間に12回売買すると、合計は 132円 × 12 = 1,584円となります。
完全無料型(例:SBI証券、または楽天証券の寄付取引の場合)
このタイプでは、年間の手数料コストは0円です。
取引回数が何回であっても、コストはかかりません。
- 比較からの考察
このシミュレーション結果を見ると、いくつかのことが分かります。
取引金額が1回あたり3万円の場合、楽天証券のリアルタイム取引(スプレッド型)の方が、マネックス証券(売買手数料型で売却時のみ手数料発生)よりも年間のコストが低くなりました。
しかし、これは取引金額や最低手数料の有無によって結果が変わる可能性があります。
例えば、マネックス証券の最低手数料52円が適用されるような、より少額の売却を繰り返す場合には、スプレッド型の方が有利になるかもしれません。
最もコストを抑えられるのは、やはりSBI証券や楽天証券の寄付取引のような完全無料型です。
そして、当然ながら、取引回数が増えれば増えるほど、手数料やスプレッドの負担は大きくなります。
ミニ株 手数料を考える上では、取引の頻度も非常に重要な要素であることを覚えておきましょう。
- 表:取引スタイル別!年間ミニ株手数料比較(1回3万円取引のケース)
年間の取引回数によって総コストがどう変わるかを視覚的に示すために、以下の表にまとめました。
手数料タイプ | 証券会社例(取引内容) | 年間3回売買 | 年間6回売買 | 年間12回売買 | 備考 |
完全無料型 | SBI証券 (S株) | 0円 | 0円 | 0円 | 売買手数料・スプレッドなし |
楽天証券 (かぶミニ・寄付取引) | 0円 | 0円 | 0円 | 売買手数料・スプレッドなし | |
スプレッド型 | 楽天証券 (かぶミニ・リアルタイム) | 396円 | 792円 | 1,584円 | 往復スプレッド0.44%相当 |
売買手数料型 | マネックス証券 (ワン株、売却時のみ) | 495円 | 990円 | 1,980円 | 買付無料、売却時0.55% (3万円取引なら165円/回) |
auカブコム証券 (プチ株、売買時) | 990円 | 1,980円 | 3,960円 | 売買時各0.55% (3万円取引なら買165円+売165円=330円/往復) |
この表を通じて、ご自身が予想する取引頻度に合わせて、どの手数料タイプや証券会社が有利になりそうか、より具体的に検討できるでしょう。
特に、頻繁に取引したい場合はスプレッドや手数料のインパクトが大きいことが一目で分かります。



5.3 目標リターン別に見る“手数料許容ライン”
投資で利益を出すためには、手数料がどれくらい影響するのかを知っておくことが大切です。
目標とするリターンに対して、どれくらいの手数料なら許容できるのか、考えてみましょう。
- 手数料と利益の関係
投資で得られる利益は、基本的には「株を売った価格」から「株を買った価格」と「手数料」を引いたものになります。
つまり、手数料が高ければ高いほど、手元に残る実質的な利益は少なくなってしまいます。
最悪の場合、株価が上がったとしても、手数料のせいで利益がなくなってしまう「手数料負け」という状態になることもあります。
- 目標リターンと手数料率
目標とするリターンと手数料の関係を、具体的な例で見てみましょう。
例1 目標リターン5%の場合
例えば、10万円を投資して5%のリターンを目指すとします。
この場合、利益の目標は5,000円です。
もし、株の売買にかかる往復の手数料が合計で1,000円だったとしたらどうでしょう。
実質的な利益は、5,000円 – 1,000円 = 4,000円に減ってしまいます。
これは、リターンで言うと4%になってしまう計算です。
このケースでは、手数料が利益目標の20%(1,000円 ÷ 5,000円)にも達してしまいます。
例2 目標リターン1%の短期取引
次に、10万円を投資して、1%のリターン(つまり1,000円の利益)を目指す短期的な取引を考えてみましょう。
もし、この取引で往復の手数料が500円かかったとしたら、利益の半分が手数料で消えてしまうことになります。
このように、短期間で小さなリターンを狙う取引では、手数料が利益に与える影響が非常に大きくなるのです。
- 手数料許容ラインの考え方
では、どれくらいの手数料なら許容できるのでしょうか。
いくつかの考え方があります。
投資額に対する手数料の割合で考える
例えば、1万円の投資で往復の手数料が100円だった場合、手数料率は1%です(100円 ÷ 10,000円)。
この1%の手数料を回収するためには、株価が少なくとも1%以上上昇しなくてはなりません。
スプレッドがある場合は、さらにそれ以上の値上がりが必要です。
目標利益に対する手数料の割合で考える
得たい利益のうち、手数料がどれくらいの割合を占めるかを意識することも大切です。
手数料が利益の大部分を占めてしまうようでは、効率的な投資とは言えません。
一般的な目安(あくまで考え方の一つとして)
理想を言えば、手数料は0円であるに越したことはありません。
SBI証券の「S株」や楽天証券「かぶミニ」の寄付取引などが、その選択肢となります。
許容できる手数料率については、投資スタイルや目標リターンによって大きく変わります。
一般的には、投資額の0.5%から1%以内、あるいは期待するリターンの10%から20%以内などに抑えたいと考える人が多いようです。
ただし、これはあくまで一つの目安であり、ご自身の投資戦略に合わせて判断するようにしてください。
- 手数料を抑えることの重要性
特にミニ株のような少額投資では、手数料の割合が大きくなりがちです。
そのため、手数料をできるだけ低く抑えることは、利益を最大限に確保し、「手数料負け」のリスクを減らすために非常に重要です。
どの証券会社を選ぶか、そしてどのような取引方法を選ぶか(例えば、楽天証券でリアルタイム取引をするか寄付取引をするかなど)が、コストを抑えるための鍵となります。



6. 手数料負けを防ぐチェックリスト
ミニ株投資で「手数料負け」しないためには、事前の準備と確認が大切です。この章では、手数料で損をしないための具体的なチェックリストをご紹介します。取引の頻度や金額をシミュレーションすることから、お得なキャンペーンの確認、そしてスプレッドやリアルタイム取引の可否まで、しっかりとチェックして、賢く手数料を管理しましょう。
6.1 取引頻度と取引額を月初にシミュレーション
計画的に取引することで、手数料負けのリスクを減らせます。
まずは、ご自身の投資スタイルに合わせて、取引の頻度や金額を事前に考えてみましょう。
(1) 月間の取引回数を見積もる
まず、毎月何回くらい株を買ったり売ったりしそうか、大まかに予想してみましょう。
毎月コツコツと積立投資をするスタイルなのか、気になる銘柄を見つけた時に時々売買するスタイルなのか、ご自身の考えによって取引回数は変わってきます。
(2) 1回あたりの平均取引金額を設定する
次に、1回の取引でいくらくらいの株を買うか、または売るかを考えます。
ミニ株は少額から始められるのが魅力ですが、この1回あたりの金額によって、手数料の絶対額や、最低手数料が適用されるかどうかが変わってくることがあります。
(3) 月間の総取引金額を計算する
「月間の取引回数」に「1回あたりの平均取引金額」を掛ければ、おおよその月間の総取引金額が計算できます。
この総額に対して、利用しようと考えている証券会社の手数料体系を当てはめてみましょう。
そうすることで、月間にどれくらいの手数料コストがかかるかを予測できます。
例えば、auカブコム証券には「一日定額手数料コース」があり、1日の約定金額合計が100万円までなら手数料が0円になるサービスがあります。
ただし、これは主に単元株取引の場合で、プチ株(ミニ株)の取引には、約定代金の0.55%(最低52円)という別の手数料がかかる点に注意が必要です。
計画を立てる際には、このような手数料体系の違いもしっかりと理解しておきましょう。
(4) シミュレーション結果を記録する
予想される手数料コストを記録しておき、実際の取引結果と比較することで、計画とのズレを確認できます。
また、ミニ株 売却方法についても、どのタイミングで、いくらで売却するのかをシミュレーションに含めておくと、より現実的なコスト感が掴めるでしょう。
- シミュレーションのポイント
シミュレーションを行う際には、無理のない範囲で計画を立てることが大切です。
手数料が安い証券会社を選ぶことは基本ですが、ご自身の取引スタイルに合っているかどうかも考慮しましょう。
例えば、SBI証券は手数料が無料ですが、リアルタイムでの取引はできません。
そのため、株価の動きを見ながらすぐに売買したいという人には、不向きかもしれません。
一方、楽天証券はリアルタイム取引が可能ですが、その際にはスプレッドがかかります。
ご自身の投資スタイルと照らし合わせて、最適な証券会社を選ぶことが重要です。



6.2 キャンペーン・ポイント・優遇プログラムの確認
証券会社によっては、手数料がお得になるキャンペーンやポイントプログラムがあります。
これらを上手に活用することで、実質的なコストを抑えることができます。
(1) 証券会社のキャンペーン情報をチェック
証券会社は、口座開設キャンペーンや取引手数料の割引キャンペーンなどを定期的に行っていることがあります。
また、特定の条件を満たすことで(例えば、NISA口座での取引や、一定金額以上の取引など)、手数料がキャッシュバックされることもあります。
これらの情報は、各証券会社の公式サイトで最新のものを確認するようにしましょう。
(2) ポイントプログラムの活用
取引に応じてポイントが貯まる証券会社もあります。
例えば、楽天証券では楽天ポイントが貯まるプログラムがあります。
貯まったポイントを次の投資に使えたり、他のサービスで利用できたりする場合があり、これは実質的な手数料の割引と考えることができます。
ただし、注意点として、楽天証券のかぶミニ(ミニ株)では楽天ポイントを利用して株を購入することはできますが、楽天証券ポイント(証券会社のサービス利用で貯まる別のポイント)は株投資には利用できないなど、ポイントの種類や利用条件がある場合があるので確認が必要です。
(3) NISA口座の優遇
NISA口座(つみたて投資枠や成長投資枠)を利用すると、多くの証券会社でミニ株の売買手数料が無料になる場合があります。
例えば、SBI証券の「S株」、楽天証券の「かぶミニ」、マネックス証券の「ワン株」では、NISA口座での取引手数料が無料(または実質無料)となっています。
auカブコム証券の「プチ株」も、NISA成長投資枠での取引手数料は無料です。
NISA口座の活用は、手数料を抑える上で最大のコスト削減策の一つと言えるでしょう。
(4) 長期保有者向けの優遇など
一部の証券会社や、特定の銘柄によっては、株式を長期間保有することで株主優待などの特典が受けられる場合があります。
これは直接的な手数料の割引ではありませんが、トータルで見た時のリターンに影響する要素として、情報収集しておくと良いでしょう。
- 確認のポイント
キャンペーンを利用する際には、期間や適用条件が定められている場合がほとんどですので、詳細をしっかりと確認しましょう。
ポイントプログラムについても、ポイントの付与率や利用条件を確認しておくことが必要です。
ご自身にとって最もメリットのあるプログラムを提供している証券会社を選ぶのも、賢い選択の一つです。



6.3 スプレッドの有無とリアルタイム可否を要チェック
売買手数料が無料でも、スプレッドという形でコストがかかることがあります。
また、リアルタイムで取引できるかどうかも、投資戦略によっては重要です。
(1) スプレッドの確認
まず、スプレッドについて確認しましょう。
スプレッドとは、株を買う時の値段(買値)と売る時の値段(売値)の差のことです。
この差が、実質的な取引コストになる場合があります。
確認方法としては、楽天証券の「かぶミニ」のリアルタイム取引では、基準となる価格に対して0.22%のスプレッドが買付時には上乗せされ、売却時には差し引かれます。
これが実質的なコストとなります。
SBI証券の「S株」、マネックス証券の「ワン株」、auカブコム証券の「プチ株」については、楽天証券のように明確に「スプレッド」として提示されているわけではありません。
しかし、取引の際には、提示されている気配値と実際に約定する価格が完全に一致するとは限らないため、注意が必要です。
取引画面の説明や、証券会社のウェブサイトにある約款などで、価格決定のルールを確認しておきましょう。
(2) リアルタイム取引の可否
次に、リアルタイム取引ができるかどうかを確認します。
リアルタイム取引とは、証券取引所の取引時間中であれば、現在の株価を見ながらすぐに株の売買ができる取引方法のことです。
このリアルタイム取引の可否は、証券会社によって異なります。
楽天証券の「かぶミニ」は、主要なネット証券が提供するミニ株サービスの中で、唯一リアルタイム取引が可能です。
一方、SBI証券の「S株」はリアルタイム取引ができず、注文は1日に決められた特定のタイミング(例えば、前場の終値や翌営業日の始値など)でまとめて約定します。
マネックス証券の「ワン株」もリアルタイムではなく、通常は後場の始値などで約定します。
auカブコム証券の「プチ株」も同様に、特定のタイミング(例えば、後場の始値や翌営業日の前場の始値など)での約定となります。
(3) 指値注文の可否
最後に、指値注文ができるかどうかです。
指値注文とは、「この値段で買いたい」あるいは「この値段で売りたい」と、自分で価格を指定して注文する方法です。
これも証券会社によって対応が異なります。
楽天証券の「かぶミニ」のリアルタイム取引では、指値注文が可能です。
しかし、SBI証券の「S株」、マネックス証券の「ワン株」、auカブコム証券の「プチ株」では、ミニ株(単元未満株)の取引は基本的に成行注文のみとなります。
成行注文とは、値段を指定せずに注文を出す方法で、その時の市場価格で取引が成立します。
SBI証券の「S株」については、指値注文を出すこと自体は可能とされていますが、実際の約定価格は市場の価格に基づいて決まるため、指定した価格で必ず取引できるわけではなく、実質的には成行注文に近い運用となるか、限定的な範囲での指値と考えておくのが安全です。
なお、どの証券会社のミニ株でも、より複雑な逆指値注文はできません。
- チェックのポイント
スプレッドは、手数料無料という言葉の裏に隠れたコストとなることがあるので、注意が必要です。
ご自身の投資スタイル、例えばデイトレードのように頻繁に売買したいのか、それともじっくりと長期保有したいのかによって、リアルタイム取引や指値注文の必要性は変わってきます。
ミニ株 手数料の安さだけでなく、これらの取引条件もしっかりと総合的に比較して、自分に合った証券会社を選ぶことが大切です。



7. よくある質問(FAQ)
ミニ株の手数料について、初心者が抱きやすい疑問をQ&A形式でまとめました。「手数料は本当に高いの?」「隠れコストはある?」「NISAで完全無料になる?」といった気になるポイントから、「長期と短期、どっちが手数料効率的?」という運用戦略に関わる質問まで、スッキリ解決していきましょう。
7.1 「ミニ株の手数料は本当に高いの?」
ミニ株の手数料について、高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれですが、いくつかの視点から考えてみましょう。
単元株取引との比較
かつて、単元株(通常は100株単位)の取引には、数千円の手数料がかかることも珍しくありませんでした。
しかし、ここ最近はネット証券を中心に手数料の無料化が進んでいます。
ミニ株についても、SBI証券のように売買手数料が無料の証券会社が登場しており、以前に比べれば格段に取引しやすくなっていると言えるでしょう。
取引金額に対する比率
ミニ株は少額から投資できるのが大きな魅力です。
しかし、取引する金額が小さいと、わずかな手数料であっても、金額に対する比率としては大きく見えてしまうことがあります。
例えば、500円の株を1株だけ買って、その時の手数料が52円だったとしましょう。
この場合、手数料率は10%以上(52円 ÷ 500円)にもなってしまいます。
このような理由から、特に少額で取引する場合は、SBI証券のように手数料が完全に無料の証券会社を選ぶメリットが非常に大きくなります。
サービス内容とのバランス
手数料の安さだけが全てではありません。
例えば、楽天証券の「かぶミニ」のように、リアルタイム取引や指値注文といった便利な機能を提供している場合があります。
このような場合、その利便性のためのコスト(例えばスプレッドなど)が、実質的な手数料に反映されていると考えることもできます。
手数料の金額だけでなく、自分が使いたいサービス内容とのバランスで判断することも大切です。
結論として
手数料が無料、または非常に低い証券会社を選べば、ミニ株の手数料は決して高いとは言えません。
むしろ、以前よりもずっと手軽に株式投資を始められる環境が整っています。
ただし、取引する金額や利用するサービスによっては、手数料の負担を感じる場合もあるため、投資を始める前にしっかりと確認することが重要です。



7.2 「買付手数料0円でも隠れコストはある?」
「買付手数料0円」という言葉はとても魅力的ですが、それ以外にコストがかかる可能性はないのでしょうか。
注意すべきポイントを見ていきましょう。
スプレッドの可能性
まず、最も注意したいのが、何度かお話ししているスプレッドです。
楽天証券の「かぶミニ」をリアルタイム取引で利用する場合、売買手数料自体は無料です。
しかし、基準となる価格に対して0.22%のスプレッドが実質的なコストとしてかかります。
これは株を買う時だけでなく、売る時にもかかるため、往復で考えると0.44%のコストになる可能性があることを覚えておきましょう。
売却時の手数料
次に、売却時に手数料がかかるケースです。
マネックス証券の「ワン株」のように、買付手数料は無料でも、株を売却する際には手数料(約定代金の0.55%、最低52円)がかかる場合があります。
また、auカブコム証券の「プチ株」も、積立での買付は無料になることがありますが、通常のスポットでの買付や売却には手数料がかかります。
したがって、「買付手数料0円」という言葉だけに注目するのではなく、往復の取引全体で考えるとコストが発生するケースがあることを理解しておく必要があります。
特に、ミニ株 売却方法や売却のタイミングを考える際には、この売却コストも必ず念頭に置いてください。
その他の費用
通常、ミニ株取引でこれら以外のコストが頻繁に発生することは稀です。
しかし、例えば口座管理手数料が有料の証券会社(現在はほとんどありませんが)や、特定の情報ツールが有料である場合などは、間接的なコストと言えるかもしれません。
基本的には、売買手数料とスプレッド、そして売却手数料の有無をしっかりと確認しておけば大丈夫でしょう。
確認の重要性
「0円」という言葉はとても魅力的ですが、それだけで判断せず、取引全体のコスト構造を理解することが大切です。
証券会社のウェブサイトで、手数料に関する規約やQ&Aなどを注意深く読み、不明な点は問い合わせるなどして、納得した上で取引を始めましょう。



7.3 「NISAと併用すれば完全無料になる?」
NISA口座は、投資で得た利益にかかる税金がお得になる制度として知られていますが、ミニ株の手数料も無料になるのでしょうか。
この疑問について解説します。
NISA口座での手数料優遇
多くのネット証券では、NISA口座(特に成長投資枠)で国内の株式を取引する際の手数料を無料としています。
そして、この手数料無料の優遇は、ミニ株(単元未満株)にも適用される場合が多いです。
具体的には、以下のようになっています。
SBI証券の「S株」は、NISA口座での売買手数料が無料です。
楽天証券の「かぶミニ」も、NISA口座での売買手数料は無料です。
マネックス証券の「ワン株」は、NISA口座では買付手数料が無料なだけでなく、売却手数料もキャッシュバック形式で実質無料になります。
auカブコム証券の「プチ株」も、NISA口座(成長投資枠)での売買手数料は無料です。
スプレッドは別問題
ここで一つ注意点があります。
NISA口座を利用して売買手数料が無料になったとしても、スプレッドは別途かかる場合があるということです。
例えば、楽天証券の「かぶミニ」をNISA口座でリアルタイム取引する場合を考えてみましょう。
この場合、売買手数料は0円ですが、取引価格に対して0.22%のスプレッドは通常通り発生します。
つまり、NISAを使ったからといって、必ずしも全てのコストが「完全に0円」になるとは限らないケースがあるのです。
NISAのメリット
それでも、NISA口座を利用する最大のメリットは、株の売却で得た利益や受け取った配当金にかかる税金(通常は約20%)が非課税になる点です。
手数料だけでなく、税金の面でも大きな節約効果が期待できるのがNISAの魅力です。
結論として
NISA口座を併用することで、多くの証券会社でミニ株の「売買手数料」は無料(または実質無料)にすることができます。
これは大きなメリットです。
ただし、楽天証券のリアルタイム取引のようにスプレッドがかかる場合は、そのコストは残ることを覚えておきましょう。
それでも、税制上の優遇は非常に大きいため、ミニ株投資をするのであれば、NISA口座の活用を積極的に検討することをおすすめします。



7.4 「長期と短期、どちらが手数料効率的?」
ミニ株投資をする上で、長期間保有するスタイルと、短期間で売買を繰り返すスタイル、どちらが手数料の面でお得なのでしょうか。
それぞれの特徴と手数料効率について考えてみましょう。
短期売買の場合
まず、短期売買のケースです。
特徴
短期売買は、株価の細かな動きを捉えて、比較的短い期間で何度も株の売買を繰り返す投資スタイルです。
手数料の影響
このスタイルでは、取引回数が多くなるため、1回あたりの手数料が低い証券会社を選ぶことが非常に重要になります。
SBI証券の「S株」(売買手数料無料)や、楽天証券「かぶミニ」の寄付取引(売買手数料・スプレッドともに無料)は、コストを抑える上で非常に有利な選択肢と言えるでしょう。
逆に、楽天証券「かぶミニ」のリアルタイム取引(スプレッド0.22%)や、マネックス証券・auカブコム証券のように売買の都度手数料がかかる証券会社の場合、取引回数が増えれば増えるほど手数料の負担が大きくなります。
その結果、ミニ株 手数料の総額が利益を上回ってしまう「手数料負け」のリスクが高まる傾向にあります。
長期保有の場合
次に、長期保有のケースです。
特徴
長期保有は、一度購入した株を長期間持ち続け、その企業の成長や配当金に期待する投資スタイルです。
手数料の影響
このスタイルでは、売買の回数が少ないため、1回あたりの手数料が多少高かったとしても、手数料の総額としての影響は比較的小さく抑えられます。
ただし、売却時には手数料がかかる証券会社(例えばマネックス証券やauカブコム証券など)もあるため、最終的な出口、つまりミニ株 売却方法とその際にかかるコストも考慮に入れる必要はあります。
また、配当金を受け取る場合、証券会社によって受取方法で手数料が変わることは通常ありませんが、NISA口座で受け取れば配当金も非課税になるという大きなメリットがあります。
手数料効率の観点から
一般的に考えると、取引回数が少ない長期保有の方が、手数料の効率は良いと言えます。
特にミニ株は少額での取引が中心となるため、頻繁な売買は手数料の負担を重くしやすい傾向があります。
そのため、特に初心者のうちは、手数料コストを抑えやすい長期的な視点での投資から始めてみるのがおすすめです。
投資スタイルと相談
最終的にどちらのスタイルが良いかは、ご自身の投資目的やリスクをどれくらい受け入れられるかにもよります。
短期売買で積極的に利益を狙いたい場合は、手数料の体系をよりシビアに比較検討する必要があるでしょう。



8. まとめ 最安コストでミニ株投資を始めよう
ここまでミニ株の手数料について詳しく見てきました。手数料は証券会社や取引方法によって大きく異なり、賢く選ぶことでコストを最小限に抑えることができます。NISA口座の活用や、ご自身の投資スタイルに合った証券会社選びがポイントです。この記事が、あなたが最安コストでミニ株投資をスタートするための一助となれば幸いです。
ミニ株投資を始めるにあたって、手数料は気になるけれど、少し複雑で分かりにくいと感じたかもしれません。
でも、大丈夫です。
この記事で解説したポイントを押さえれば、あなたもきっと賢くミニ株 手数料を管理し、お得に投資をスタートできるはずです。
手数料を抑えるための重要ポイント(再確認)
もう一度、手数料を抑えるための大切なポイントをおさらいしましょう。
- SBI証券「S株」は売買手数料0円:コストを徹底的に抑えたいなら、SBI証券の「S株」は非常に魅力的な選択肢です。売買手数料が無料なのは大きなメリットです。ただし、リアルタイムでの取引や指値注文はできない点に注意しましょう。
- 楽天証券「かぶミニ」は取引方法を選べる:楽天証券の「かぶミニ」は、リアルタイム取引(スプレッド0.22%あり)と寄付取引(スプレッドなし・手数料無料)が可能です。すぐに取引したい便利さとコストのバランスを考えて、上手に使い分けましょう。
- マネックス証券「ワン株」、auカブコム証券「プチ株」は売却時手数料に注意:マネックス証券の「ワン株」やauカブコム証券の「プチ株」は、買付手数料が無料(または条件によって無料)であっても、売却時には手数料がかかる場合があります。ミニ株 売却方法と、その際にかかるコストを意識することが大切です。
- NISA口座を最大限に活用しよう:NISA口座を利用すれば、多くの証券会社でミニ株の売買手数料が無料になります。さらに、株の売却で得た利益や配当金も非課税になるという大きなメリットがあります。ミニ株投資をするなら、NISA口座は強い味方です。
- スプレッドという隠れコストも忘れずに:売買手数料が無料でも、スプレッドが実質的なコストになることがあります。特にリアルタイム取引などを利用する際には、スプレッドの有無や大きさを確認しましょう。
- ご自身の投資スタイルを考える:取引の頻度や、リアルタイム取引のような特定の機能を求めるかどうかなど、ご自身の投資スタイルによって最適な証券会社は異なります。この記事で紹介したシミュレーションなどを参考に、自分に合ったプランを見つけてください。
最初の一歩を踏み出そう
ミニ株は、数百円から数千円といった少額から始められる、株式投資の初心者にとって非常に魅力的な投資方法です。
手数料の仕組みをしっかりと理解し、賢く証券会社を選べば、コストを抑えながら株式投資の世界に足を踏み入れることができます。
難しく考えすぎずに、まずは興味のある会社の株を1株から買ってみるのも、良い経験になるでしょう。
この記事で得た知識を活かして、ぜひ最安コストでのミニ株投資にチャレンジしてみてください。
あなたの資産形成の第一歩を、心から応援しています。
本記事の注意事項(免責事項)
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を意図したものではありません。本記事に記載されている情報については、正確性、完全性、有用性を確保するために努力しておりますが、その保証は致しかねます。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容を利用して生じたいかなる損害についても、当サイトおよび著者は一切の責任を負いかねます。詳しくは免責事項ページをご確認ください。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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